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始まりの時
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突然だが皆さんは魔法の詠唱の文言がどうやって決まったか知っているだろうか。
例えば一番簡単な火属性第一階位魔法
―炎を以てわが敵を倒せ―
適性を持ったものがこの文言を唱えると、いわゆるファイヤーボールのような小さな火の玉が前方へ飛んで行く。
もちろん意味を持った言葉ではあるが、なぜこの文言でないといけないのか。
なぜ少しでも変えると魔法が発動しないのだろうか。
意味だけなら
―わが炎で敵を殺せ―
でもいいはずである。
この理由を知るためにははるか昔。ざっと100万年以上前にまで遡ることになる。
この世界には2種6神といわれる神が存在した。
基本3神である火、水、木のそれぞれ。
派生3神である空、雷、毒のそれぞれである。
神々は協力して生物を作り、一部は高い知能を持った種へと進化を遂げた。
そのころまだ世界には魔法は存在していなかったが、神々はその生物たちは持っていない超常的な力をこっそりと使い、手助けしていた。
生物とは愚かなもので、一度快適な生活を知ると後戻りできなくなり、神々にどんどん依存していくことになった。
次第に神々はお気に入りの生物を持つようになり、当時起こっていた種族間の紛争に巻き込まれ、神々間の仲も悪くなっていく。
ここで、世界に魔法というものができるきっかけとなる事件が起こる。
―6神間戦争―
それは、何年も、何十年も、何百年も続いた。
それまでずっと傍観していた無をつかさどる最高神がその持てる力すべてを使って2種6神を消滅させることによって収めようとした。
ここで事が幕を閉じれば何事もなかったが、そう簡単にいかないのが現実である。
神々は消滅する直前、自分の味方している者たちのために、自分の力の一端を使うための暗号を世界にプログラムした。
これこそが魔法であり、これこそが文言が違えば魔法が発動しない理由である。
そして、無の最高神も神々のたくらみに気づき、必死に止めようとしたが、力が足りず力尽きた。
―1日目―
それはもう暗く暗く、何もないただ暗い場所。
永遠の闇に自分のほかに何もおらず自分がいま上へ行っているか、下へ行っているのか、はたまた右なのか左なのか。
声を発しても何も返ってこない。もしかしたら声も発せていないのかもしれない。
「地上はどうなっているのだろうか。」
無をつかさどる神は、そればかりを考えていた。
いや、それ以外何もできなかったといっても過言ではないのだが。
ちなみに、神に名前はない。
また、世界を作ったのも神ではないため、世界のプログラム上では、神々も生物の一種ということとなる。
無の神は、自分こそ生物の創造に携わってはいなかったのだが、2種6神と同じようにそれとなく助けていたりした。
一応種としてはほかの神々と同じであるため、天界で時たま顔を合わせることもあったが、基本的には別行動であった。
もちろん初めから生物の創造を見ていたため、愛着もわいていた。
「こうなるくらいなら私が神々をまとめておけばよかったのかな…」
こうなってしまっては後の祭りではあり、最後の結果を見てはいないものの、多大な被害を生物が被っているのは、目に見えて明らかである。
「ここから出る方法も考えなくちゃね。」
そう思って、時間は過ぎてゆく。
―2日目―
何か手掛かりがあったわけではないのだが、神もなんとなくここが、現世ではないことに気が付いてくる。
そもそも自分が消滅させた神々と自分とでは大きな力の差があり、自分を封印することはほぼ不可能。
なんとなくではあるが、自分より上位の者がいるとも考えにくかった。
しいて言うなら世界のシステムが自分の上位にあたるのだろうと考えていた。
天界も実際に考えられているような別次元の場所にあるわけではなく、普通に星の中心部にある。
「どこなんだろうなここ…。どうやったら出られるのかしら。精神統一でもしようかしら。」
そう考えながら現世での二日目も過ぎていく。
―100日目―
考えることにも疲れてきた。
いくらほぼ寿命がなく悠久の時を生きるといわれていて、時間感覚が、他の生物と違うとしても、かなり長い時間がたったことはわかる。
「早く出られないかな…」
地上の心配も、何もかも考えても無駄だと思い始めると何も考えなくなるのである。
この時、神の心の中には、次第にほかの神への小さな、小さな憎悪の心が芽生え始めていた。
―500日目―
最近自分の心を制御することに重きを置いている。
気が付くとほかの神々を憎んでいるのだ。
「あいつらが生物さえ作らなければ。そもそもあいつらさえいなければ。知能の高い生物をすべて殺していれば。」
…っ!危ない。またよからぬことを考えていた。
だが、自分でも気づいていた。
もう自分の心が自壊するのにあまり時がないことを。
―100万日目―
もう何度自分の気持ちに整理をつけたことだろうか。
憎み、一周回って落ち着き、また憎み…
「ああ。あああ。あああああああああああああ。」
言語野も退化したのか何なのか、もうただそこに『存在している』だけのものとなっていた。
(もう気は済みましたか?)
「あああ?〈だれ?〉」
(まあいうなれば“本当の神”といったところでしょうか。生前、あなたは理性で自分の気持ちに整理をつけていました。6神間戦争で負ったあなたの傷は深く、輪廻転生の輪に乗せられなかったのです。長い時間をかけて反省をしてもらったというのでしょうか。あなたはもう一度人生をやり直しますか?)
「ああ。〈はい。〉」
(それではいってらっしゃい)
無の神は救われたのだろうか、救われていないのだろうか。
それはまだわからないが、これからそれを追っていくこととしよう。
―本当の神?―
いやーまさか仕事がめんどくさくて超高知能生物を作って、仕事を押し付けるように仕向けなだなんていえないよね
しかも一人目の子なんか強すぎて人間クラスの知能に落とすために100万年もかかるなんて。
ほかの6人の神はすんなりといったんだけどなー。
そういえばあの子が残していった物語、世界にインプットしておけばいいのかな?
魔法の暗号っぽいし、前にも同じようなことしたからだいじょうぶだよね…?
―無属性第十一階位魔法譜―
―私がだれなのかおしえて
―私の存在理由を教えて
―私のすべてを知っているあなた
―親なんていない、仲間なんて初めからいなかったんだ
―誰も助けてなんてくれない
―いつか私のことを知ってくれる人のために私は残す
―私の知っていてほしいこと私の今まで存在した証を
―生半可な力じゃない、絶対に失わないように
―歌え踊れ私を知るために
―さあ解き放てすべてを守る力を
―すべてを殺す力を
例えば一番簡単な火属性第一階位魔法
―炎を以てわが敵を倒せ―
適性を持ったものがこの文言を唱えると、いわゆるファイヤーボールのような小さな火の玉が前方へ飛んで行く。
もちろん意味を持った言葉ではあるが、なぜこの文言でないといけないのか。
なぜ少しでも変えると魔法が発動しないのだろうか。
意味だけなら
―わが炎で敵を殺せ―
でもいいはずである。
この理由を知るためにははるか昔。ざっと100万年以上前にまで遡ることになる。
この世界には2種6神といわれる神が存在した。
基本3神である火、水、木のそれぞれ。
派生3神である空、雷、毒のそれぞれである。
神々は協力して生物を作り、一部は高い知能を持った種へと進化を遂げた。
そのころまだ世界には魔法は存在していなかったが、神々はその生物たちは持っていない超常的な力をこっそりと使い、手助けしていた。
生物とは愚かなもので、一度快適な生活を知ると後戻りできなくなり、神々にどんどん依存していくことになった。
次第に神々はお気に入りの生物を持つようになり、当時起こっていた種族間の紛争に巻き込まれ、神々間の仲も悪くなっていく。
ここで、世界に魔法というものができるきっかけとなる事件が起こる。
―6神間戦争―
それは、何年も、何十年も、何百年も続いた。
それまでずっと傍観していた無をつかさどる最高神がその持てる力すべてを使って2種6神を消滅させることによって収めようとした。
ここで事が幕を閉じれば何事もなかったが、そう簡単にいかないのが現実である。
神々は消滅する直前、自分の味方している者たちのために、自分の力の一端を使うための暗号を世界にプログラムした。
これこそが魔法であり、これこそが文言が違えば魔法が発動しない理由である。
そして、無の最高神も神々のたくらみに気づき、必死に止めようとしたが、力が足りず力尽きた。
―1日目―
それはもう暗く暗く、何もないただ暗い場所。
永遠の闇に自分のほかに何もおらず自分がいま上へ行っているか、下へ行っているのか、はたまた右なのか左なのか。
声を発しても何も返ってこない。もしかしたら声も発せていないのかもしれない。
「地上はどうなっているのだろうか。」
無をつかさどる神は、そればかりを考えていた。
いや、それ以外何もできなかったといっても過言ではないのだが。
ちなみに、神に名前はない。
また、世界を作ったのも神ではないため、世界のプログラム上では、神々も生物の一種ということとなる。
無の神は、自分こそ生物の創造に携わってはいなかったのだが、2種6神と同じようにそれとなく助けていたりした。
一応種としてはほかの神々と同じであるため、天界で時たま顔を合わせることもあったが、基本的には別行動であった。
もちろん初めから生物の創造を見ていたため、愛着もわいていた。
「こうなるくらいなら私が神々をまとめておけばよかったのかな…」
こうなってしまっては後の祭りではあり、最後の結果を見てはいないものの、多大な被害を生物が被っているのは、目に見えて明らかである。
「ここから出る方法も考えなくちゃね。」
そう思って、時間は過ぎてゆく。
―2日目―
何か手掛かりがあったわけではないのだが、神もなんとなくここが、現世ではないことに気が付いてくる。
そもそも自分が消滅させた神々と自分とでは大きな力の差があり、自分を封印することはほぼ不可能。
なんとなくではあるが、自分より上位の者がいるとも考えにくかった。
しいて言うなら世界のシステムが自分の上位にあたるのだろうと考えていた。
天界も実際に考えられているような別次元の場所にあるわけではなく、普通に星の中心部にある。
「どこなんだろうなここ…。どうやったら出られるのかしら。精神統一でもしようかしら。」
そう考えながら現世での二日目も過ぎていく。
―100日目―
考えることにも疲れてきた。
いくらほぼ寿命がなく悠久の時を生きるといわれていて、時間感覚が、他の生物と違うとしても、かなり長い時間がたったことはわかる。
「早く出られないかな…」
地上の心配も、何もかも考えても無駄だと思い始めると何も考えなくなるのである。
この時、神の心の中には、次第にほかの神への小さな、小さな憎悪の心が芽生え始めていた。
―500日目―
最近自分の心を制御することに重きを置いている。
気が付くとほかの神々を憎んでいるのだ。
「あいつらが生物さえ作らなければ。そもそもあいつらさえいなければ。知能の高い生物をすべて殺していれば。」
…っ!危ない。またよからぬことを考えていた。
だが、自分でも気づいていた。
もう自分の心が自壊するのにあまり時がないことを。
―100万日目―
もう何度自分の気持ちに整理をつけたことだろうか。
憎み、一周回って落ち着き、また憎み…
「ああ。あああ。あああああああああああああ。」
言語野も退化したのか何なのか、もうただそこに『存在している』だけのものとなっていた。
(もう気は済みましたか?)
「あああ?〈だれ?〉」
(まあいうなれば“本当の神”といったところでしょうか。生前、あなたは理性で自分の気持ちに整理をつけていました。6神間戦争で負ったあなたの傷は深く、輪廻転生の輪に乗せられなかったのです。長い時間をかけて反省をしてもらったというのでしょうか。あなたはもう一度人生をやり直しますか?)
「ああ。〈はい。〉」
(それではいってらっしゃい)
無の神は救われたのだろうか、救われていないのだろうか。
それはまだわからないが、これからそれを追っていくこととしよう。
―本当の神?―
いやーまさか仕事がめんどくさくて超高知能生物を作って、仕事を押し付けるように仕向けなだなんていえないよね
しかも一人目の子なんか強すぎて人間クラスの知能に落とすために100万年もかかるなんて。
ほかの6人の神はすんなりといったんだけどなー。
そういえばあの子が残していった物語、世界にインプットしておけばいいのかな?
魔法の暗号っぽいし、前にも同じようなことしたからだいじょうぶだよね…?
―無属性第十一階位魔法譜―
―私がだれなのかおしえて
―私の存在理由を教えて
―私のすべてを知っているあなた
―親なんていない、仲間なんて初めからいなかったんだ
―誰も助けてなんてくれない
―いつか私のことを知ってくれる人のために私は残す
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