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166『帰還』
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RE・かの世界この世界
166『帰還』テル(光子)
ドグァッシャーーーン!!!
カテンの森で野営の準備をしていると、森の奥から百年分の雷が落ちるような音がした。
反射的に身を伏せると地震のような衝撃が続き、森の鳥や小動物たちが逃げてくる。
すぐに四号の仲間と共に駆けつけると、トール元帥の戦車部隊がグチャグチャに撃破され、森の木々をなぎ倒して無残な姿をさらしていた。
なんということだ……
最前線で手ひどくやられ、全滅寸前にワープして撤退してきた様子だ。
戦車と言うものは、外骨格の怪物で、撃破されてもおおよその形は残るものだ。
それが、超重戦車の六号でさえ、ひしゃげた缶詰のように形を留めていないものがある。缶詰たちの周囲にはバーベキューの途中で放り出された肉のようなものがいくつも転がり、あるいは缶詰からはみ出ていた。
その残骸と肉たちに囲まれてトール元帥が瀕死の重傷で横たわっている。
「元帥閣下!」
タングリスが駆け寄る。
蘇生術を施すのかと思った……が、違った。
なにを!?
タングリスは装具を解くと、野戦服まで脱ぎだし、身一つになったかと思うと元帥の上に裸身を投げ出した。
「お、おまえらは見るなあ(;゜Д゜)!!」
ヒルデが両手を広げて立ちふさがる!
とても、その小柄な体で隠しきれるものでは無いのだが、その切実さにたじろいでしまう。
すると、切羽詰まったヒルデの頭の向こう、空の上からポチがクルクルと舞い落ちてくるのが目に入った。
あ……ああ…………
慌ただしく立ち止まったせいか、急に空を見上げる姿勢になったためか、数瞬の間に目にした衝撃的な光景のせいか、視界が鈍色の闇に狭窄されて、意識の糸が切れてしまった。
……さん。
…井さん。
寺井さん。
懐かしい名前で呼ばれて、うっすらと目を開けると和室の天井……胸元まで掛けられたお布団の感触。
これは…………?
「よかった、目が覚めた!」
「もう、戻ってこないんじゃないかと……心配で心配で」
「泣くんじゃないよ美空。光子、ちゃんと戻ってきたんだ」
「う、うん」
この人たちは……。
「何度もフリーズして、クラッシュを繰り返して……」
「もう、戻って来れなくなってしまいそうで、時美と二人で回収したのよ。このままじゃみっちゃん、寺井さん、もたなくなっちゃうから」
「あ、もう少し寝ていろ、完全に戻って来るには、もう少し時間がかかるから」
そう言われて、お布団から出した手を見ると、指の先が、まだ半透明だ。
この二人は……?
そこで、指の第二関節まで色が戻ってきて思い出した。
「中臣先輩! 志村先輩!」
数年ぶり、ひょっとして数十年ぶり、数百年ぶりで、こちらの意識が戻ってきた……。
☆ ステータス
HP:13500 MP:180 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・900 マップ:14 金の針:1000 その他:∞ 所持金:8000万ギル(リボ払い残高無し)
装備:剣士の装備レベル38(勇者の剣) 弓兵の装備レベル32(勇者の弓)
憶えたオーバードライブ:シルバーケアル(ケイト) シルバースプラッシュ(テル)
スプラッシュテール(ブリュンヒルデ) 空蝉(ポチ)
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) テルの幼なじみ ペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ シリンダーの幼体 82回目に1/12サイズの人形に擬態
ペギー 荒れ地の万屋
ユーリア ヘルム島の少女
ナフタリン ユグドラシルのメッセンジャー族ラタトスクの生き残り
フェンリル二世 狼族の王子
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
166『帰還』テル(光子)
ドグァッシャーーーン!!!
カテンの森で野営の準備をしていると、森の奥から百年分の雷が落ちるような音がした。
反射的に身を伏せると地震のような衝撃が続き、森の鳥や小動物たちが逃げてくる。
すぐに四号の仲間と共に駆けつけると、トール元帥の戦車部隊がグチャグチャに撃破され、森の木々をなぎ倒して無残な姿をさらしていた。
なんということだ……
最前線で手ひどくやられ、全滅寸前にワープして撤退してきた様子だ。
戦車と言うものは、外骨格の怪物で、撃破されてもおおよその形は残るものだ。
それが、超重戦車の六号でさえ、ひしゃげた缶詰のように形を留めていないものがある。缶詰たちの周囲にはバーベキューの途中で放り出された肉のようなものがいくつも転がり、あるいは缶詰からはみ出ていた。
その残骸と肉たちに囲まれてトール元帥が瀕死の重傷で横たわっている。
「元帥閣下!」
タングリスが駆け寄る。
蘇生術を施すのかと思った……が、違った。
なにを!?
タングリスは装具を解くと、野戦服まで脱ぎだし、身一つになったかと思うと元帥の上に裸身を投げ出した。
「お、おまえらは見るなあ(;゜Д゜)!!」
ヒルデが両手を広げて立ちふさがる!
とても、その小柄な体で隠しきれるものでは無いのだが、その切実さにたじろいでしまう。
すると、切羽詰まったヒルデの頭の向こう、空の上からポチがクルクルと舞い落ちてくるのが目に入った。
あ……ああ…………
慌ただしく立ち止まったせいか、急に空を見上げる姿勢になったためか、数瞬の間に目にした衝撃的な光景のせいか、視界が鈍色の闇に狭窄されて、意識の糸が切れてしまった。
……さん。
…井さん。
寺井さん。
懐かしい名前で呼ばれて、うっすらと目を開けると和室の天井……胸元まで掛けられたお布団の感触。
これは…………?
「よかった、目が覚めた!」
「もう、戻ってこないんじゃないかと……心配で心配で」
「泣くんじゃないよ美空。光子、ちゃんと戻ってきたんだ」
「う、うん」
この人たちは……。
「何度もフリーズして、クラッシュを繰り返して……」
「もう、戻って来れなくなってしまいそうで、時美と二人で回収したのよ。このままじゃみっちゃん、寺井さん、もたなくなっちゃうから」
「あ、もう少し寝ていろ、完全に戻って来るには、もう少し時間がかかるから」
そう言われて、お布団から出した手を見ると、指の先が、まだ半透明だ。
この二人は……?
そこで、指の第二関節まで色が戻ってきて思い出した。
「中臣先輩! 志村先輩!」
数年ぶり、ひょっとして数十年ぶり、数百年ぶりで、こちらの意識が戻ってきた……。
☆ ステータス
HP:13500 MP:180 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・900 マップ:14 金の針:1000 その他:∞ 所持金:8000万ギル(リボ払い残高無し)
装備:剣士の装備レベル38(勇者の剣) 弓兵の装備レベル32(勇者の弓)
憶えたオーバードライブ:シルバーケアル(ケイト) シルバースプラッシュ(テル)
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