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024『カマイタチ・1』
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せやさかい
024『カマイタチ・1』
それはカマイタチやで。
テイ兄ちゃんが声を潜めて言う。
檀家周りから帰って来たとこで、当然墨染の衣。オフの時は年相応に軽薄なニイチャンやけど、さすがに神妙な坊主の面構えで言われると――そうやったんか!――と納得してしまう。
実はね……
学校からの帰り道、ボーっと歩いてたら、目の前にシュって感じで黒い切込みが走った。
ほら、マンガで刀なんか振り下ろしたら、エフェクトが入るでしょ。刀が振り下ろされた線に沿って、シュッってな感じで。
それは、音もなく後ろからやってきて、あたしの脇を掠めるようにして急上昇して視界から消えてしもた。
それだけやったら「あれ?」でしまいやねんけど。
気ぃついたら制服の脇が五センチほどスパッと切れてた!
キャーーーーーー!
と、悲鳴は出てこーへん。
早足で家に帰って、ちょうど檀家さんから帰って来たばっかりのテイ兄ちゃんを掴まえたというわけなんよ。
「それで、どこを切られたんや?」
え、なんで切られたん知ってんねんやろ? 黒いもんが過ぎたとしか言うてへんのに。
「カマイタチいうのんは、そうやって、知らん間に切り傷させよんねんぞ」
とっさに、脇を隠した。
「ちょっと、見せてみい」
意外に強い力で手をどけられて、テイ兄ちゃんの顔色が変わった。
「な、なんや、これは!?」
情けないことに、あたしは気を失った。
気ぃついたらソファーに寝かされてた。タオルケットが掛けられてて、上着は脱がされてた。
「大丈夫か?」
傍には美保おばちゃんが居てて、優しく声をかけてくれた。
「か、カマイタチは……」
「カマイタチとちゃうよ。花ちゃん、だれかに制服切られたんや」
「え? え? ええ!?」
「キャミにも肌にも傷が無いから、たぶん、学校で切られたんちゃうやろか。体育の授業とかなかった?」
「六時間目体育やった」
「たぶん、その時に切られたんとちゃうか」
「これは、学校に言うたほうがええで」
テイ兄ちゃんが、マジな顔で言う。
制服切られるやなんて怖い……なんか人に恨まれるようなことやったんやろか……?
「こういうことは、早く動いた方がええで、俺が電話しよか?」
「いや、わたしがやるわ。あんたはさくらちゃんに付いといたって」
伯母ちゃんはスマホを持って廊下へ、テイ兄ちゃんは向かいのソファーに腰かけた。
心配したお祖父ちゃんの声も聞こえる。いつのまに帰って来たのかコトハちゃんの声も……なんや、とんでもないことになってきたよ(;'∀')。
024『カマイタチ・1』
それはカマイタチやで。
テイ兄ちゃんが声を潜めて言う。
檀家周りから帰って来たとこで、当然墨染の衣。オフの時は年相応に軽薄なニイチャンやけど、さすがに神妙な坊主の面構えで言われると――そうやったんか!――と納得してしまう。
実はね……
学校からの帰り道、ボーっと歩いてたら、目の前にシュって感じで黒い切込みが走った。
ほら、マンガで刀なんか振り下ろしたら、エフェクトが入るでしょ。刀が振り下ろされた線に沿って、シュッってな感じで。
それは、音もなく後ろからやってきて、あたしの脇を掠めるようにして急上昇して視界から消えてしもた。
それだけやったら「あれ?」でしまいやねんけど。
気ぃついたら制服の脇が五センチほどスパッと切れてた!
キャーーーーーー!
と、悲鳴は出てこーへん。
早足で家に帰って、ちょうど檀家さんから帰って来たばっかりのテイ兄ちゃんを掴まえたというわけなんよ。
「それで、どこを切られたんや?」
え、なんで切られたん知ってんねんやろ? 黒いもんが過ぎたとしか言うてへんのに。
「カマイタチいうのんは、そうやって、知らん間に切り傷させよんねんぞ」
とっさに、脇を隠した。
「ちょっと、見せてみい」
意外に強い力で手をどけられて、テイ兄ちゃんの顔色が変わった。
「な、なんや、これは!?」
情けないことに、あたしは気を失った。
気ぃついたらソファーに寝かされてた。タオルケットが掛けられてて、上着は脱がされてた。
「大丈夫か?」
傍には美保おばちゃんが居てて、優しく声をかけてくれた。
「か、カマイタチは……」
「カマイタチとちゃうよ。花ちゃん、だれかに制服切られたんや」
「え? え? ええ!?」
「キャミにも肌にも傷が無いから、たぶん、学校で切られたんちゃうやろか。体育の授業とかなかった?」
「六時間目体育やった」
「たぶん、その時に切られたんとちゃうか」
「これは、学校に言うたほうがええで」
テイ兄ちゃんが、マジな顔で言う。
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「こういうことは、早く動いた方がええで、俺が電話しよか?」
「いや、わたしがやるわ。あんたはさくらちゃんに付いといたって」
伯母ちゃんはスマホを持って廊下へ、テイ兄ちゃんは向かいのソファーに腰かけた。
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