巡(めぐり)型落ち魔法少女の通学日記

武者走走九郎or大橋むつお

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084『破られた卒業証書』

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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記

084『破られた卒業証書』   





 え(;゚Д゚)(;゚ω゚)(゚ω゚;(゚Д゚;)(゚ω゚;) !?

 
 五人そろって驚いた。

 例えていうと、角を曲がったらバラバラ死体に出くわした感じ。

 死体になんか出くわしたことないけど、体中の体毛が総毛だって、お尻と足の裏がゾワってする感じ。

 こないだは作法室でMITAKAをやったんだけど、卒業式の今日は、仲間五人、教室で女子会をやっている。

 卒業式には、在校生の一部の参加で、わたしたちは関係ない。

 式の最中ぐらいに教室に集まって、学年はじめにもらった年間行事予定表を元に「入学式は……」とか「衣替えのころは……」とか「試験の最終日にぃ……」とか言って懐かしんでた。

 ただ単に「この一年振り返ってぇ」とか言うよりも、行事に則した方が記憶も思い出も生き生きしてくる。
 
 ほら、二学期のテスト中に『フォークの集い』ってやったじゃん。15分だけのミニライブだったけど、短いからこそ人が集まったし、テストの後の、ちょっとしたコーヒーブレイクという感じで評判が良くて、自然な盛り上がりができて『イブの集い』に結びついた。

 そんな感じで思い出を引っ張り出せるから、みんな同じテンションで語り合える。

 真知子は、こういう、みんなで話すことに関しては上手いよ。将来は、テレビのプロディユーサーとかやったらいいんじゃないかと思ったよ。

 十時半ごろに外が賑やかになって、どうやら卒業式もお開き。

 卒業式後の独特な解放感に満ちたざわめきに、わたしたちも教室を出た。

 そして、見てしまった(;゚Д゚)!

 式場の体育館前に、数人分の卒業証書がビリビリに破られているのを!

「あ、みんなぁ」

 演劇部の牧内さんが腕組みしたまま、寄ってきた。

真知子:「これ、どうしたの?」

牧内:「卒業生の男子たちがね、なんか、雄たけびあげて卒業証書破いて帰って行った」

たみ子:「ええ、なんでそんなことぉ」

牧内:「なんだか、いきっちゃってて」

佳奈子:「ひどいなあ」

ロコ:「伊藤……武田……牧村……みんな、体育祭でデモやってた人たちですよ!」

たみ子:「こんなことするくらいなら、式に出なきゃいいのに」

 わたしたちだけじゃなく、周囲にいる生徒たちも同じように、この狼藉の跡を見てるんだけど、その狼藉の跡を片付けようという者がいない。

 破ってしまえば、ただの紙屑なんだけど、なんというか、釘が刺さったままの藁人形見るような感じで手を出さない。

 先生たちだって知ってるはずだ。式後の解放感と卒業証書を破った時の雄たけびと、それにビックリした人たちの声。職員室も生徒指導室も、すぐそこの本館一階だし。

佳奈子:「片づけよっ、五人でやったらすぐだ」

 さすがは、バレー部、行動的だ。

ロコ:「箒とちり取り持って来ましょうか?」

真知子:「破られても卒業証書なんだから、手でやろう、みんなでやったら直だ」

みんな:「「「「うん」」」」

 わたしたちがやり始めると、他の子も手伝ってくれて、牧内さんは部室から段ボール箱を持ってきてくれて、五分後には、それを持って生活指導室に行った。

ロコ:「……誰もいませんねえ」

 生活指導室に行くと、ムッとするようなな暑さ。ストーブが点いたままで、載せたヤカンが盛んに湯気を吐き出していた。

佳奈子:「切っといたほうがいいね」

 カチ

たみ子:「しょうがないわねえ、生徒にはうるさく言うのに」

 それから、職員室に。

 職員室は式服着た三年生の先生と、出勤している先生たちが、生徒ほどではないけど解放感にしたって談笑したり、早弁したり。
 ちなみに、お弁当はお祝い二段重ねの特別仕様。

「あ、そんなことやってたのかぁ、しょうのない奴らだなあ……まあ、そこ置いといて」

 お弁当のお箸でゴミ箱の横を指す生指の先生。

「あ、はい」

 佳奈子が返事して、言われた通りにして「「「「「失礼しましたぁ」」」」」と言って部屋を出る。

「なに、あれ」

 珍しく吐き捨てるように言う真知子。

 卒業証書を破られて平然とお弁当を食べられる神経はいけないと思う。

 三年生が反攻した気持ちが、少しだけ分かったような気になった。


「ちょっと、あんたたち!」


 もう、おたふくでお昼にしよう!

 昇降口に向かっていたわたしたちを呼ぶ声。

 振り返ると、体育科でいちばん年かさの早瀬先生が袴に黒紋付の姿で追いかけて来た。

「話は聞いた、本当にありがとうね。卒業証書を破るなんて、言語道断! 先生たちにはわたしから言っとく」

「あの、それで、どう対応されるんですか?」

 プッツンした真知子は、お礼を言われても食い下がる。

「三年生の先生たちで話し合う、必要なら他の先生たちともね。あなたたちも残念で腹立たしいだろうけど、ちょっとだけ信じて」

「……はい」

 真知子が返事して、少しだけ足を緩めて昇降口で下履きに履き替えたよ。



 
☆彡 主な登場人物
時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校一年生
時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
滝川                志忠屋のマスター
ペコさん              志忠屋のバイト
猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
宮田 博子(ロコ)         1年5組 クラスメート
辻本 たみ子            1年5組 副委員長
高峰 秀夫             1年5組 委員長
吉本 佳奈子            1年5組 保健委員 バレー部
横田 真知子            1年5組 リベラル系女子
加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
藤田 勲              1年5組の担任
先生たち              花園先生:4組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  教頭先生  倉田(生徒会顧問)
須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹        
その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 7組) 上杉(生徒会長)
灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
  

 


 
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