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187『大毛島 義経軍の幻と共に』
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RE・かの世界この世界
187『大毛島 義経軍の幻と共に』テル
二キロ足らずの鳴門海峡を全力疾走で渡った。
対岸の大毛島の砂浜に立って振り返ると、狭い海峡にはいくつも渦が巻いている。
「ここを走ってきたんですね……」
歴戦の下士官であるタングニョーストも背嚢を揺すりあげて感心した。
カサリ
「背嚢のタングリスも感心してるよ」
骨と皮だけになったタングリスと、それを背負っているタングニョーストを気味悪がったケイトだけども、共に海峡を走破するという偉業をなし終えて、骨のこすれる音にも懐かしさを感じている(^_^;)。
「タングリスがもうちょっと復活して肉が付いていたら渡れないところでした」
「タングニョースト」
「なんだい、テル?」
「わたしにも、戦友の温もりを感じさせてはくれないか」
「テルが?」
「うん、四号に乗ってムヘンの血を乗り切れたのは、いつも隣にタングリスが居たからなんだ。最初は、タングリスが操縦手で、砲手のわたしは、いつもタングリスの背中を見て戦った。ノルデン鉄橋でタングニョ-ストが転属してからは、車長席で、それこそわたしの背中に居た。それを少し偲べればと思ってね」
「そうか、それなら戦友も喜んでくれるだろう……」
背中を向けて触らせてはくれる。少し持ち上げて見ると、少し復活したのかズシリと重い。
「わたしにも!」
「ああ、優しく、そっとな」
「おい、あれは!?」
ヒルデが岩を挟んだ隣の砂浜を指した。
イザナギが軽々と岩に登って様子を窺う。
「あれは義経の軍勢です。浜に乗り上げて、馬と兵を下ろしています」
「時空が錯綜している、義経がここに来るのは千年先のことだよ」
歴史オンチのわたしでも、それくらいの事は知っている。
「話題にしていたのは我々です、呼び寄せてしまったようですね」
目の前の浜で隊列を整えているのは幻だ。
幻だけれど、まんまと平家の裏をかいた義経は一の谷に次いで奇襲に成功し、平家を壇ノ浦に追い詰める。
これから、黄泉の国を目指してイザナミを取り返そうとする我々の心を大いに鼓舞してくれる。
いざ、進め!
紫裾濃(むらさきすそご)という、紫系のグラディエーションがオシャレな大鎧、その袖を翻して進撃の檄を飛ばす義経。
ピカッ ゴロゴロッ!!
折から起こった雷光が、兜の鍬形を煌めかせる。
オオ!!
雷鳴に和して、総勢百あまりの軍勢が北西に進路を取って駆け出した。
「威勢はいいが、100ほどの中隊規模でしかないぞ。テル、平家の軍勢は何人ほどだ?」
「ええと……」
さすがに、高校生の知識では、そこまでは分からない。
「二万近くがいるはずです」
「分かるんですか、イザナギさん?」
「源氏も平家も、わたしの裔の者たちですからね、ああやって幻でも現れると分かるようです」
そうだ、源氏は桓武天皇の、平家は清和天皇の子孫だ。
「さあ、我々も出発しようか」
ヒルデが拳を上げて、我々五人の黄泉遠征軍も腰を上げる。
「タングニョ-スト、高松までの前方を偵察してくれないか」
「承知した! しばらくタングリスを頼んだぞ」
身軽になったタングニョ-ストに、歴戦の下士官に相応しい役割を与える。
ヒルデが寄り添ってきて、そっと呟くように言った。
「よく、言ってくれた。ただ、交代しようと言うだけでは背嚢を渡さんかったよ、タングニョーストは」
「あ、いや……(^_^;)」
さすがはヴァルキリアの姫騎士、全て読まれている。
我々は、義経軍の後を追うようにして高松を目指した。
☆ ステータス
HP:10000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・1000 マップ:1000 金の針:1000 福袋 所持金:450000ギル(リボ払い残高0ギル)
装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
白魔法: ケアル ケイト(ケアルラ) 空蝉の術
オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
ペギー 異世界の万屋
ユーリア ヘルム島の少女
ナフタリン ユグドラシルのメッセンジャー族ラタトスクの生き残り
その他 フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
187『大毛島 義経軍の幻と共に』テル
二キロ足らずの鳴門海峡を全力疾走で渡った。
対岸の大毛島の砂浜に立って振り返ると、狭い海峡にはいくつも渦が巻いている。
「ここを走ってきたんですね……」
歴戦の下士官であるタングニョーストも背嚢を揺すりあげて感心した。
カサリ
「背嚢のタングリスも感心してるよ」
骨と皮だけになったタングリスと、それを背負っているタングニョーストを気味悪がったケイトだけども、共に海峡を走破するという偉業をなし終えて、骨のこすれる音にも懐かしさを感じている(^_^;)。
「タングリスがもうちょっと復活して肉が付いていたら渡れないところでした」
「タングニョースト」
「なんだい、テル?」
「わたしにも、戦友の温もりを感じさせてはくれないか」
「テルが?」
「うん、四号に乗ってムヘンの血を乗り切れたのは、いつも隣にタングリスが居たからなんだ。最初は、タングリスが操縦手で、砲手のわたしは、いつもタングリスの背中を見て戦った。ノルデン鉄橋でタングニョ-ストが転属してからは、車長席で、それこそわたしの背中に居た。それを少し偲べればと思ってね」
「そうか、それなら戦友も喜んでくれるだろう……」
背中を向けて触らせてはくれる。少し持ち上げて見ると、少し復活したのかズシリと重い。
「わたしにも!」
「ああ、優しく、そっとな」
「おい、あれは!?」
ヒルデが岩を挟んだ隣の砂浜を指した。
イザナギが軽々と岩に登って様子を窺う。
「あれは義経の軍勢です。浜に乗り上げて、馬と兵を下ろしています」
「時空が錯綜している、義経がここに来るのは千年先のことだよ」
歴史オンチのわたしでも、それくらいの事は知っている。
「話題にしていたのは我々です、呼び寄せてしまったようですね」
目の前の浜で隊列を整えているのは幻だ。
幻だけれど、まんまと平家の裏をかいた義経は一の谷に次いで奇襲に成功し、平家を壇ノ浦に追い詰める。
これから、黄泉の国を目指してイザナミを取り返そうとする我々の心を大いに鼓舞してくれる。
いざ、進め!
紫裾濃(むらさきすそご)という、紫系のグラディエーションがオシャレな大鎧、その袖を翻して進撃の檄を飛ばす義経。
ピカッ ゴロゴロッ!!
折から起こった雷光が、兜の鍬形を煌めかせる。
オオ!!
雷鳴に和して、総勢百あまりの軍勢が北西に進路を取って駆け出した。
「威勢はいいが、100ほどの中隊規模でしかないぞ。テル、平家の軍勢は何人ほどだ?」
「ええと……」
さすがに、高校生の知識では、そこまでは分からない。
「二万近くがいるはずです」
「分かるんですか、イザナギさん?」
「源氏も平家も、わたしの裔の者たちですからね、ああやって幻でも現れると分かるようです」
そうだ、源氏は桓武天皇の、平家は清和天皇の子孫だ。
「さあ、我々も出発しようか」
ヒルデが拳を上げて、我々五人の黄泉遠征軍も腰を上げる。
「タングニョ-スト、高松までの前方を偵察してくれないか」
「承知した! しばらくタングリスを頼んだぞ」
身軽になったタングニョ-ストに、歴戦の下士官に相応しい役割を与える。
ヒルデが寄り添ってきて、そっと呟くように言った。
「よく、言ってくれた。ただ、交代しようと言うだけでは背嚢を渡さんかったよ、タングニョーストは」
「あ、いや……(^_^;)」
さすがはヴァルキリアの姫騎士、全て読まれている。
我々は、義経軍の後を追うようにして高松を目指した。
☆ ステータス
HP:10000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・1000 マップ:1000 金の針:1000 福袋 所持金:450000ギル(リボ払い残高0ギル)
装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
白魔法: ケアル ケイト(ケアルラ) 空蝉の術
オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾
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ケイト(小山内健人) 小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
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タングニョースト トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
ペギー 異世界の万屋
ユーリア ヘルム島の少女
ナフタリン ユグドラシルのメッセンジャー族ラタトスクの生き残り
その他 フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
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