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101『牧内さんと話す』
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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
101『牧内さんと話す』
あ、学校の近くです。
直美さんに「お家はどのあたり?」と聞かれて、そう答えた牧内さんはホンダZに乗って写真館までいっしょ。写真の仕事もおしまいだったし、演劇研究会の方も写真を撮っておしまいだった。
積もる話がありそうだと見抜いた直美さんは、写真館の応接を貸してくれた。
「なんだか、楽しそうじゃなかったわね」
マスターお手ずからの紅茶にレモンを絞りながら水を向ける。
「うん……研究会の副会長引き受けちゃって……」
「副会長?」
「うん……えと……」
部外者というか門外漢のわたしに、どう話していいのか考えている。演劇部のこともろくに分かってないのに、その上の県組織の話はむつかしいんだろうね。
でも、話すことに躊躇が無さそうなのは嬉しい。
牧内さんは演劇部一筋という人で、令和のノホホン少女のわたしとはタイプが違いすぎる。クラブの運営や代議会での発言と態度、わたしたちの『クリスマスイブの集い』への黒子に徹した、それでも創造的に接してくれる一途さ。
単に明るければいいという照明を、クリスマスに相応しいかがり火のような仕掛けにしてくれて、薪が爆ぜる音まで効果音で流してくれた(070『いよいよクリスマスイブの集い』)
代議会で部室が欲しいと主張する時も、きちんと生徒会規約と現状のズレなんかを冷静に指摘しながらだった。
たぶん、研究会のことなんて、むつかしい話なんだろうけど、ノホホン少女のわたしに分かるようにと眉根を寄せる姿はカッコいいと思うよ。
「高野連て知ってるわね?」
「あ、高校野球の?」
「うん、高校の部活には、たいてい全国組織があってねナントカ連盟って呼ぶのよ」
「演劇部も東京とか神奈川じゃ連盟になってる」
「違いがあるの? 連盟と研究会じゃ?」
「うん、運営の主体が教師の場合は連盟、生徒の場合は研究会」
「ああ……」
「研究会にも会長はいる、うちは大浜高校の校長先生。でも、それは対外的な看板みたいなもので、実質的な運営は生徒がやっていて……」
「そのトップが副会長?」
「うん」
「その副会長になっちゃったんだ!」
「話はここからなんだけど、こういう仕事は、やっぱり教師がやらなきゃいけないと思うのよ」
「え?」
だったら、なんで牧内さん?
「研究会は加盟校から加盟費とかコンクール参加料とかお金を集めるの、いわば公金。それ以外にも会議を持ったり講習会を開いたり、コンクールじゃ会場使用の交渉や審査員の手配、県知事賞とかの申請とか、未成年の生徒には手に余る仕事がいっぱいあるの」
「ああ……それを牧内さん引き受けたんだ……」
「ありがとう、時司さんのそういう反応は正常だと思う」
「いや、だって……」
「わたしね、一年かけて加盟校の生徒たちを説得して連盟にしようと思って引き受けたの。演劇部って、尖がってるのがいっぱいいるからね。体育祭でデモかけたみたいなのが」
「ああ……」
「ん?」
「ああ、あいつらがコケまくったとこ思い出しちゃって(^_^;)」
「アハハ、あれは傑作だったわね(* ´艸`)」
ああ、でも、お祖母ちゃんの説によると、あれはわたしが無意識にかけた魔法のせいらしい(057『ウィッチカモミール』)。
ひとしきり笑って、お茶うけのラスクをボリボリかみ砕く牧内さんは、意外に子どもっぽい。
「でも、よく決心したわね」
「ああ、うん。屋上にいっしょに居た藤野先生憶えてる?」
「あ、飛び込みで写真を頼んできた先生?」
「うん、今日の会議、なかなか定足数にならなくて、先生が雑談してくださって、ちょっと感動しちゃって。まあ、うまく乗せられたのかも」
「ええ、牧内さんが乗せられちゃうの!?」
「あら、わたしって、けっこう単純なのよ」
「ええ、そうなのお!?」
「おう、盛り上がっておるかね少女たち」
藤野先生のことで盛り上がりそうになところに、直美さんがヒラヒラとチケットを戦がせながら入ってきた。
☆彡 主な登場人物
時司 巡(ときつかさ めぐり) 高校2年生
時司 応(こたえ) 巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
滝川 志忠屋のマスター
ペコさん 志忠屋のバイト
猫又たち アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
宮田 博子(ロコ) 2年3組 クラスメート
辻本 たみ子 2年3組 副委員長
高峰 秀夫 2年3組 委員長
吉本 佳奈子 2年3組 保健委員 バレー部
横田 真知子 2年3組 リベラル系女子
加藤 高明(10円男) 留年してる同級生
藤田 勲 2年学年主任
先生たち 花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀 音楽:峰岸 教頭先生 倉田(生徒会顧問) 藤野先生(大浜高校)
須之内直美 証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
御神楽采女 結婚式場の巫女 正体は須世理姫
早乙女のお婆ちゃん 三軒隣りのお婆ちゃん
時司 徒 (いたる) お祖母ちゃんの妹
その他の生徒たち 滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 上杉(生徒会長)
灯台守の夫婦 平賀勲 平賀恵 二人とも直美の友人
101『牧内さんと話す』
あ、学校の近くです。
直美さんに「お家はどのあたり?」と聞かれて、そう答えた牧内さんはホンダZに乗って写真館までいっしょ。写真の仕事もおしまいだったし、演劇研究会の方も写真を撮っておしまいだった。
積もる話がありそうだと見抜いた直美さんは、写真館の応接を貸してくれた。
「なんだか、楽しそうじゃなかったわね」
マスターお手ずからの紅茶にレモンを絞りながら水を向ける。
「うん……研究会の副会長引き受けちゃって……」
「副会長?」
「うん……えと……」
部外者というか門外漢のわたしに、どう話していいのか考えている。演劇部のこともろくに分かってないのに、その上の県組織の話はむつかしいんだろうね。
でも、話すことに躊躇が無さそうなのは嬉しい。
牧内さんは演劇部一筋という人で、令和のノホホン少女のわたしとはタイプが違いすぎる。クラブの運営や代議会での発言と態度、わたしたちの『クリスマスイブの集い』への黒子に徹した、それでも創造的に接してくれる一途さ。
単に明るければいいという照明を、クリスマスに相応しいかがり火のような仕掛けにしてくれて、薪が爆ぜる音まで効果音で流してくれた(070『いよいよクリスマスイブの集い』)
代議会で部室が欲しいと主張する時も、きちんと生徒会規約と現状のズレなんかを冷静に指摘しながらだった。
たぶん、研究会のことなんて、むつかしい話なんだろうけど、ノホホン少女のわたしに分かるようにと眉根を寄せる姿はカッコいいと思うよ。
「高野連て知ってるわね?」
「あ、高校野球の?」
「うん、高校の部活には、たいてい全国組織があってねナントカ連盟って呼ぶのよ」
「演劇部も東京とか神奈川じゃ連盟になってる」
「違いがあるの? 連盟と研究会じゃ?」
「うん、運営の主体が教師の場合は連盟、生徒の場合は研究会」
「ああ……」
「研究会にも会長はいる、うちは大浜高校の校長先生。でも、それは対外的な看板みたいなもので、実質的な運営は生徒がやっていて……」
「そのトップが副会長?」
「うん」
「その副会長になっちゃったんだ!」
「話はここからなんだけど、こういう仕事は、やっぱり教師がやらなきゃいけないと思うのよ」
「え?」
だったら、なんで牧内さん?
「研究会は加盟校から加盟費とかコンクール参加料とかお金を集めるの、いわば公金。それ以外にも会議を持ったり講習会を開いたり、コンクールじゃ会場使用の交渉や審査員の手配、県知事賞とかの申請とか、未成年の生徒には手に余る仕事がいっぱいあるの」
「ああ……それを牧内さん引き受けたんだ……」
「ありがとう、時司さんのそういう反応は正常だと思う」
「いや、だって……」
「わたしね、一年かけて加盟校の生徒たちを説得して連盟にしようと思って引き受けたの。演劇部って、尖がってるのがいっぱいいるからね。体育祭でデモかけたみたいなのが」
「ああ……」
「ん?」
「ああ、あいつらがコケまくったとこ思い出しちゃって(^_^;)」
「アハハ、あれは傑作だったわね(* ´艸`)」
ああ、でも、お祖母ちゃんの説によると、あれはわたしが無意識にかけた魔法のせいらしい(057『ウィッチカモミール』)。
ひとしきり笑って、お茶うけのラスクをボリボリかみ砕く牧内さんは、意外に子どもっぽい。
「でも、よく決心したわね」
「ああ、うん。屋上にいっしょに居た藤野先生憶えてる?」
「あ、飛び込みで写真を頼んできた先生?」
「うん、今日の会議、なかなか定足数にならなくて、先生が雑談してくださって、ちょっと感動しちゃって。まあ、うまく乗せられたのかも」
「ええ、牧内さんが乗せられちゃうの!?」
「あら、わたしって、けっこう単純なのよ」
「ええ、そうなのお!?」
「おう、盛り上がっておるかね少女たち」
藤野先生のことで盛り上がりそうになところに、直美さんがヒラヒラとチケットを戦がせながら入ってきた。
☆彡 主な登場人物
時司 巡(ときつかさ めぐり) 高校2年生
時司 応(こたえ) 巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
滝川 志忠屋のマスター
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高峰 秀夫 2年3組 委員長
吉本 佳奈子 2年3組 保健委員 バレー部
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先生たち 花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀 音楽:峰岸 教頭先生 倉田(生徒会顧問) 藤野先生(大浜高校)
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御神楽采女 結婚式場の巫女 正体は須世理姫
早乙女のお婆ちゃん 三軒隣りのお婆ちゃん
時司 徒 (いたる) お祖母ちゃんの妹
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