129 / 432
129『大仙公園』
しおりを挟むせやさかい
129『大仙公園』
一昨日の三日はヤマセンブルグと堺の二元中継でひな祭りをやった。
テイ兄ちゃんが本堂と部室と境内の三か所にカメラを設置してくれて『ひな祭りの如来寺』を、ヤマセンブルグは頼子さんがカメラを持って、自分の部屋を中心に宮殿の中を中継のやり合いっこ。
うちのお寺はともかく、宮殿は写したらあかんとこや、気いつけて撮らならあかんとこがあって、中継中もジョン・スミスとソフィアが付いてアシスタント……いうよりは監視役。
途中、女王陛下がフレームに入ると言うハプニングもあったんやけど、機転を利かした女王様が『蛍の光』の原曲である『オールド・ラング・サイン』をジョン・スミスとソフィア入もれてトリオで聞かせてくれたのはラッキー。本堂のお婆ちゃんらも「いやあ『蛍の光』といっしょや!」と感激。いえいえ、元々はスコットランドの歌で、スコットランドに縁の深いヤマセンブルグでも歌われてと説明すると驚いてた。
「あれは『はよ終われ』いうサインやで」とお祖父ちゃん言われて、そそくさと終わる。
でも、頼子さんが日本の、いや、堺の春を楽しみにしてるのはしっかり伝わったので、留美ちゃんと二人、カメラを持って、堺の春を訪ねることにした。むろん運転手はテイ兄ちゃん。
まず訪れたんが『大仙公園』です。
38ヘクタールの有料公園。有料と言ってもよく見ると日本庭園だけで、一般200円、中学生は100円というお手軽さ。
ヘクタール言うのは1万平方メートル(縦横100メートル)と同じで小学校で言うたら100校分くらい。歴史公園百選の中にも入っていてる優れもん。
「ほな、三時に迎えに来るからな」
わたしらを下ろすと、テイ兄ちゃんはさっさと行ってしまう。
檀家さんとこの月参りがあるからやけど、あきらかに頼子さんが居てる時と態度がちがう。
ま、ええけど。
「うわー、広いんだ!」
案内板を見て感動の留美ちゃん。
「留美ちゃんも初めて?」
「うん、遠足があったんだけど、風邪で休んでたから」
詩(ことは)ちゃんの話では、堺の子ぉやったら、遠足とかでたいていは来たことがあるらしい。
あたしは、去年の三月までは大阪市の子ぉやったから知らんのは当たり前やねんけど……ま、人間秘密があるほうが面白い。
「うわあ、三時までなんてまわり切れないよ!」
たしかに38ヘクタールはとてつもない。スマホで調べてみると大阪城公園が105ヘクタール。その半分もないねんけど、平べったいとこにあるせいか広く感じる。
「大阪城って、お堀の面積がかなりあるし、普通行くのは大手門から本丸と西の丸くらいだからね、ここの方が実質は広いかもしれない」
「あ、レンタサイクルがある」
どうやら急いで回るには自転車に乗らならあかんくらい。
元気な中学生は歩く!
「あれは給水塔?」
木の間がくれに直方体の塔が見えてくる。
「図書館からでも見えてたよ」
え? 隣接する中央図書館には何度か来てる(なんちゅうても文芸部ですよってに)ねんけど気ぃつけへんかった。
「あれは、平和の塔って言うんだよ」
平和の塔と言われて、ちょっと違和感。なんや、広島とか長崎に相応しそうで、それに、どうにも棒状の建造物で感想の言いようもない。
「上から見ると三角形になってるんだよ、意味わかる?」
留美ちゃんらしからぬ意地悪な質問。
「それはやね……堺市は財政が苦しかったさかいに四角形にする余裕があれへんかった、とか?」
市長さんが聞いたら怒りそうな答えを言う。
「堺ってね、旧分国で言うと、摂津、河内、和泉の三加国に跨るんで、その三つの国に面してるって意味なんだよ」
「え、ほんま?」
「ほんまほんま、堺って言葉の語源も、三つの国の境からきてるんだよ」
「境にある街?」
「うん、あ、疑ってる?」
「あ、いえいえ……」
ただの不勉強です。それにしても留美ちゃんは賢い!
「こりゃ、漫然と歩いちゃいそうだね……」
「せや、テーマを絞りこも!」
「あ、いいかも!」
相談して、春の草花。
盛りの花と、これから咲きそうな花を撮影する。
「まずは梅だね」
梅はところどころで満開になってた。紅梅に白梅、桜よりも寿命が長いようで、今月の下旬までは見られるらしい。
「ほんなら、これからシーズンの桜を撮りまくろ!」
不勉強なわたしでも、桜は何種類かあるのを知ってる。ソメイヨシノとか……ソメイヨシノとか……ソメイヨシノとか(^_^;)?
「いいね、ちょっと調べてみる!」
調べまくりの留美ちゃん。その結果……。
「51種類もあるよ、どうする?」
「さいですか」
「ふふ、サクラというのは奥が深そうね」
けっきょく、ソメイヨシノとオオシマザクラと八重桜を確認。
確認は札を見ただけね。花が咲いてない桜はどれ見ても区別がつきません。
え? 留美ちゃんが言うた『サクラというのは奥が深い』て……ひょっとして、あたしのことも入ってるわけ?
せやけど、聞かぬが花……やろね。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
孤児が皇后陛下と呼ばれるまで
香月みまり
ファンタジー
母を亡くして天涯孤独となり、王都へ向かう苓。
目的のために王都へ向かう孤児の青年、周と陸
3人の出会いは世界を巻き込む波乱の序章だった。
「後宮の棘」のスピンオフですが、読んだことのない方でも楽しんでいただけるように書かせていただいております。
親愛なる後輩くん
さとう涼
恋愛
「神崎部長は、僕と結城さんがつき合っているのを知りながら彼女に手を出したんですよ」
雨宮一紗(33歳)。離婚して3年。
同じ会社に勤める元夫・神崎敦朗と復縁したくて、ある日食事に誘ったら、神崎から恋人がいると知らされる。相手は20代の部下・結城史奈だという。
さらに神崎のもうひとりの部下である蓮見閑《しずか》から、彼女(結城)を神崎に略奪されたと聞かされてしまい、大きなショックを受ける……。
後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜
二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。
そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。
その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。
どうも美華には不思議な力があるようで…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる