巡(めぐり)型落ち魔法少女の通学日記

武者走走九郎or大橋むつお

文字の大きさ
58 / 294

058『第二回MITAKA(みんなで楽しく語る会)』

しおりを挟む
巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記

058『第二回MITAKA(みんなで楽しく語る会)』   




 え、ストーブ?


 思わず出た声は微妙に非難がましく聞こえたのか、セッティングしながら10円男が機嫌悪そうに背中で応える。

「仕方ないだろ、応接室は北向きで冷えるんだから、女子は冷やしちゃダメだろ」

 いや、そういう意味じゃないんだけどね。

 自動販売機かっちゅうくらいに大きなエアコンが据え付けてあるのに、なんで、暖房に切り替えないでストーブにしてるんだと思うんだよ。北向きにある応接室はマジ寒いんで暖房することに意義はない。

 あーーそうか。

 冷静に考えると、昭和45年というのはエアコンが普及していない。PTAの好意で据え付けられてるのは単なるクーラーなんだった。

 ボン

 ちょっとした爆発音をさせてストーブが点く。

 ポリバケツを逆さにしたぐらいの円筒形で、ちょっと鳥かご的。鳥かごの中に鳥は居なくて、いっぱい穴の開いた素焼きの筒が立っている。

 その筒がチリチリ音を立てながら穴の縁を朱色に染めていく。

「小学校のストーブよりはマシだろ」

「え?」

「ダルマストーブだったろ」

 ダルマのストーブ?

「先生しか点けちゃいけなかったし、石炭取りにいかなきゃならなかったし、臭いもひどくて温もるの遅かったしなぁ」

「あ、ああ、そうだよね(てきとうに合わせておく)。でも、よく借りられたねえ、教室は暖房12月からでしょ?」

「ああ、それについては栗原さんに感謝だな」

「あ、ああ……」

 栗原さんは、最初風邪の症状だったらしい、それが命に係わる病気だって分かったときには手術以外に手が無くって、宗教上の理由で手術できなくって命を落とした。

「教師集団はMITAKAには警戒してるけど、生徒の健康に関わるとなると弱い。だから『生徒の心の火と健康の火を消さないでください!』と迫って一発で貸してくれた」

 なるほど、心の火はMITAKAで、健康の火はストーブというわけか。10円男もたまにはいいこと言う。



 嬉しい、ストーブ点いてる!



 入って来るなり真知子も感嘆の声を上げてストーブ守に加わる。

真知子:「加藤君には、そういう才能あるって、わたしは踏んでいたのよ。ありがとうね(^▽^)」

10円男:「い、いや、MITAKAは、まだ緒に就いたばかり、一回一回大事にしなきゃなあ(#'∀'#)」

巡:「あ、赤くなってるぞぉ」

10円男:「ああ、ストーブもころあいに温もってきたからな(;゚Д゚#)」

真知子:「ほんとだ、スケルトン赤くなってきたね」

 スケルトン……10円男かわいそう(^_^;)

真知子:「スケルトンって、中の筒みたいなのよ」

巡:「え? あ、ああ、そうかぁ!?」

10円男:「し、失敬な! 俺のことだと思ったのかぁ!?」

巡:「アハハ、めんごめんごぉ」



 バカを言ってるうちに、他の参加者も集まってきて、第二回MITAKA(みんなで楽しく語る会)が始まった。



 やっぱり話題は栗原さんのことになる。



たみ子:「基本的にはお家のことだし、宗教のことだから、あまり深くは言えないけど、考えなくちゃだよね」

 たみ子が切り出すと、四組から参加している子たちが俯いてしまう。

真知子:「あ、誰かを責めようって話じゃなくて」

たみ子:「ごめん、言い方悪かったぁ」

佳奈子:「うん、わかるよ。あたしセッターやってるけど、セッターの肝は仲間の気持ちを汲むことだからね。繋げる球を上げて繋ぐのに似てる」

四組女子A:「栗原さんのこと、ちっとも知らなくって」

真知子:「いいのいいの、誰かを責めようって話じゃないんだから」

四組女子B:「いいのって、栗原さん帰ってこないのよ」

ロコ:「この話は、またにしませんか」

真知子:「そうね、ごめんなさい」

四組女子A:「うん、でもクラスが違っても気にかけてくれて嬉しい。ね、B子」

四組女子B:「う、うん、それはそう。ごめん、変な言い方して」

 それから真知子は文化祭と体育祭のことに話題を振った。

たみ子:「接近しすぎてるのよ体育祭と文化祭」

四組女子A:「うん、文化祭の前に体育祭の練習とか準備とかでかり出されると、劇とかやってると大変困る」

 うんうんと頷く者が多い。

 初参加の二年生が手を挙げた。

二年男子:「演劇部なんだけど、うちは、体育祭もそうだけど、クラスの取り組みとかにも人をとられて、ほんとうに稽古できなくて困った。一度、学校行事の有り方とか考えた方がよくないかなあ」

10円男:「異議なし!」

真知子:「そうね、まずぶっちゃけようか。深堀はまたにして」

 異議なし! うんうん! 賛成! 

社研男子:「文化祭前日は泊まり込み可にしてほしい」

一年女子:「消耗品とか買うのに、見積もりとってからというのは勘弁して」

二年女子:「模擬店の規制緩めて欲しい」

10円男:「模擬店やったら全員検便はナンセンス!」

 模擬店をやった女子が顔を赤くする、よく言った10円男!

ロコ:「文化祭の最後にファイアーストームやらせてほしいですね」

 異議なし! いいねぇ(^▽^)/ 賛成!

巡:「体育祭の時ぐらいブルマやめてほしいです」

 おお……( ゚Д゚)

 普通のことを言ったのに、みんな目からウロコって顔になる。

二年女子:「うんうん、男どもの視線ヤラシイものね!」

たみ子:「ああ、そういや、サングラスの先生とかいたよねえ」

 ああ……!

 で、調子にのってしまった。

巡:「もう、ブルマなんて廃止すべき! ぜったいセクハラです!」

 セクハラぁ?

 え、通じない?

ESS女子:「それって、セクシャルハラスメントのこと?」

巡:「え、あ、うん、そうだけど」

ロコ:「メグリン、英語すごいですぅ。で、どういう意味ですか?」

ESS女子:「セクシャルは性的な、ハラスメントは……(すごい早さで辞書を引く)嫌がらせという意味」

ロコ:「性的イヤガラセ(#^_^#)」

巡:「え、あ、いや、そんなことないよ」

ESS女子:「セクシャルハラスメントなんて、ネイティブでなきゃ言わないわよ」

巡:「いや、たまたまよ、たまたま(^_^;)」

真知子:「いやあ、いろいろ出てくるわねえ(^▽^)」

10円男:「熱くなってきたなぁ」

ロコ:「足もと寒いかなあ……」

10円男:「これで目いっぱいなんだけどなあ」

四組女子A:「そこの扇風機まわしたら?」

ロコ:「え、扇風機?」

佳奈子:「そうか、かき回したら均一になるか」

四組女子B:「いくよぉ」

 ブゥゥゥ~ン

たみ子:「ちょっと空気も入れ替えよう」

 

 空気を入れ替えたら、熱気まで冷めてしまうんじゃないかと思ったけど(中学までの経験だと、たいてい冷める)、それからも下校の放送がかかるまで熱く語り合った。

 みんなで高校生集会というのに行くことが決まる。

 高校生集会……よく分からない。

 でも、聞いたら恥っぽいので聞かなかった。



☆彡 主な登場人物

時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校一年生
時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
滝川                志忠屋のマスター
ペコさん              志忠屋のバイト
猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
宮田 博子(ロコ)         1年5組 クラスメート
辻本 たみ子            1年5組 副委員長
高峰 秀夫             1年5組 委員長
吉本 佳奈子            1年5組 保健委員 バレー部
横田 真知子            1年5組 リベラル系女子
加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
藤田 勲              1年5組の担任
先生たち              花園先生:4組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀
須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組)

 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。  〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜

トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!? 婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。 気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。 美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。 けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。 食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉! 「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」 港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。 気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。 ――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談) *AIと一緒に書いています*

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

世界最弱と呼ばれた少年、気づけば伝説級勇者でした ~追放されたので気ままに旅してたら、全種族の姫たちに囲まれていました~

fuwamofu
ファンタジー
魔力量ゼロの落ちこぼれとして勇者パーティを追放された少年リアン。 絶望の果てに始めた自由な旅の中で、偶然助けた少女たちが次々と彼に惹かれていく。 だが誰も知らない。彼こそが古代勇者の血を継ぎ、世界を滅ぼす運命の「真なる勇者」だということを──。 無自覚最強の少年が、世界を変える奇跡を紡ぐ異世界ファンタジー!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...