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377『テイ兄ちゃんの偵察に付き合う』
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せやさかい
377『テイ兄ちゃんの偵察に付き合う』さくら
元日の昼まで東近江市のお寺におって、夕方に堺に帰ってきた。
除夜の鐘撞いた後も、交代でお風呂に入ってしゃべくりまくって、いつ寝たんやら起きたんやら(^_^;)。
お雑煮をいただいて「こんなお雑煮初めて!」と感動したのはメグリン。
「古閑さんは、どんなお雑煮だったの?」
詩ちゃんが興味深そうに聞く。
「お雑煮って、すまし汁に角餅でした」
「古閑さん、もともとは関東の人なのね?」
「はい、父も母も東京です」
メグリンは、お父さんが幹部自衛官で、子どもの頃から引っ越しばっかり。行く先々で、うまいこと馴染んできたけど、お雑煮なんかは、やっぱり親の出身地のスタイルになるねんやろね。
うちも、四年前、大和川の向こうから引っ越してきて戸惑うこともあった。せやけど、お母さんの実家やさかい、お雑煮が同じやったんで感動したのを憶えてる。
お母さんは、ズボラやったんで、冷凍ものとかレンチンのものが多かったけど、お雑煮だけは自分でこしらえてくれた。大和川渡っただけで、これだけ食べ物がちゃうんか思たけど、最初のお正月でお母さんが作るのんと同じお雑煮が出てきて感動した。
―― やっぱり、うちのルーツは、ここやねんわ ――そない思て安心したのを昨日のことのように思い出す。
他にも、日本で最初のお正月のソニーのことやら、大晦日に電話してきた真鈴先輩のことやら、盛り上がった話題はあるねんけど、話は、お正月も三日目のことになります。
「ほんまは偵察やねんやろ?」
留美ちゃんと並んだ後部座席からテイ兄ちゃんをいじる。
「あほ、新年の挨拶や」
「うふふ(*´艸`*)」
留美ちゃんが、優しく笑う。
「檀家周りのついでに顔見ただけやからな。ちゃんと、お祝いの言葉を言う意味でもやなあ……」
「まあ、ええやん。うちらも、マスターのお嫁さんと喋るのは初めてやさかい~(ㅎ.ㅎ)」
「あんまり、余計なことは喋るなよ」
「アハハ、自信ないなあ」
今日は、いつも自転車停めさせてもろてる『スナックはんぜい』に新年のご挨拶……という、うちと留美ちゃんは刺身のツマで、ほんまはテイ兄ちゃんがマスターの新妻を偵察するカモフラージュ。
うちらも、自転車を停めさせてもろた駐車場でチラ見しただけやさかい、興味津々ではあります。
「あ、そっちの階段から上がってぇ!」
駐車場に入ると、二階の窓から顔を出したマスターが店の裏を指さす。
「え、ここもマスターの家だったんだ!」
留美ちゃんも驚く。
店の裏側には塀を隔ててお屋敷があったんやけど、なんと、そのお屋敷がマスターの家やおまへんか!
「まあ、半分道楽みたいな店やさかいなあ、嫁さんも……」
羨ましそうなテイ兄ちゃんの後をついて本宅へ。
開けましておめでとうございま~す(^▽^)
定番の挨拶を交わしてリビングに通される。
「家内の瑞穂です、きちんとご挨拶するのは初めてですね。よろしくお願いいたします」
「は、はい。御主人の大学時代からの友だちで、酒井諦一です、こちらこそよろしく(^_^;)」
「昨年は過分なお祝いを頂戴して、ほんとうにありがとうございました。酒井さん榊原さんも、駐車場でお辞儀しただけで失礼しました」
「いえいえ、うちらこそ駐車場使わせてもろて、ほんまにありがとうございます」
「いえ、こちらこそ」
「まあ、硬い挨拶はこれくらいにして、まあ、座ろうや」
「あ、そうですねアキラさん。どうぞ、こちらへ」
てっきりソファーに座るんかと思たら、リビングをクニっと曲がったとこが襖になってて、瑞穂さんが開けてくれると、大きなコタツの上にお正月の用意が並んでた。
「ほんのあいさつ代わり」
テイ兄ちゃんの目配せに合わせて、風呂敷包みを解いて出す。
「まあ、ありがとうございます。まあ……お酒もお饅頭もいいものですねえ、わたしも、ここのお饅頭は好物なんですよ。こんなに頂いて、恐縮です」
「気にせんでいいよ、諦一が持ってくるのは、みんな檀家さんからもらったもんやから」
「アキラさん、そんなこと言っちゃダメですっ」
なんか可愛い。きれいな奥さんやけど「メ」っちゅう顔すると、なんとも可愛い!
「まあ、適当にやってくれ、まずは乾杯だ」
「そうですね、みんなでやりましょう」
「はい、喜んで!」
瑞穂さんの明るい声に、うちも我が家のノリでしゃしゃり出る。留美ちゃんも瑞穂さんも、お酒やらソフトドリンクを注いだり、お重のおせちを取り分けたり。
「あ、どうぞ奥さんも」
「あ、わたしはウーロン茶で(^_^;)」
「あ、はい」
女の人がソフトドリンク、ようあることなんで、そのままウーロン茶を注いでおしまいやねんけど、亭主のマスターが、すごいことを言うた。
「あ、瑞穂はまだ未成年だから(n*´ω`*n)」
み、未成年!?
テイ兄ちゃんの頬っぺたが痙攣したぞ。
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
ソニー ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
月島さやか さくらの担任の先生
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
百武真鈴(田中真央) 高校生声優の生徒会長
女王陛下 頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首
さくらを取り巻く人たち ハンゼイのマスター(昴・あきら) 瑞穂(マスターの奥さん)
377『テイ兄ちゃんの偵察に付き合う』さくら
元日の昼まで東近江市のお寺におって、夕方に堺に帰ってきた。
除夜の鐘撞いた後も、交代でお風呂に入ってしゃべくりまくって、いつ寝たんやら起きたんやら(^_^;)。
お雑煮をいただいて「こんなお雑煮初めて!」と感動したのはメグリン。
「古閑さんは、どんなお雑煮だったの?」
詩ちゃんが興味深そうに聞く。
「お雑煮って、すまし汁に角餅でした」
「古閑さん、もともとは関東の人なのね?」
「はい、父も母も東京です」
メグリンは、お父さんが幹部自衛官で、子どもの頃から引っ越しばっかり。行く先々で、うまいこと馴染んできたけど、お雑煮なんかは、やっぱり親の出身地のスタイルになるねんやろね。
うちも、四年前、大和川の向こうから引っ越してきて戸惑うこともあった。せやけど、お母さんの実家やさかい、お雑煮が同じやったんで感動したのを憶えてる。
お母さんは、ズボラやったんで、冷凍ものとかレンチンのものが多かったけど、お雑煮だけは自分でこしらえてくれた。大和川渡っただけで、これだけ食べ物がちゃうんか思たけど、最初のお正月でお母さんが作るのんと同じお雑煮が出てきて感動した。
―― やっぱり、うちのルーツは、ここやねんわ ――そない思て安心したのを昨日のことのように思い出す。
他にも、日本で最初のお正月のソニーのことやら、大晦日に電話してきた真鈴先輩のことやら、盛り上がった話題はあるねんけど、話は、お正月も三日目のことになります。
「ほんまは偵察やねんやろ?」
留美ちゃんと並んだ後部座席からテイ兄ちゃんをいじる。
「あほ、新年の挨拶や」
「うふふ(*´艸`*)」
留美ちゃんが、優しく笑う。
「檀家周りのついでに顔見ただけやからな。ちゃんと、お祝いの言葉を言う意味でもやなあ……」
「まあ、ええやん。うちらも、マスターのお嫁さんと喋るのは初めてやさかい~(ㅎ.ㅎ)」
「あんまり、余計なことは喋るなよ」
「アハハ、自信ないなあ」
今日は、いつも自転車停めさせてもろてる『スナックはんぜい』に新年のご挨拶……という、うちと留美ちゃんは刺身のツマで、ほんまはテイ兄ちゃんがマスターの新妻を偵察するカモフラージュ。
うちらも、自転車を停めさせてもろた駐車場でチラ見しただけやさかい、興味津々ではあります。
「あ、そっちの階段から上がってぇ!」
駐車場に入ると、二階の窓から顔を出したマスターが店の裏を指さす。
「え、ここもマスターの家だったんだ!」
留美ちゃんも驚く。
店の裏側には塀を隔ててお屋敷があったんやけど、なんと、そのお屋敷がマスターの家やおまへんか!
「まあ、半分道楽みたいな店やさかいなあ、嫁さんも……」
羨ましそうなテイ兄ちゃんの後をついて本宅へ。
開けましておめでとうございま~す(^▽^)
定番の挨拶を交わしてリビングに通される。
「家内の瑞穂です、きちんとご挨拶するのは初めてですね。よろしくお願いいたします」
「は、はい。御主人の大学時代からの友だちで、酒井諦一です、こちらこそよろしく(^_^;)」
「昨年は過分なお祝いを頂戴して、ほんとうにありがとうございました。酒井さん榊原さんも、駐車場でお辞儀しただけで失礼しました」
「いえいえ、うちらこそ駐車場使わせてもろて、ほんまにありがとうございます」
「いえ、こちらこそ」
「まあ、硬い挨拶はこれくらいにして、まあ、座ろうや」
「あ、そうですねアキラさん。どうぞ、こちらへ」
てっきりソファーに座るんかと思たら、リビングをクニっと曲がったとこが襖になってて、瑞穂さんが開けてくれると、大きなコタツの上にお正月の用意が並んでた。
「ほんのあいさつ代わり」
テイ兄ちゃんの目配せに合わせて、風呂敷包みを解いて出す。
「まあ、ありがとうございます。まあ……お酒もお饅頭もいいものですねえ、わたしも、ここのお饅頭は好物なんですよ。こんなに頂いて、恐縮です」
「気にせんでいいよ、諦一が持ってくるのは、みんな檀家さんからもらったもんやから」
「アキラさん、そんなこと言っちゃダメですっ」
なんか可愛い。きれいな奥さんやけど「メ」っちゅう顔すると、なんとも可愛い!
「まあ、適当にやってくれ、まずは乾杯だ」
「そうですね、みんなでやりましょう」
「はい、喜んで!」
瑞穂さんの明るい声に、うちも我が家のノリでしゃしゃり出る。留美ちゃんも瑞穂さんも、お酒やらソフトドリンクを注いだり、お重のおせちを取り分けたり。
「あ、どうぞ奥さんも」
「あ、わたしはウーロン茶で(^_^;)」
「あ、はい」
女の人がソフトドリンク、ようあることなんで、そのままウーロン茶を注いでおしまいやねんけど、亭主のマスターが、すごいことを言うた。
「あ、瑞穂はまだ未成年だから(n*´ω`*n)」
み、未成年!?
テイ兄ちゃんの頬っぺたが痙攣したぞ。
☆・・主な登場人物・・☆
酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校一年生
酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 聖真理愛女学院高校三年生
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
ソニー ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
月島さやか さくらの担任の先生
古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
百武真鈴(田中真央) 高校生声優の生徒会長
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