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071『ニャンコの正体・2』
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せやさかい
071『ニャンコの正体・2』
亡き人のおかげで アミダさまの前に座っている
浄土真宗今月の標語の横に『迷子の子ネコ預かってます』のポスターを貼る。
山門横のお寺の掲示板やから、そこらへんの電柱やら塀に貼ってるよりも人に見てもらえる。
「はよ飼い主見つかるとええなあ」
押しピンを片付けながらテイ兄ちゃん。見守ってるあたしとコトハちゃんは、ちょっと複雑。
きのう学校から連れて帰ってから、ますます可愛さがつのってきて、帰って来るなり子ネコと目線が合うてしもたコトハちゃんも一発でメロメロ。
コトハちゃんとは、部屋が向かい同士なんで、日付が変わるまで二人の部屋を行き来する子ネコを追いかけたり撫でまわしたり、モフモフしたり。子ネコが寝付いてからも二人で子ネコを挟んでニマニマしてた。
これでは情が移り過ぎると判断したおっちゃんが、ポスターを作って山門脇の掲示板に貼ったというわけ。
もう、飼い主なんか現れへんほうがええ!
そう、思てても口には出さない。あたしもコトハちゃんもギリギリ理性は保ってる。
ちなみに、子ネコを呼ぶときは『ねこちゃん』にしてる。
なんでか言うと、飼い猫やったら、すでに名前が付いてる。へたに名前つけて、飼い主が現れたら混乱するからね。
賢い子ネコで、おトイレは一発で覚えたし、あたしが連れ出せへんかぎり、二階からは下りてけえへん。
お祖父ちゃんの発案で、子ネコの首に鈴をつける。
チリン
うちは三百坪はあるお寺やさかい、居所が分からんようになったらマズイということで、直径二センチほどの鈴。嫌がるかと思たら、ニャーと一声、本人も気に入りましたいう感じ。
二階でねこちゃんと遊んでると、玄関の方で覚えのある声。
これは……落語家の桂米国さん。
一学期にも、うちの本堂で落語会をやってた。たぶん、こんどやる落語会の打合せやろなあ。
コトハちゃんは部活で出てるし、伯母さんも出かけてるし、今の女手は、あたし一人。お茶の一つも出さならあかんので「ちょっと大人ししててな」とネコちゃん言うて一階へ。
「あ、ちょうどええわ。いま、呼ぼうか思てたとこや」
階段を途中まで下りると、おっちゃんが顔を出してる。おっちゃんの手ぇには、さっき貼ったばっかりのポスター。
え、もう飼い主が見つかった!?
衝撃が体を突き抜ける。
「あ、ちゃうちゃう」
伯父さんの後ろの米国さんが手ぇ振ってる。
「ポスターに『メインクーンの子ネコ』て書いたあるでしょ」
「は、はい」
「メイクーンの子ネコは、けっこうな値段するからね……」
思い出した、頼子さんが20万円以上する言うてた。
「そうや、その値段につられて、ニセの飼い主が来るかもしれへんでえ」
そ、そうだ。思い至らへんかった!
「せやから、そこは伏せたポスターにせなあかんいう、米国さんの忠告やねん」
「そ、そうですね。そないしましょ!」
わたしに異論はない。
「よかったら、子ネコ見せてくれる? うちの実家ブリーダーやってるから、確認できるよ」
「そ、そうなんや」
二階からねこちゃんを連れて、リビングに下りる。
「おお、なんちゅうカイラシイネコちゃんや。ささ、この米国さんとこおいでえ~」
優しい顔して、ネコちゃんを受け取ると、胸に抱っこして、あれこれチェックする米国さん。
「……この子は、メイクーンの血ぃが入った雑種やなあ。たぶん、母親がメイクーン。全体の特徴はメイクーンやけど、あちこちの特徴がちゃうわ」
「そ、そうなんですか(⊙#ꇴ#⊙)!」
自分でも狼狽えるくらい安心してしもた。
071『ニャンコの正体・2』
亡き人のおかげで アミダさまの前に座っている
浄土真宗今月の標語の横に『迷子の子ネコ預かってます』のポスターを貼る。
山門横のお寺の掲示板やから、そこらへんの電柱やら塀に貼ってるよりも人に見てもらえる。
「はよ飼い主見つかるとええなあ」
押しピンを片付けながらテイ兄ちゃん。見守ってるあたしとコトハちゃんは、ちょっと複雑。
きのう学校から連れて帰ってから、ますます可愛さがつのってきて、帰って来るなり子ネコと目線が合うてしもたコトハちゃんも一発でメロメロ。
コトハちゃんとは、部屋が向かい同士なんで、日付が変わるまで二人の部屋を行き来する子ネコを追いかけたり撫でまわしたり、モフモフしたり。子ネコが寝付いてからも二人で子ネコを挟んでニマニマしてた。
これでは情が移り過ぎると判断したおっちゃんが、ポスターを作って山門脇の掲示板に貼ったというわけ。
もう、飼い主なんか現れへんほうがええ!
そう、思てても口には出さない。あたしもコトハちゃんもギリギリ理性は保ってる。
ちなみに、子ネコを呼ぶときは『ねこちゃん』にしてる。
なんでか言うと、飼い猫やったら、すでに名前が付いてる。へたに名前つけて、飼い主が現れたら混乱するからね。
賢い子ネコで、おトイレは一発で覚えたし、あたしが連れ出せへんかぎり、二階からは下りてけえへん。
お祖父ちゃんの発案で、子ネコの首に鈴をつける。
チリン
うちは三百坪はあるお寺やさかい、居所が分からんようになったらマズイということで、直径二センチほどの鈴。嫌がるかと思たら、ニャーと一声、本人も気に入りましたいう感じ。
二階でねこちゃんと遊んでると、玄関の方で覚えのある声。
これは……落語家の桂米国さん。
一学期にも、うちの本堂で落語会をやってた。たぶん、こんどやる落語会の打合せやろなあ。
コトハちゃんは部活で出てるし、伯母さんも出かけてるし、今の女手は、あたし一人。お茶の一つも出さならあかんので「ちょっと大人ししててな」とネコちゃん言うて一階へ。
「あ、ちょうどええわ。いま、呼ぼうか思てたとこや」
階段を途中まで下りると、おっちゃんが顔を出してる。おっちゃんの手ぇには、さっき貼ったばっかりのポスター。
え、もう飼い主が見つかった!?
衝撃が体を突き抜ける。
「あ、ちゃうちゃう」
伯父さんの後ろの米国さんが手ぇ振ってる。
「ポスターに『メインクーンの子ネコ』て書いたあるでしょ」
「は、はい」
「メイクーンの子ネコは、けっこうな値段するからね……」
思い出した、頼子さんが20万円以上する言うてた。
「そうや、その値段につられて、ニセの飼い主が来るかもしれへんでえ」
そ、そうだ。思い至らへんかった!
「せやから、そこは伏せたポスターにせなあかんいう、米国さんの忠告やねん」
「そ、そうですね。そないしましょ!」
わたしに異論はない。
「よかったら、子ネコ見せてくれる? うちの実家ブリーダーやってるから、確認できるよ」
「そ、そうなんや」
二階からねこちゃんを連れて、リビングに下りる。
「おお、なんちゅうカイラシイネコちゃんや。ささ、この米国さんとこおいでえ~」
優しい顔して、ネコちゃんを受け取ると、胸に抱っこして、あれこれチェックする米国さん。
「……この子は、メイクーンの血ぃが入った雑種やなあ。たぶん、母親がメイクーン。全体の特徴はメイクーンやけど、あちこちの特徴がちゃうわ」
「そ、そうなんですか(⊙#ꇴ#⊙)!」
自分でも狼狽えるくらい安心してしもた。
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