せやさかい

武者走走九郎or大橋むつお

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365『今日から十二月!』

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せやさかい

365『今日から十二月!』さくら    




 ちょっと早いんじゃないかい?


 朝ごはんを済ませた留美ちゃんが部屋に入ってくるなり批評する。

「せやかて、今日から十二月やでえ」

「ん……まあ、人それぞれだからね」

 留美ちゃんは、ようできた子ぉなんで、それ以上批評めいたことは言いません。

 昨日の天気予報で『明日の大阪は、最低気温8度、日が上がってからも、それほど気温は上がらず、最高気温は12度程度でしょう。これは大陸性高気圧が……』てなことを言うてた。



 せやさかい、夕べは、お風呂あがってからは留美ちゃんと二人で冬の制服をチェックした。



 指定のピーコート マフラー タイツ 厚手の靴下 イヤーマフ その他いろいろ

 なんせ、堺東の『ハンゼイ』までは自転車。きっちり防寒対策しとかんと寒い。

 で、うちは、朝ごはんをチャッチャと済ませて、防寒対策していたというわけ。

「じゃ、行こうか」

「え、留美ちゃんはなんにもなし?」

「マフラーは入れてるよ」

 カバンをポンと叩いて階段を降りていく。

 ミヤー

 ブタネコのダミアが布団の中から「いってらっしゃい」とも「ようやるわ」ともとれる挨拶。

「おお、もう十二月やねんなあ」

 ほっこりお茶を飲んでるお祖父ちゃんに「「行ってきまーす」」と声を掛けて、師走初日の街に自転車を走らす。



 しもた!



 自転車を走らせて三十秒で後悔した。

 ハンドルを握る手ぇがめっちゃ冷たい!

 乗った最初はひんやりして気持ちええくらいやったんやけど、角を曲がって正面から風を受けるようになって、冷たさは痛いくらいになってきた。

「まあ、ハンゼイまでの十分ほどだから(^_^;)」

 片手運転にして、息をハーハーあててるうちを慰めてくれる留美ちゃん。

 見ると、留美ちゃんは普段通りの制服姿で、手ぇだけはきっちり手袋。

 く、くそぉ……

「片方貸そうか?」

 自転車を寄せてきて、親切に言うてくれる留美ちゃん。

「え、ええよ、大丈夫。すぐに温くなってくるしい」

 と、くるしいやせ我慢。

 で、目いっぱい漕ぎまくって、いつもより三十秒は早くハンゼイの駐車場へ。



「あ、暑い……」



 手は相変わらず、痛いぐらいに冷たいねんけど、ピーコートにマフラーして、耳にはイヤーマフまでしたうちは、もうユデダコみたいになってしまいました。

 けっきょく、マフラーとイヤーマフはカバンの中に、ピーコートは手に抱えて、電車の中では邪魔になりまくり。

「まあ、仕方がないよね。初めての冬なんだもんね(^_^;)」

 留美ちゃんは慰めてくれる。この慰めが嫌味になれへんのは、やっぱり人柄やと思う。

 

 学校で話したら、頼子さんは「アハハハハ」とノドチンコむき出しで笑う。

 SSシスターズ(ソフィーとソニー)は「フ」と鼻で笑うだけ。

「でも、自分の失敗をネタに、これだけ話題と笑いをふりまけるのは才能だと思うよ」

 メグリンは的確なんか残酷なんか分からん感想。



 で、帰りしなの下足室。



「あ、ピーコートは?」

「あ!?」

 留美ちゃんに指摘されて、教室まで走って取りに戻るうちでした!



 スポーツ苦手の話をするはずやったんやけど、また今度ね(^_^;)。

 

☆・・主な登場人物・・☆

酒井 さくら     この物語の主人公  聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌       さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観      さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念      さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一      さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは)  さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保      さくらの義理の伯母 諦一 詩の母 
榊原 留美      さくらと同居 中一からの同級生 
夕陽丘頼子      さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー       ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
ソニー        ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
月島さやか      さくらの担任の先生
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
百武真鈴(田中真央) 高校生声優の生徒会長
女王陛下       頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首  

 
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