深窓オメガのお見合い結婚

椎名サクラ

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12 ☆

 世界はなんて輝かしいんだろう。今日も眩しい太陽のその下で踊りだしそうだ。

 すっきりした面持ちでスキップしながら出社した一輝は今日も今日とて妻のためだけに精いっぱい働いている。

 妻の凶暴な可愛さが日毎に増していき、おねだりを叶えるのがやっとの状態なのに、なぜか週明けから肌艶が良い。それもそのはず、18歳になってやっと精通した碧は、大好きな美術館巡りそっちのけでイヤらしいおねだりをしてきては、甘く可愛い声を聴かせてくれるようになったのだ。

 初めて知った性器への刺激と射精の快楽に、碧は虜になったようだ。

 刺激を求めて腰をくねらせ、素直に声を上げる。性的なことも快楽もなにも知らなかった身体が、知らなかった間の時間を取り戻すように貪欲に求めてきて、その激しさに心配になりかかりつけ医に電話で相談したくらいだ。

 グルゴーファを抜く際のよくある症状だと聞いて安心した。

 と、同時に開発者への多大な感謝がぶわぁぁっと湧き上がった。

 愛しい妻の初めてのなにもかもが自分の手で行われたのは、碧がグルゴーファを服用していたからだ。生理現象まで押さえつけるほどの強力さを持っていなければ、彼の初朝勃ちも初自慰(一輝がやったから自慰ではないか)もすべて夫である自分が携わるなどということはできなかった。

 本当に感謝しかない。

 そして、今まで嘲りをもって見ていた幼児愛好者の皆さま、今になってあなた方の性癖がとてもよく理解できます!

 あれは凶暴なほどの可愛さだ。

 なにも知らない身体に快楽を教え込み、素直に飲みこんでいくのも可愛いが、自分にしか縋れない状況で快楽堕ちした後に貪欲に欲しがられたら、もう世界の支配者になった気分になる。だが一輝はそれで満足はしないし、もう一度味わいたいとも思わない。最愛の人の一瞬を共有できただけで満足だ。

 自分は次のステップへと行く。

 快楽に素直な可愛い妻をどこまでも淫らにするのが目標なのだ。

 しかも自分限定で。

 今朝も碧から可愛く朝立ちの報告を受け一緒に処理しながらキスをしまくるという幸せな時間を過ごしてきたから、無駄に機嫌がよくなっていた。

 これもすべてグルゴーファのおかげだ。

 そのグルゴーファを開発したのは碧の兄たちで、彼がオメガだとわかった時から「碧のためだけの発情抑制剤」を開発していた。絶対にアルファに気付かれないようにとのコンセプトでどんどん強力化していき、生理現象まで抑えてしまうほどの威力を持った薬となったのだった。ただ可愛い弟に無認可薬の投与は憚れたので、きちんと臨床実験をし認可を取ってから、医師の指導の下投与していた。今では菅原製薬の主力商品にまで上り詰めた医薬品が、当時社員でもない御曹司たちがただ一人のために開発したという事実は会社のトップシークレットである。

 そうとも知らずに、一輝は誰とも知らぬグルゴーファ開発者を神のように崇めるのだった。

 彼らに知られたら殺されるとも知らずに。

 すっきりした下半身で精力的に仕事を進めていく。

 冬季に新発売する商品のCM撮影に立ち合い、にやけた顔で終始碧との週末を思い出していた。

(可愛かったな、私の妻は)

 おねだりが日に日に上手になるばかりか、その内容がなによりもいい。

『また大きくなっちゃった……一輝さん助けて』

 お願いとばかりに抱き着き、キスをしてくるのだ。そして小ぶりな分身を擦りつけてきてすべてを一輝に委ねるのだ。甘い声の喘ぎは心地よく一輝を煽ってくる。

 そして一輝が興奮してしまうと、碧が嬉しそうに一輝のものをたどたどしい手つきで刺激してくれるのもまた良い。

 ただお互いのものを扱きあっているだけでこんなにも満たされるなんて。

 分身への刺激だけでこんなにも可愛いのに、もっと凄いことを教えたらどうなってしまうのだろうか、可愛い妻は。もっともっと淫らになるのだろうか。もっともっと煽情的になるのだろうか。それを想像するだけでもう今までの我慢と努力が報われたようなものだ。

「あれ、部長さん、なんか随分とだらしない顔になっちゃったね」

「モデルちゃん、それ大声でいっちゃだめだよ。部長は新婚なんだから」

「えー結婚したんだ。奥さんどんな人?」

「あ……それは……、可愛い感じ、かな」

「いっがーい、部長さん綺麗系が好きなんだとばっかり思ってた」

「そうだよねぇ」

 一輝が溺愛している妻が幼いとは二次会に参加した部下の誰も口にしなかった。

 結婚できる年齢なのに見た目も雰囲気もひたすら幼く、遊びが派手だった人が最後に行きつくのは光源氏の道かと社内で囁かれている。その妻のおかげで最近部長の機嫌がいいので助かっているのだが。

 どんどん伸びてしまう鼻の下を見たスタッフたちが遠巻きにしているとも気付かず、映像を確認しながらなぜかモデルの顔を碧に脳内ですり替え、もっと可愛さをアピールするための注文を出すのだった。

 繁忙期をなんとか乗り切り、前年度よりも少し多い利益を計上できた安心感に浸っているともう九月になった。

 九月。

 それは待ちに待った新婚旅行!

 以前ほど逼迫した下半身事情ではなくなった一輝はしっかりと初夜の準備をし、それを旅行鞄の一番下に隠して、新婚旅行の日を迎えた。半年前から申請した10日間の新婚旅行だ。忘れ物がないかをしっかりとチェックして空港へと向かう。

 今日、碧は生まれて初めて公共交通機関を利用する。

 タクシーを呼ばずわざわざ電車で移動してみる。

「初めての電車だ……一輝さんありがとうございます」

 最初のデートでの約束をようやく叶えることができた一輝に、碧はひたすら感謝の言葉を告げる。ただ電車に乗るだけ、それだけなのに、無垢な妻は感動していた。

「今からそんなにはしゃいだら、現地に着くころには疲れてしまうよ」

 通勤ラッシュを終えた時間帯の電車でも充分碧には人が多く感じられるだろう。いろんな場所を見てはあれはなんだと訊ねてくる。この子供っぽい仕草と家の中の妖艶小悪魔とのギャップにやられっぱなしだ。

 どちらも愛おしく、一輝は碧に悪い虫がつかないようトランクを固定すると、いつものように肩を抱く。

 新宿駅で乗り換え、空港までの特急に乗り込む。

 窓側の席に碧を座らせるのは風景を見せるためではなく、一輝以外から絶対に話しかけられないよう周囲をけん制するためだ。

 一見幼い碧を狙う人はいないだろうが、なにせ一輝は碧にぞっこんだ。無駄に周囲をけん制しまくって自分の物アピールをしてしまう。来るもの拒まず去る者追わず、ついでに飽きたらポイ捨てを実行してきた一輝にとって、自分のものと主張して回るのは初めてだ。

 アルファでもベータでも、碧に声をかける隙を一切与えない強烈なオーラを放ってバリアを築いていく。

 隣に座っている碧には全く気付かれていないが。こういう時に碧がオメガでよかったと感じる。一輝の凶暴な一面を全く解さないからだ。いつも碧の前でだけいい人でいられる。

 長い特急列車の旅の後、ようやくたどり着いた空港でも興奮し、初めて間近に見る飛行機で興奮しこちらが心配になるほどはしゃぐ碧に、もうなにも我慢する必要はないと伝えたい。

 だって、今月からもう薬を飲む必要がないからだ。

 それは間もなく彼に発情が訪れることになるのと同義で、その日が来たら一輝は躊躇いなく彼のうなじに噛みつくだろう。そうすればもう誰にも碧を取られる心配はない。

 完全に自分だけのものになる。

 早くその日が来ないかと待ち望みながら、できれば飛行機に乗っている間は発情しないでくれと祈ってしまう。

 いや、旅行中も。

 でなければ碧の楽しみが失われてしまう。

 飛行機に搭乗し、長いフライトをのんびりと過ごし、ようやく辿り着いたのはウィーン国際空港だ。ここからは日本語が全く通じない場所となる。治安も日本ほどよくないことを碧に言い聞かせながらタクシーでホテルへと向かった。

 ウィーン国立歌劇場に程近い老舗ホテルへチェックインし、部屋へと案内される。

 碧との「初めて」のために奮発した最高級の部屋は、白と赤を基調とした艶やかな内装となっていた。

「うわぁ凄い。お姫様の寝室みたい。ここに泊まるんですか?」

「そうだよ。一生に一度の新婚旅行だからね」

 そして一生に一度の処×喪失となるのだから、最高の思い出とするための散財は惜しまない。

 一輝の下心など全く読み取れない碧は、芸術的とも言える内装や絵画に目を輝かせながら、室内を見て回っている。

 その間に、トランクから服を出すふりをしてしっかりと夜の準備をしておく。

 なにせ、ようやく迎えられた初夜なのだ。

 こっそり精力剤まで持参しているのは内緒だ。

 早く夜になれ、そのために飛行機ではたっぷりと睡眠をとってきたのだから。

 だが、その前に最愛の妻の心を満たすことに専念する。

「碧くん、落ち着いたら出かけよう」

「どこにですか?」

 バスルームに続く扉からひょっこり顔を出し訊ねてくる。

「碧くんが一番喜ぶ場所だ」

「美術館?」

「そうだよ。行くかい?」

「行きたい!」

 子供のように喜んで、でも一輝に抱き着いてくる仕草はもう子供っぽさをなくしている。無意識に軽く煽ってくるのだ。

 一輝に飛びついて抱きしめてくるのは一緒なのに、見上げてくる仕草や唇の開き方が妙に艶っぽい。人に触れられて得られる快楽を知ってからの碧はふと見せる表情が一輝を興奮させることに気づいてない。

 うちの奥さんは本当に天然小悪魔だと感嘆しながら、彼の肩を抱きながらホテルを出た。

 向かう先は、初めてのデートで見た絵画を所蔵している美術館だ。

「ここ……」

「覚えてる?」

「一輝さんからの初めてのプレゼントに載ってた……凄い……」

 碧が覚えてくれていたこともだが、喜びのあまり言葉を失うほど感動してくれているのが一輝には嬉しかった。

「時間がもったいないからね、早く入ろう」

 促し、美術館の中へと入っていく。建物からして芸術的なのに見渡す限りの美術品に碧はどう動いていいかわからないようだ。それもそのはずだ。神聖ローマ帝国からハプスブルク家まで続く歴代の支配者が集めたヨーロッパ中の絵画が一堂に会しているのだからその数は膨大だ。

 パンフレットに従いながら一つ一つ見て回るしかないと話し合い、まずは碧が好きな絵画を見て回ることにした。

「凄いね……こんなにいっぱいあるんだ……」

 一輝は真っ先に管理が大変だと心配してしまうほどの絵画を前に、碧は遠距離恋愛の恋人に久方ぶりに会えた少女のような眼差しを向けている。瞳を潤ませ頬を赤らめたキラキラとした表情は、いつ見ても愛らしい。この表情が見たくて一輝は碧と美術館巡りをするのだ。

 それは、初めて会った時に一輝に向けた表情に似ているから。

 初心な彼が正面から一輝を見つめられないと恥ずかしがっていた時は、慣らして正面から向き合っても目を反らさないようにしようと張り切っていたあの頃を思い出す。

 今は目を反らすどころか、目が合えばキスをねだってくるまでになっているが。

 それでも時折、初々しい頃の碧が垣間見れるのが嬉しかった。

 二人で作品を一つ一つ眺めながら感想を言い合う。

 そして一年ぶりに再会したブリューゲルの「バベルの塔」は全く色褪せることなく、あの日のままの姿でそこにあった。

「一輝さんこれっ! 初めてのデートの時の」

「碧くんが一番好きだと言っていた絵だね」

 あれから一年。この絵のおかげで距離が縮み、紆余曲折あったがしっかりと夫婦になれましたと、なぜか神への報告のように心の中で絵画に報告していく。そして今夜は! といらぬことまで報告するのだった。

 珍しく碧が人物の詳細まで見つめ色々と研究をしている。

 その真剣なまなざしを眺めるだけで時間があっという間に過ぎ去ってしまう。

 気が付けばもう夕食の時間になっていた。

「碧くん、そろそろ食事にしようか」

「え……もうそんな時間? でもまだ……」

「一日に見切らなくてもいいんだ。明日また来ればいい」

「明日も……いいの?」

「ここは一日で回れる場所じゃないんだ。何日にも分けてじっくり見よう」

「嬉しい……一輝さん、ありがとうございます」

 いつものキスをしようとして、碧が慌てて身体を止める。ここが家の中ではないのを気にしたのだろう。

「日本では目立つだろうけど、海外だとそうでもないんだよ」

 そう教えながら、一輝は腰を屈め自分から碧の唇に触れた。

「旅行の間は好きな時にキスしていいんだ」

 教えられたことを素直に受け止める碧は、嬉しそうに微笑み一輝の肩に手をかけると少し背伸びをしてキスをしてくる。

 まもなく、この唇の奥を堪能できると思うだけで、美術館という静寂な場なのに悪い場所が疼いてしまう。

 美術館内のショップに顔を出し、展覧会のカタログや美術関係の書籍を数点買い求め、ホテルへと戻った。

 予約していたホテル内のレストランで、伝統的なオーストリア料理を楽しみ、このホテル名物のザッハトルテをいただいてから部屋へと戻る。

 ホテルスタッフに頼んでおいたから、重い美術書は既に部屋に届けられているのを確認し、碧を美味しくいただくための準備を始めた。

「碧くん、疲れただろう。お風呂に入ろう」

 本を渡したときに食事が終わるタイミングですぐに入浴できるよう湯を沸かして欲しいと頼んでおいて正解だ。ドイツ語で依頼したから碧には一輝がなにを話しているかわからなかったようだが。

「もう入れるの?」

「そうだよ。おいで」

 白と黒の豪奢なバスタブには既に泡がたっぷりと浮かんでいた。

「お姫様のお風呂みたい……」

 夢見心地の碧とは正反対に、一輝はそれが美味しい食事の下準備にしか見えなかった。

 可愛い妻を唆し、せっかくだから二人一緒に入ろうと提案する。

「使い方がわからないだろう」

「そっか……一輝さんって凄い。なんでも知ってるし、ドイツ語もペラペラで、なんでもできちゃうんですね」

 あまり褒めないでくれ。だってこれにはやましい過去の経験と下心が満載なのだから。

 もう一輝の前で服を脱ぐことを躊躇わなくなった碧は、着ていた服を脱いでいく。一輝に見せつけるような脱ぎ方ではないのに、煽情的に見えるのは、自分がベタ惚れしているからなのか。どんな仕草すらも誘っているように映る。

 これはもう、病気だろう。

 いや、むしろ病気でいい。相手が他でもない妻の碧なのだから永遠にこの病にかかっていたい。

 もう見慣れてしまっている妻の裸なのに、薄い臀部を視界に捉えただけであそこが元気になってしまう。今まではみっともないと自分を律してきたがそれももう終わりだ。これから存分に碧を堪能できるし、今晩から大活躍だ。

 一輝も着衣を脱ぎ捨て碧の後を追いバスタブへと入っていった。

 イチャイチャしながら自分と碧の身体を洗い清め、長旅の疲れを癒すためにバスタブで足を延ばす。膝の上に碧を乗せて。

「たくさん歩いただろう、疲れたかい?」

「少し……でも楽しかったです。またあの絵を観ることができるなんて……」

 美術館の思い出をうっとりと思い出している碧には申し訳ないが、そろそろ夫婦の営みの時間へと突入させてもらう。

「以前約束しただろう、夫婦ですることを教えると。覚えているかな?」

「覚えてます! 薬飲まなくなったら教えてくれるって」

「今月からもう薬は必要ないからね、それを始めてもいいかな」

「はい! 難しいのかな?」

「碧くんなら大丈夫だ。こっち向いて」

 一輝に寄りかかっていた身体をこちらに向かせ、いつもキスをするときのように抱きかかえる。可愛い唇にそっとキスをして、でも今日は啄むだけでは終わらせない。いつものように啄んだ後、舌で可愛い唇を舐めた。

「ぁ……」

 碧は驚きながらも一輝のすることを受け入れる。

 唇の合わせをくすぐり、その中へと潜り込む。

「んっ」

 初めて口腔に一輝を迎え入れて驚きの声を上げるが、でも拒みはしない。ただ不安で一輝の腕を掴む指に力を入れた。その力加減すら一輝には心地よい。可愛い彼を支配しているような気持になる。

 歯をくすぐり、その奥に隠れている舌を舐めとる。そしてそれを誘い出すと執拗に擦り合わせていく。

 初めてだからあまり長くはせず、頃合いを見計らい唇を離すと、碧は紅潮した頬ととろりと溶けた眼差しの可愛い顔になっていた。

「これはディープキスと言って、夫婦が二人きりの時にするキスだよ。どう?」

「……もう一回、して」

「何度でも」

 唇を合わせじっくりと彼に教えるように同じ動きをして、だがどんどん淫らさを増していく。音を立て舌を吸い、誘い出しては先を噛む。舌を絡ませては貪るようなキスを徐々に激しくしていった。初めはされるがままの碧も、何度も繰り返すと自分から一輝のやり方を真似して動いてくる。

 角度を変え何度もキスをして、唇の合間から漏れる碧の喘ぎをも吸い取る。キスだけで二人の身体に挟まれた可愛いものが力を持ち始めていく。それを見計らい、一輝はキスに酔う碧の臀部を何度も撫で、そして繋がるための場所へと指を動かした。

「ぁっ……そこだめ!」

 驚いた碧は初めて抵抗の言葉を発した。

 知識のない彼にとってそこは排泄の場所でしかないのだから。

「安心して。愛し合ってる者同士はね、ここで繋がるんだよ」

「つながる?」

「そう。一つになるんだ、ここでね」

「どうやって……」

「教えるから私に任せて。大丈夫、碧には痛いことをしたことがないだろう」

 敢えて呼び捨てにしてみる。そのニュアンスを感じ取ったのか、少し照れたような笑みを浮かべ頷く。

 妻が可愛すぎて色々と我慢が出来なくなった一輝は、もう一度彼をキスで酔わせると最奥の蕾をくすぐりながら指を潜り込ませた。

「んんっ……ぁ……」

「力を抜いて、そう。碧はキスに専念して」

「ぁ……はぃ」

 ディープキスを気に入った碧は一輝の首に手を回し自分から積極的に舌を絡めてくる。応えながらまだ固い蕾をゆっくりと解していく。指を入れては抜き、少しずつ進めて根元まで入れていき、じっくりと指を動かしながら碧の感じる場所をあたりを付けながら探っていく。

「ぁ……ん……ゃぁっ!」

 ビクリと身体が跳ねあがり強く一輝の指を締め付けた。その場所を指で刺激しながらキスを忘れてしまった妻に囁く。

「碧、キスして」

「は……ぃっ…んっ」

 懸命にキスを繰り返しながら、初めて味わい刺激に腰が揺らめくのを止められないようだ。一度指を抜き取ろうとすると、拒むように力を入れられる。

「大丈夫、まだ終わりじゃないから」

 指を増やしてまた蕾を犯していく。まだ完全にオメガのホルモンが活発化していない碧のそこは自然に濡れるまでに至っていないから、時間をかけて解していくしかない。キスで酔わせ、感じる場所を刺激したりそらしたりしながら徐々に指を増やしていく。

 内側からの刺激を受けるたびに碧は小さく跳ね、小さな分身を一輝に擦りつけてくる。キスをしながらそこも弄って欲しいと仕草でねだってくるが、敢えてはぐらかした。

 代わりにキスを深くしていく。

 唾液を啜り上あごを舐めると甘い声が止まらなくなる。

 二本の指は碧からの抵抗がなくなるのを待ってバラバラに動かし、感じる場所を刺激しては広げる動きを繰り返した。充分にほぐれたのを確認し、指を三本に増やす。

「ぁぁ……」

「大丈夫、気持ちいいことしかしないよ。碧は気持ちいいことが好きだろう」

「ん……すき…」

 蕩けた声で答え、自分からキスをしながら腰を押し付けてくる。性に未熟で無知なのに、与えられた快楽を素直に受け取り無意識に淫らに一輝を煽ってくる。一輝のに自分の分身を擦りつけながら蕾を締め付けキスをする淫らな妻に、どんどん溺れていく。

 こんなにも快楽に弱い碧がもっと強い刺激を覚えたらどうなるのだろう。

 彼の嬌態が見たくて、一輝は分身を扱きながら中の最も感じる場所を強く刺激した。

「ひぁぁぁっ…ぁ…ゃだでちゃう……ぃっちゃうよぉぉぉ」

 急な刺激にもうキスどころではない碧は、一輝にしがみつきながら腰を振り乱した。

「達っていいよ。いっぱい出して」

「ゃぁぁぁっ……んっ…ぁぁっ」

 二か所からの急激な刺激に、碧は耐えられず湯の中に蜜を吐き出した。ぎゅうぎゅうに指を締め付ける肉の感触に、一輝もたまらなくなっていた。これが間もなくずっと我慢していた一輝の欲望の象徴を締め付けるのだと想像するだけで果てそうになる。

 だが今日は、すべてを碧の中にぶちまけるのだと誓ったのだ。一滴残らずこの可愛い穴の中に吐き出すために、今はぐっと堪える。

 弛緩して一輝に身体を預ける碧に声をかける。

「気持ちよかった?」

「は……ぃ」

「でもこれで終わりじゃないからね」

「まだ……続きがあるの?」

「そう。続きはベッドでしよう。立てるかい?」

 強い快楽の余波でフラフラする碧を無理に立たせず、まずバスタブの水を抜く。そしてシャワーで泡を洗い流してから先にバスタブを出て碧を抱き床に下ろす。

 たっぷりと用意されたタオルで小さな身体を包み、そのままベッドまでお姫様抱っこで抱えていく。

 初夜のためのキングサイズのベッドは固すぎないスプリングで碧の身体を包み込む。

 真っ白なシーツに横たわる無防備な身体に、たまらず口づけ今までずっと我慢していた肌の感触を唇でも手でも楽しむ。

 夏の間もあまり外出をしなかったため白いままの肌に、所有の証を残していく。

「んっ……ぁぁ」

 薄い肌を吸われるたびに碧が甘い声を上げて一輝を悦ばせる。なにをされているのかわかっていないのに、自然と一輝を煽ってくる小悪魔に大人のテクニックを披露する。

 肌への刺激で少し力を持ち始めた分身を舐める。

「ひぃっ……ぁぁぁぁ!」

 指とは全く違った感触に驚き、背中が浮き上がる。ねっとりと舐め上げ、裏筋をくすぐりながら蕾へと指を伸ばす。たっぷりと解された場所へ、今度はローションをたっぷりとまぶした指を入れていく。

「ぁぁんっ!」

 にゅるっと挿ってきた指に腰を跳ね上げ甘く啼く。

 どんな仕草も可愛くて、もっと声を上げさせたくて可愛い分身を口腔に含んだ。

「ゃぁぁっ……」

 三本の指で中を掻きまわし、吸いながら頭を上下してひたすら彼を啼かせる。快楽に弱い碧はそれだけで分身を大きくし、太ももで一輝の頭をはさみながら嬉しそうに腰を揺らめかせた。腰を揺するたびに蕾から濡れた音が立つ。

 碧の細い指が一輝の頭を掴んでもっとと急かしてくる。

 上あごに分身の先端が擦れるように頭を動かせば、ひとたまりもないと言わんばかりに声が大きくなる。

 本当にどこもかしこも淫らで可愛い。

 この淫乱な可愛い妻をもっと味わい尽くしたい、もう我慢したくない。

 一輝は碧を追い上げていった。

 分身を刺激しながら、指はもっとも感じる場所を擦っていく。複数個所からの刺激に若い碧はすぐに翻弄され、堕ちてあっさりと蜜を放った。

 一輝は甘い蜜を飲みこむと、我慢しその瞬間を待ち続けていた欲望にたっぷりとローションを垂らし塗りつけてから、碧の細い足を大きく開かせた。まだ絶頂に弛緩している身体は一輝の手に抗うことはない。二度も急激に絶頂へと導かれた碧も、どこかぼんやりとしている。

 一輝は欲望を収縮する蕾に宛がい、ゆっくりとそこを割り開いた。

「ぁぁっ……な…に?」

「今碧とね、一つになるんだ。私のが入っているだけだ」

 なにがとは言わない。だが見開いた眼には映っているだろう、一輝の欲望がさっきまで指で解された場所にローションの滑りを借りながら入っていくのが。

「な……んで? ぁぁぁっ」

 怖がる碧をなだめながら、ゆっくりと根元まで飲みこませていく。

「さっき、中を擦られて気持ちよかっただろう。今度はこれでするんだ、もっと気持ちよくなる」

「ほ……んと?」

「私は碧に気持ちいいことしかしないよ。大丈夫、碧もこれが好きになる……試してみようか」

 ゆっくりと抜いて、碧の感じる場所を狙ってズンッと突く。

「ひぃぁぁっ」

 ギュウっと蕾が欲望を強く締め付けてくる。

「気持ちいいかい?」

「んっ……ぃぃっ!」

「もう一回して欲しい?」

「して、欲しい、もっとぃっぱいしてぇ」

「いい子だ。いっぱいしてあげるよ」

 緩やかに、碧の感じる場所を狙って腰を動かしていく。突かれるたびに可愛い啼き声が碧の唇から漏れ、快楽に耐えようとしているのか細い指がきつくシーツを握りしめている。そして淫らな腰がもっとと促すように揺らめいている。

 その煽情的な姿に一輝も碧の中にある欲望を大きくしていった。

 膝の裏を強く押し、碧の腰を浮かせると動きを早くしていく。

 感じる場所を突くたびにぎゅうぎゅうと締め付けてくる内壁に、一輝ももう耐えられなくなっていた。

「ゃぁぁぁぁ、へんなの、くるっ! かずきさ……たすけてぇぇ」

「それで、いいんだっ…いっぱい感じてなさい!」

 頭を振り乱し快楽から逃れようとする碧に、キスで動きを封じ激しく腰を使っていく。絶頂へとむけて。

「ぃゃ、いくぅっ!」

「んぅっ」

 感じる場所だけを突かれながら碧が蜜を放つ。その強い締め付けに一輝も内壁に熱い蜜を迸らせた。

 荒い息遣いが部屋の中に満ちていく。

 碧を抱いたという充足感に一輝は放心した妻の身体を強く抱きしめた。

 一輝の蜜が吐き出されるたびに、嬉しそうに内壁が締め付けてくる。その心地よさに亀頭球が治まっても彼の中から抜くことができない。

「どうだった、初めてのセックスは?」

「これ……セックスっていうの?」

「そうだよ。愛し合う者たちがする大切なことだよ。私たちは夫婦だからね、これをいっぱいするんだ」

「いっぱい? みんなしてるの?」

「そうだね。ほとんどの夫婦はしているよ。碧は気持ちよかった?」

 訊かなくてもわかっているが、碧の口から聞きたい。

「ぅん……気持ちよかった……でも……」

「でも?」

 でもなんなんだ。不満があったというのか。持ちうる限りの、アルファの男だって啼かせるテクニックのはずだが、オメガには物足りないのだろうか。

「まだ……繋がってるところ、ムズムズするの……助けて」

 碧がギュッと抱き着きながら腰を揺らしてくる。その可愛い催促に相好を崩し、存分に応えたくなる。彼が啼いて許しを乞うまで。

「何度でもしてあげるよ」

 一輝は碧の唇を貪りながらまた欲望を大きくしていった。
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