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111『テスト休みの今日は水泳の補講』
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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
111『テスト休みの今日は水泳の補講』
テストが開けたと思ったら体育の補講が待っていた。
「え、グッチ補講なのぉ!?」
ウォータークーラーで水飲んでたら、後ろを通り過ぎた佳奈子が声を上げる。
佳奈子は、もうとっくに部活の真っ最中でユニホーム姿も凛々しくグラウンドに向かう途中。グラウンドでは女バレの一年生たちが部長の佳奈子を不動の姿勢で待っている。
「アハハ、風邪とかで二回抜けちゃったからねえ(^_^;)」
「イトハチ(伊藤先生)厳しいからね、ま、がんばれ」
「うん」
ヘタレ笑顔で応えると、佳奈子はもう部長の顔になってグランドに駆けていく。
「こらあ、突っ立てないで足踏み! いきなり走ったら膝壊すぞぉ!」
部長姿も板に付いてきた佳奈子を見送り、プールに向かう。
とたんに汗が噴き出る。たった今、水を飲んだばかりなんだけど、それがもう汗。
プールは本館を抜け、中庭を横目に殺して北館を突き抜けた先。
ミーンミンミンミーン ミーンミンミンミーン
北館抜けたとたんに蝉の大合唱。
もうすでに聞こえていたのかもしれないけど、たぶん意識の外だった。
去年、初めて蝉の声に気付いたのは授業中。開け放した窓のすぐ外の木でいきなり蝉が鳴き始めて、座ったまま跳びあがってしまった。うるさくて授業どころじゃなかったんだけど、みんなは平気だった(039『蝉と葦船』)。
慣れちゃったんだね。
蝉の声にも噴き出る汗にも。
「準備運動やったら、手足から水に慣らして25メートル往復。往きは平泳ぎ、返りはクロール」
ハ~~イ
「声が小さい!」
ハイィ!
みんなやけくそで返事してプールに入る。
ピ!
先生のホイッスルで平泳ぎ。
補講に出てくるのは水泳苦手の女子が多い。わたしも好きじゃない。
ちょっとだけ魔法を使った。
――この時間だけうまく泳げるように――
魔法にも慣れて来たんで、難なく往復50メートルを泳ぎ終える。
「足の使い方がぜんぜんダメだ。〇〇、前に出ろ」
「は、はい……」
4組の〇〇さんが呼び出され、プールサイドで腹ばいになって足の使い方のレッスンをさせられる。
「いいか、脚は股にひきつけた後、蹴るようにして伸ばすんだ」
そう言うと伊藤先生は後ろから〇〇さんの足を持って見本をさせる。
ヒエ~~
〇〇さんは顔を真っ赤にして、フォームを覚えるどころじゃない感じ。
みんなはいちおう真剣な顔で見てるけど、きっと恥ずかしい。
わたしは自信があるよ。
もし、魔法を使っていなかったら、この見本をやらされたのはわたしに違いない。
補講が終わって髪を拭きながら外に出ると〇〇さんと目が合って、思わず「ごめん」と呟いてしまう。
むろん〇〇さんは――え?――って顔になって、わたし一人アタフタしてしまったよ。
帰りにグラウンドの横を通ったら、佳奈子がフリーレンが弟子のフェルンを鍛えるみたいに的確に指導している。
ちょっと眩しい。
校門を出ると、また蝉の合唱が蘇ってきたよ。
☆彡 主な登場人物
時司 巡(ときつかさ めぐり) 高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
時司 応(こたえ) 巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
滝川 志忠屋のマスター
ペコさん 志忠屋のバイト
猫又たち アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
宮田 博子(ロコ) 2年3組 クラスメート
辻本 たみ子 2年3組 副委員長
高峰 秀夫 2年3組 委員長
吉本 佳奈子 2年3組 保健委員 バレー部
横田 真知子 2年3組 リベラル系女子
加藤 高明(10円男) 留年してる同級生
藤田 勲 2年学年主任
先生たち 花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀 音楽:峰岸 教頭先生 倉田(生徒会顧問) 藤野先生(大浜高校)
須之内直美 証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
御神楽采女 結婚式場の巫女 正体は須世理姫
早乙女のお婆ちゃん 三軒隣りのお婆ちゃん
時司 徒 (いたる) お祖母ちゃんの妹
その他の生徒たち 滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
灯台守の夫婦 平賀勲 平賀恵 二人とも直美の友人
111『テスト休みの今日は水泳の補講』
テストが開けたと思ったら体育の補講が待っていた。
「え、グッチ補講なのぉ!?」
ウォータークーラーで水飲んでたら、後ろを通り過ぎた佳奈子が声を上げる。
佳奈子は、もうとっくに部活の真っ最中でユニホーム姿も凛々しくグラウンドに向かう途中。グラウンドでは女バレの一年生たちが部長の佳奈子を不動の姿勢で待っている。
「アハハ、風邪とかで二回抜けちゃったからねえ(^_^;)」
「イトハチ(伊藤先生)厳しいからね、ま、がんばれ」
「うん」
ヘタレ笑顔で応えると、佳奈子はもう部長の顔になってグランドに駆けていく。
「こらあ、突っ立てないで足踏み! いきなり走ったら膝壊すぞぉ!」
部長姿も板に付いてきた佳奈子を見送り、プールに向かう。
とたんに汗が噴き出る。たった今、水を飲んだばかりなんだけど、それがもう汗。
プールは本館を抜け、中庭を横目に殺して北館を突き抜けた先。
ミーンミンミンミーン ミーンミンミンミーン
北館抜けたとたんに蝉の大合唱。
もうすでに聞こえていたのかもしれないけど、たぶん意識の外だった。
去年、初めて蝉の声に気付いたのは授業中。開け放した窓のすぐ外の木でいきなり蝉が鳴き始めて、座ったまま跳びあがってしまった。うるさくて授業どころじゃなかったんだけど、みんなは平気だった(039『蝉と葦船』)。
慣れちゃったんだね。
蝉の声にも噴き出る汗にも。
「準備運動やったら、手足から水に慣らして25メートル往復。往きは平泳ぎ、返りはクロール」
ハ~~イ
「声が小さい!」
ハイィ!
みんなやけくそで返事してプールに入る。
ピ!
先生のホイッスルで平泳ぎ。
補講に出てくるのは水泳苦手の女子が多い。わたしも好きじゃない。
ちょっとだけ魔法を使った。
――この時間だけうまく泳げるように――
魔法にも慣れて来たんで、難なく往復50メートルを泳ぎ終える。
「足の使い方がぜんぜんダメだ。〇〇、前に出ろ」
「は、はい……」
4組の〇〇さんが呼び出され、プールサイドで腹ばいになって足の使い方のレッスンをさせられる。
「いいか、脚は股にひきつけた後、蹴るようにして伸ばすんだ」
そう言うと伊藤先生は後ろから〇〇さんの足を持って見本をさせる。
ヒエ~~
〇〇さんは顔を真っ赤にして、フォームを覚えるどころじゃない感じ。
みんなはいちおう真剣な顔で見てるけど、きっと恥ずかしい。
わたしは自信があるよ。
もし、魔法を使っていなかったら、この見本をやらされたのはわたしに違いない。
補講が終わって髪を拭きながら外に出ると〇〇さんと目が合って、思わず「ごめん」と呟いてしまう。
むろん〇〇さんは――え?――って顔になって、わたし一人アタフタしてしまったよ。
帰りにグラウンドの横を通ったら、佳奈子がフリーレンが弟子のフェルンを鍛えるみたいに的確に指導している。
ちょっと眩しい。
校門を出ると、また蝉の合唱が蘇ってきたよ。
☆彡 主な登場人物
時司 巡(ときつかさ めぐり) 高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
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滝川 志忠屋のマスター
ペコさん 志忠屋のバイト
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宮田 博子(ロコ) 2年3組 クラスメート
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高峰 秀夫 2年3組 委員長
吉本 佳奈子 2年3組 保健委員 バレー部
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加藤 高明(10円男) 留年してる同級生
藤田 勲 2年学年主任
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須之内直美 証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
御神楽采女 結婚式場の巫女 正体は須世理姫
早乙女のお婆ちゃん 三軒隣りのお婆ちゃん
時司 徒 (いたる) お祖母ちゃんの妹
その他の生徒たち 滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
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