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214『黄泉比良坂に到着』
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RE・かの世界この世界
214『黄泉比良坂に到着』テル
中海を右に見ながら山陰線に沿って西に進む。
「こっちだよ」
ヨネコが指差したのは、山陰線を南に跨ぐ踏切だった。
踏切を跨ぐと舗装道路は尽き、お伽話に出てくるような地道になって山に呑み込まれている。
ヒルデ:「車はここまでだな」
イサナギ:「ありがとう、雪舟ねずみくんは、ここで待っていてください」
雪舟ねずみ:「車なら心配しないでください……えい」
雪舟ねずみが指を回すと車は水墨画の絵になってしまい、一同は車中に居た時と同じ順番で道に立っていた。
タングニョースト:「ほう、便利なものだな」
ヒルデ:「ちょっと羨ましい」
あっちの異世界では二号戦車や四号戦車に乗っていて、メンテナンスや駐車には神経をつかったものだ。
桃太郎二号:「帰りはリムジンバスとかにならねえのか?」
雪舟ねずみ:「アハハ、うちはタクシー会社なものでぇ(^_^;)」
イザナギ:「さ、では行きましょうか」
ヨネコ:「ここから先はヨネコも分からないからね」
イザナギ:「大丈夫です、もともとわたしの任務なんですから」
そう言って、イザナギさんは一同の先頭に立った。
イザナギさんの後ろ、左右にヒルデとタングニョーストが寄り添い、最後尾は騎乗の与一殿が位置を占める。
さすがは戦士たちだ、警戒すべきところに来ると、自然に警戒のフォーメーションになっている。
ザッ ザッ ザッ…………
地道なので、八人と馬一頭が踏みしめる足音も雰囲気。
小さな峠にさしかかると、左側に池が空を映して景色が明るくなる。
イザナギ:「あそこですね」
池の反対側に一列にならなければ通れないような地道が上っていて、その曲がった先の開けたところに二本の石柱が立っている。
どうやら、これが黄泉比良坂。ここを上った先が、いよいよ黄泉の国だ。
テル:「いよいよですね!」
大事を前に、あまり話しかけてはいけないと思っていたのだけど、つい言ってしまう。
そんなわたしに、イザナギさんは穏やかに返した。
イザナギ:「その前に、白うさぎの頼まれごとをやりましょう」
ああ……そうだった。
岡山から、ここに来るまで何度も思い出していたんだけど、踏切を渡ってからは黄泉の国攻略しか頭になくて、つい忘れていた。
「さあ、それでは」
イザナギさんが懐から取り出した手紙は、ゆうに軽トラック一台分ぐらいの量があった。
みんな:「「「「「「おお!」」」」」」
ケイト:「こんなにあったんだ!」
イザナギ:「圧縮してあったんですよ」
ケイト:「ゲームソフトみたいだなあ」
ヒルデ:「おちゃらけた感じの娘だったが、これは、かなり気合を籠めて集めたようだな」
イザナギ:「では、火を……」
与一:「しばしお待ちを」
イザナギ:「どうかしましたか?」
与一:「これだけの手紙、籠められた思いも、相当なものでしょう……」
あ…………想像力が働いてしまった。
もし、イザナギさんがイザナミさんに手紙を書いたら、溢れる愛情と真っ黒な後悔でいっぱいの手紙になるだろう。
ヒルデがヴァルキリーの戦士たちに手紙を書いたら、天国に行かせるつもりがラグナロクの最終戦争にぶち込んでしまったのだから、血を吐くような後悔とお詫びの手紙になる。
もし、あの時、殺してしまった冴子に、わたしが手紙を書いたら……考えるだけで恐ろしい。
穏やかに、思い出や感謝の言葉が書かれていても、そこに凝固した思いはすごい熱量が籠っている。
与一:「ものによっては爆発するかもしれません……少し離れたところから、火矢をいかけてみましょう」
ヒルデ:「それは、良い考えだ」
イザナギ:「そうですね、よく気が付いてくれました」
桃太郎二号:「じゃ、ちょっと下がって射ってみるかぁ?」
イザナギ:「下がっただけでは、黄泉の国に向かって矢を射ることになります……そうだ、下の道から横向きに射ってはどうでしょう?」
与一:「分かりました、では、いったん下に下りましょう」
みんなで来た道を戻っった。
与一殿は、火をつけた矢をキリキリ引き絞ると屋島を思わせる見事さで矢を放ち、一発で手紙の山に火を点けた。
ボ!! ボワァアアアア! ボボボボ! ボボン! ボン! ボン!
与一殿が言った通り、手紙に山は小爆発を伴いながら激しく燃え上がった……
☆ ステータス
HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術
オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
ペギー 異世界の万屋
ユーリア ヘルム島の少女
その他 フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
日本神話の神と人物 イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ 櫛名田比売 ヨネコ
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
214『黄泉比良坂に到着』テル
中海を右に見ながら山陰線に沿って西に進む。
「こっちだよ」
ヨネコが指差したのは、山陰線を南に跨ぐ踏切だった。
踏切を跨ぐと舗装道路は尽き、お伽話に出てくるような地道になって山に呑み込まれている。
ヒルデ:「車はここまでだな」
イサナギ:「ありがとう、雪舟ねずみくんは、ここで待っていてください」
雪舟ねずみ:「車なら心配しないでください……えい」
雪舟ねずみが指を回すと車は水墨画の絵になってしまい、一同は車中に居た時と同じ順番で道に立っていた。
タングニョースト:「ほう、便利なものだな」
ヒルデ:「ちょっと羨ましい」
あっちの異世界では二号戦車や四号戦車に乗っていて、メンテナンスや駐車には神経をつかったものだ。
桃太郎二号:「帰りはリムジンバスとかにならねえのか?」
雪舟ねずみ:「アハハ、うちはタクシー会社なものでぇ(^_^;)」
イザナギ:「さ、では行きましょうか」
ヨネコ:「ここから先はヨネコも分からないからね」
イザナギ:「大丈夫です、もともとわたしの任務なんですから」
そう言って、イザナギさんは一同の先頭に立った。
イザナギさんの後ろ、左右にヒルデとタングニョーストが寄り添い、最後尾は騎乗の与一殿が位置を占める。
さすがは戦士たちだ、警戒すべきところに来ると、自然に警戒のフォーメーションになっている。
ザッ ザッ ザッ…………
地道なので、八人と馬一頭が踏みしめる足音も雰囲気。
小さな峠にさしかかると、左側に池が空を映して景色が明るくなる。
イザナギ:「あそこですね」
池の反対側に一列にならなければ通れないような地道が上っていて、その曲がった先の開けたところに二本の石柱が立っている。
どうやら、これが黄泉比良坂。ここを上った先が、いよいよ黄泉の国だ。
テル:「いよいよですね!」
大事を前に、あまり話しかけてはいけないと思っていたのだけど、つい言ってしまう。
そんなわたしに、イザナギさんは穏やかに返した。
イザナギ:「その前に、白うさぎの頼まれごとをやりましょう」
ああ……そうだった。
岡山から、ここに来るまで何度も思い出していたんだけど、踏切を渡ってからは黄泉の国攻略しか頭になくて、つい忘れていた。
「さあ、それでは」
イザナギさんが懐から取り出した手紙は、ゆうに軽トラック一台分ぐらいの量があった。
みんな:「「「「「「おお!」」」」」」
ケイト:「こんなにあったんだ!」
イザナギ:「圧縮してあったんですよ」
ケイト:「ゲームソフトみたいだなあ」
ヒルデ:「おちゃらけた感じの娘だったが、これは、かなり気合を籠めて集めたようだな」
イザナギ:「では、火を……」
与一:「しばしお待ちを」
イザナギ:「どうかしましたか?」
与一:「これだけの手紙、籠められた思いも、相当なものでしょう……」
あ…………想像力が働いてしまった。
もし、イザナギさんがイザナミさんに手紙を書いたら、溢れる愛情と真っ黒な後悔でいっぱいの手紙になるだろう。
ヒルデがヴァルキリーの戦士たちに手紙を書いたら、天国に行かせるつもりがラグナロクの最終戦争にぶち込んでしまったのだから、血を吐くような後悔とお詫びの手紙になる。
もし、あの時、殺してしまった冴子に、わたしが手紙を書いたら……考えるだけで恐ろしい。
穏やかに、思い出や感謝の言葉が書かれていても、そこに凝固した思いはすごい熱量が籠っている。
与一:「ものによっては爆発するかもしれません……少し離れたところから、火矢をいかけてみましょう」
ヒルデ:「それは、良い考えだ」
イザナギ:「そうですね、よく気が付いてくれました」
桃太郎二号:「じゃ、ちょっと下がって射ってみるかぁ?」
イザナギ:「下がっただけでは、黄泉の国に向かって矢を射ることになります……そうだ、下の道から横向きに射ってはどうでしょう?」
与一:「分かりました、では、いったん下に下りましょう」
みんなで来た道を戻っった。
与一殿は、火をつけた矢をキリキリ引き絞ると屋島を思わせる見事さで矢を放ち、一発で手紙の山に火を点けた。
ボ!! ボワァアアアア! ボボボボ! ボボン! ボン! ボン!
与一殿が言った通り、手紙に山は小爆発を伴いながら激しく燃え上がった……
☆ ステータス
HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術
オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
ペギー 異世界の万屋
ユーリア ヘルム島の少女
その他 フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
日本神話の神と人物 イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ 櫛名田比売 ヨネコ
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
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