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309『制服リユース』
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せやさかい
309『制服リユース』さくら
朝ごはんの後片付けして、ちょっとだけソファーに座ったら寝てしもた。
歳時記的には『春眠暁を覚えず』ちゅうとこやねんけど、五月も末では洒落になりません。
「もう、テイ兄ちゃんがエアコン点けるさかい~」
理不尽な文句を言うて冷めたお茶に手を伸ばす。
「エアコンの試運転言うたら、喜んでたんはダレやぁ?」
「え、ああ……」
電気料金が高いので、今年はギリギリまで点けるのんを辛抱、せやけど、もうそれも限界なんで、今朝は試運転をしたわけですわ。
「ちょっと音うるさいけど、まあ、いけるやろ」
「そうねぇ、さくらも、ちゃんと居眠りできてたし」
詩(ことは)ちゃんも手厳しい。
リビングにおったら、どれだけ棚おろしされるか分からへんので、足もとのダミアに躓きそうになりながら部屋に戻る。
ニャー
甘えた声を出して付いてきよる。
並の猫やったらかいらしいねんけど、こいつは体重10キロに近いブタネコ。寄ってこられるだけで暑苦しい。
あれ?
部屋に入って驚いた。
留美ちゃんが、こないだ仕舞ったばっかりの衣装ケース開けて腕組みしてる。
ダミアも畏まってお座り。ブタネコダミアは、留美ちゃんが勉強とかで真剣にしてる時は寄って行かへん。TPOというか、人を見て対応を変えとる。
「なにしてんのん?」
「あ、ビックリ!」
かいらしく驚いて、手にしたものを落としてしまう。
それは、ケースの縁に引っかかって正体が知れる。中学校の時の制服や。
高校の制服が出来た時に嬉しなって、詩ちゃんと頼子先輩にソフィーまで入れて、新旧の制服の撮影会やった。
もう、あれから二か月過ぎたんや。
「また、制服ファッションショー?」
「あ、チガウチガウ(^_^;)」
両手をワイパーみたいにして振る留美ちゃん。
「これだよ、これ」
ズイっとタブレットを差し出した。
「え……リユース制服回収箱?」
「うん、要らなくなった制服を回収して、困ってる人に安くわけてあげる運動なんだって」
「……なるほど、片親の家庭などに……新品を買うと、経済的に……」
ザっと見ただけで分かる。
あたしも留美ちゃんも片親……どころか、残った片親も行方が知れん。
それでも、人並みの高校生活が送れてるのは、行方知れんでも仕送りしてくれてるんと、なんと言うても如来寺のお蔭。
お母さんの実家やねんさかい、せやさかいに当たり前に甘えてるけど、普通の親類は、ここまではしてくれへん。
「それで、寄付しよて思てんねんね」
「うん、でも、手にとって見てると、いろいろ思い出してきて」
「せやねえ……」
ニャーー
ダミアが「わては、服なんか着てまへん。なにを未練な」ちゅう感じで鳴きよる。
「そうや!」
「え?」
ええことを思いついて、詩ちゃんとテイ兄ちゃんに声を掛ける。
「あ、それいいね!」と、詩ちゃんは喜んでくれる。
「え、もったいない!」と、思わず本音のテイ兄ちゃん。
三人分の安泰中学の制服をご本尊さんの前に置いて『制服供養』をやる。
お祖父ちゃんも「それは、ええこっちゃなあ」言うて、導師をやってくれる。
坊主二人に、オバチャンも含めて四人の女が手を合わせてお供養を済ませ、テイ兄ちゃんの車で、回収箱を置いてるドラッグストアへ。
三人で箱に入れて、もう一回手を合わせると、お店の人も丁寧に頭を下げてくれはった。
見上げた空は半分夏やねんけど、スカッと晴れてメチャ気持ちええ!
お祖父ちゃんがくれた諭吉で精進落とし、ファミレスでちょっと美味しいもんをいただきます。
「なんだか、法事のノリね」
詩ちゃんが、テイ兄ちゃんを見て笑う。
ブルセラ傾向のあるテイ兄ちゃんは、ちょっと残念そう。あぶない坊主です。
家に帰ると、配達の遅れてた夏の制服が届いていました。
なんか、中学の制服の生まれ変わりみたいな気がしたよ(^_^;)。
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王位継承者 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー 頼子のガード
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
309『制服リユース』さくら
朝ごはんの後片付けして、ちょっとだけソファーに座ったら寝てしもた。
歳時記的には『春眠暁を覚えず』ちゅうとこやねんけど、五月も末では洒落になりません。
「もう、テイ兄ちゃんがエアコン点けるさかい~」
理不尽な文句を言うて冷めたお茶に手を伸ばす。
「エアコンの試運転言うたら、喜んでたんはダレやぁ?」
「え、ああ……」
電気料金が高いので、今年はギリギリまで点けるのんを辛抱、せやけど、もうそれも限界なんで、今朝は試運転をしたわけですわ。
「ちょっと音うるさいけど、まあ、いけるやろ」
「そうねぇ、さくらも、ちゃんと居眠りできてたし」
詩(ことは)ちゃんも手厳しい。
リビングにおったら、どれだけ棚おろしされるか分からへんので、足もとのダミアに躓きそうになりながら部屋に戻る。
ニャー
甘えた声を出して付いてきよる。
並の猫やったらかいらしいねんけど、こいつは体重10キロに近いブタネコ。寄ってこられるだけで暑苦しい。
あれ?
部屋に入って驚いた。
留美ちゃんが、こないだ仕舞ったばっかりの衣装ケース開けて腕組みしてる。
ダミアも畏まってお座り。ブタネコダミアは、留美ちゃんが勉強とかで真剣にしてる時は寄って行かへん。TPOというか、人を見て対応を変えとる。
「なにしてんのん?」
「あ、ビックリ!」
かいらしく驚いて、手にしたものを落としてしまう。
それは、ケースの縁に引っかかって正体が知れる。中学校の時の制服や。
高校の制服が出来た時に嬉しなって、詩ちゃんと頼子先輩にソフィーまで入れて、新旧の制服の撮影会やった。
もう、あれから二か月過ぎたんや。
「また、制服ファッションショー?」
「あ、チガウチガウ(^_^;)」
両手をワイパーみたいにして振る留美ちゃん。
「これだよ、これ」
ズイっとタブレットを差し出した。
「え……リユース制服回収箱?」
「うん、要らなくなった制服を回収して、困ってる人に安くわけてあげる運動なんだって」
「……なるほど、片親の家庭などに……新品を買うと、経済的に……」
ザっと見ただけで分かる。
あたしも留美ちゃんも片親……どころか、残った片親も行方が知れん。
それでも、人並みの高校生活が送れてるのは、行方知れんでも仕送りしてくれてるんと、なんと言うても如来寺のお蔭。
お母さんの実家やねんさかい、せやさかいに当たり前に甘えてるけど、普通の親類は、ここまではしてくれへん。
「それで、寄付しよて思てんねんね」
「うん、でも、手にとって見てると、いろいろ思い出してきて」
「せやねえ……」
ニャーー
ダミアが「わては、服なんか着てまへん。なにを未練な」ちゅう感じで鳴きよる。
「そうや!」
「え?」
ええことを思いついて、詩ちゃんとテイ兄ちゃんに声を掛ける。
「あ、それいいね!」と、詩ちゃんは喜んでくれる。
「え、もったいない!」と、思わず本音のテイ兄ちゃん。
三人分の安泰中学の制服をご本尊さんの前に置いて『制服供養』をやる。
お祖父ちゃんも「それは、ええこっちゃなあ」言うて、導師をやってくれる。
坊主二人に、オバチャンも含めて四人の女が手を合わせてお供養を済ませ、テイ兄ちゃんの車で、回収箱を置いてるドラッグストアへ。
三人で箱に入れて、もう一回手を合わせると、お店の人も丁寧に頭を下げてくれはった。
見上げた空は半分夏やねんけど、スカッと晴れてメチャ気持ちええ!
お祖父ちゃんがくれた諭吉で精進落とし、ファミレスでちょっと美味しいもんをいただきます。
「なんだか、法事のノリね」
詩ちゃんが、テイ兄ちゃんを見て笑う。
ブルセラ傾向のあるテイ兄ちゃんは、ちょっと残念そう。あぶない坊主です。
家に帰ると、配達の遅れてた夏の制服が届いていました。
なんか、中学の制服の生まれ変わりみたいな気がしたよ(^_^;)。
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王位継承者 聖真理愛女学院高校三年生
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