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121『大仙高校訪問記・3』
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121『大仙高校訪問記・3』
感想はMCの質問に答えるというかたちでおこなわれた。
「学年とお名前をお願いします」
「安泰中学三年生の夕陽丘と申します」
「では、質問にお答えいただく形で進めたいと思います」
まあスマートボールみたいなので選ばれるわけやから、誰に当るか分からへんわけで。スラスラと感想言えるような中学生は、そうそう居てるわけやない。MCが質問形式でリードするのは分かる。
「制服は、どれが良かったですか?」「この講堂がある旧館の校舎はどうですか?」「街で見かける大仙高校生の印象は?」とかまでは良かった。
「ええと、夕陽丘さんは……ひょっとして昨年末にテレビとかに出ておられたヤマセンブルグ公国の?」
「あ、えと……」
少し言いよどんで、頼子さんは「でも、ここへは安泰中学の三年生として伺っています」と答えた。
「じゃ、ヤマセンブルグ公国のプリンセスであることは確かなんですね!?」
やっぱり! おお! プリンセスや! そんな声があちこちから聞こえだした。
まあ、いくら制服を着ているとはいえ、金髪に碧眼で、このルックス。いや、そもそもこの制服で女王陛下と皇居に行ったりしてたから、たいていの人には丸わかり。
でも、堺の人らは頼子さんが普通の中学生をしてる時は血筋の事に触れてくることは無い。
せやさかいに、いきなり王女としての質問が来るとは思てへんかった。
それからは大仙高校のことなんかそっちのけで、頼子さんへの質問が浴びせかけられる。
立場上ムゲな答え方をするわけにもいかず、言葉を選びながらにこやかに応じる頼子さん。
「ちょっと変だよ」
留美ちゃんが、うちの袖を引っ張った。
「え?」
「あのMC、質問表みたいなのを見ながら聞いてる」
「あ」
せや、質問表があるということは、あらかじめ頼子さんが出てくるのを知ってて準備してたいうこっちゃ!
「でしょ」
これは仕組まれてたか? でも、くじ引き同然で選ばれてるし……せやけど……でも、なんで?
頭がグルグルしてきた。MCの質問は王位継承の突っ込んだ話になりかけてきた、そういうことには答えることはでけへんはずやで!
あたしは、自分の事のようにオロオロしてきた。
すると……。
ドーーーーーン!
床の下から突き上げるような音がした。え、え、なに? なに!?
わたしだけやない、会場に居てるものみんなが不安げにキョロキョロし始める。
「みなさん、指示に従って非難してください!」
会場入り口のドアを開けて生徒会の女生徒さんが声を張り上げた!
一瞬、去年の京アニの事件を思い出したけど、すぐに別の理由や言うのが分かった。
開け放たれ入り口の向こう、一階への階段から猛然と水が噴き出してるのが分かった。ドアが開いたせいで風の流れが出来て、噴き出した水の飛沫が、ここまで飛んでくる。
「老朽化した水道管が破裂しただけです、火事とか爆発とかは起こりません。舞台の裏側に別の階段があるんで、そこから非難します。けして走らず、落ち着いて付いて来て下さい」
MCの呼びかけで大仙高校の生徒会が誘導してくれて、裏口から非難することができた。
旧校舎は、裏側が面白かった。
避難しながらやから落ち着いては見てられへんかったけど、昔の張り紙やら落書きやらがあって、なんかジブリの『コクリコ坂から』に出てきたカルチェラタンみたい。
頼子さんも質問にはゲンナリやったけど、面白そうにキョロキョロ。
「あ、初めて見た!」
留美ちゃんが嬉しそうに声をあげた先には色褪せた赤ペンキで四文字熟語があった。
造反有理!!
なんのこっちゃ?
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