ツイノベ置き場

椎名サクラ

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森の大賢者(受け)とED治療の依頼に来た攻めの話

むかーしむかし、ある国のある森の中に魔法使いが住んでいました。

魔法使いはたくさんの魔法を使え、魔力もたくさんありました。

なによりも物知りでした。

みんなは魔法使いのことを「大賢者」と呼んで頼ってました。

ある日、大賢者が住んでいる小さな小屋に若者が訪ねてきました。

「ここは大賢者の庵で間違いないか」

「いかにも」

「内密の頼みがある、人払いを……」

「ここにいるのはワシだけじゃ」

若者は周囲を見回しました。

小さな小屋の中には暖炉と寝台、そして小さなテーブルしかありません。

とても他の人が潜める場所はないのです。

安心した若者は大賢者に頭を下げました。

「俺のEDを治してください!!」

「できるかボケェ!てめぇで媚薬でも飲んでろ」

あらあら、なんて乱暴な言葉遣い。

けれど若者は諦めません。

「治さないと困るんだ!!どーてーも卒業してないのにEDなんて、妖精まっしぐらな人生を男として生まれたからには送りたくない!!」

あらあら、若者はどーてーなのですね。

大賢者はそれでも頷きませんでした。

代わりにとてもとても小さな瓶に入った媚薬を取り出し高額で売りつけてきたのです。

「これを飲めば治るのだな!」

若者は鼻息を荒くし、金貨を大量に置いて帰っていきました。

「気休めだ」

と呟く声など届かなかったでしょう。

それから5日後、また若者が大賢者の元へとやってきました。

「この嘘つきジジィ、勃ったの一瞬じゃないかっ!」

若者は半泣きである。

「治るとは言っとらん。ただ売りつけただけじゃ。お前さんを治すの、面倒」

「そこ、面倒くさがるなよ!大賢者なんだろ!パパッとちょちょっと魔法でなんとかしてくれ!」

若者はとても切実のようです。

妖精と呼ばれたり、右手が恋人だったりは決して恥ずかしいことではないのに、不思議です。

大賢者は困りました。

本当に面倒なのです。

「そんなこと言うやつに使ってやる魔法はない、出ていけ一生来るな」

「なんだとっ!父上に頼んでお前を投獄してやる!」

「ほっほっほっ、ならばその前に他の国に行くかのぉ」

「あっ嘘ですごめんなさい、でも早く俺を治してください!!」

「いや、それより諦めろよ」

大賢者は妖精になることの良さを若者にとくとくと語りましたが、二言目には「治せ」と迫ってきます。

これには大賢者も大変困りました。

「分かった、では今から言うものを用意できたら治してやろう」

大賢者は薬の材料を若者に伝えました。

若者は大きく頷くと小屋から出ていきました。

これでしばらくどころか二度と来なくなるだろうと思いました。

なぜなら若者に伝えた材料は魔法使いでさえなかなか手に入れることができないものばかりなのです。

それからひと月、大賢者は穏やかに過ごしました。

その日は大賢者を訪ねる人がたくさんいました。

森で怪我をした木こり。

クマに襲われた子供。

畑の水不足に悩む農夫。

うっかり気の強い女の子にコナをかけたイノシシ。

家を壊されたキツツキ。

破壊されないダムを望むビーバー。

他にもたくさんの人や動物が訪ねてきて、大賢者はイノシシ以外の願い事を叶えると流石に疲れました。

夜が帳を下ろし始める頃、若者がやってきました。

手には大賢者が伝えた材料が揃っているではありませんか。

大賢者は大変驚きました。

こんなに短時間で揃うものではありませんから。

でも大賢者は若者を追い出そうとします。

「今日はもう終わりだ。また別の日に来てくれ」

「いやいやいや、そんなの無理!大至急治してもらうために頑張って揃えてもらったんだ」

でも大賢者もフラフラです。

魔力は盛大にありますが、体力がないのです。

こういうときは一人で小屋にこもらなければならない理由があるのです。

大賢者は若者を小屋から追い出そうとしましたが、入り口にすら追いやれず、うずくまってしまったのです。

「どうした大賢者。具合が悪いのか?」

若者は大賢者の肩を掴むとビクリと跳ねました。

顔まで覆う大きな黒いローブがずり落ちて大賢者の顔を顕にしました。

「なっ……どういうことだ!」

若者はびっくりしました。ずっとおじいさんだと思っていた大賢者が若者より少し年上の男の姿だったからです。

しかも暗い部屋の中でもわかるほど紅潮した顔に荒い息遣い。

潤んだ瞳で見つめられると妖しい気持ちが湧き上がるのを感じました。

「うそ……だろ……」

若者は驚きました。

何もしても役立たずだった下半身が元気に自己主張をしているからです。

けれど具合の悪い人を襲うのはいけません。

若者は自分が持ちうる理性を総動員して、大賢者のローブを脱がしベッドに運びました。

辛そうだったので上着の紐を緩めてあげました。

苦しむ大賢者はとてもとても綺麗で若者は目が離せなくなってしまいます。

肌は白磁の陶器のように白く、唇は桃色。

まつげは長くて濡れているから、若者も妖しい気持ちがどんどん大きくなりました。

「離れてくれ……これは魔力暴走だ。魅了と発情の魔法を制御できない……」

しかし、若者にはもう理性なんてありませんでした。

誘われるように大賢者の服を脱がして、綺麗な肌をまさぐります。

すると、とても甘い声が上がりました。

どこに触れても感じるので、若者の行動は大胆になっていきます。

そしてとうとう、1年ぶりに機能を果たしたイチモツを大活躍させました。

若者は空が白けるまでたっぷりと腰を使い続けました。

もう若者はどーてーではなくなったのです。

疲れきった二人は狭いベッドでたっぷりと寝ました。

起きるともう夕方です。

「昨夜はその……済まなかった」

若者はもじもじします。

当然です、どーてーを卒業させてくれた相手を真っ直ぐに見るのが恥ずかしいものです。

でも大賢者は返事をしません。

腰やら関節やらが痛いので仕方ありません。

起きるのもやっとです。

よたよたへろへろとテーブルの小さな丸椅子に腰掛けるのが精一杯。

若者が汲んでくれた水を飲むとながーく息を吐き出しました。

「気にするな。魔力を使いすぎるといつもああなるんだ……誰かに襲われたのは初めてだがなっ!」

あらあら、どーてーとジョジョだったようです。

若者は何度も謝りました。

ついでに疑問をぶつけました。

「何をしても勃たなかったのにどうして……」

「お前のEDは呪いだからだ。女に反応しなくなる呪いだな。心当たりはないのか?最後に言い寄った女とか」

「自分から口説いたことはないっ!

でも紹介されたことはある……もしかしてあいつか!でもあいつは男で、ハゲで腹が出ててカレー臭を香水で押さえつけるようなやつだぞ……まさかオレに抱かれたかったのか!!」

若者は絶望します。

仕方のないことです、チビハゲでお腹が出てカレー臭を香水で押さえつけて、さらには口臭もひどい相手を抱くことを想像したら、誰でも具合が悪くなります。

「呪いは押さえつけるのは簡単だが治すとなると膨大な魔力を使う。一番簡単なのは呪った相手を殺すことだ」

大賢者は若者からもらったパンを食べました。

とてもふかふかで美味しくてあっという間になくなりました。

すると、すぐに新しいパンが差し出されます。

それどころかサラダにスープまで、魔法のように出てきます。

よく見れば、若者の足者に隠れで給仕する人がいるではありませんか。

けれど疲れきった大賢者は気づきません。

「もしかして最初から呪いに気づいていたのか!!なぜすぐに教えてくれない!」

「面倒だから」

大賢者は俯いてスープを啜ります。

とてもお行儀の悪いことですが若者は気にしません。

「すぐに犯人を捕まえてくる。おいお前、大賢者の世話をしろ」

どーてーを捨てた若者は意気揚々と小屋を出ていきました。

残された大賢者と給仕はぽかんとしてしまいます。

大賢者はそれから3日も寝込みましたが、元気になると今までと変わらない生活を送り始めました。

ときどき、本当にときどき身体が辛くなりますが、大賢者は気にしないようにしました。

1ヶ月が経った頃、また若者がやってきました。

「大賢者、お前のおかげで犯人を見つけることができた、感謝する!」

相変わらず若者は騒がしいです。

「良かったな。用が終わったら帰れ」

「いやいや、まだ終わってないから。呪ったやつは殺したけど、EDはまだ治らないのだ」

大賢者はため息をつきました。

「黒幕がいるからな。そいつが別の呪いをかけているんだ」

「なんだって!!呪ってるのは一人じゃなかったのか!!」

「それくらい自分で気づいてくれ」

大賢者はとても疲れてしまいました。

けれど不思議です、大賢者を見ただけで若者の下半身はあの人同じように元気になっているのです。

大賢者はそれを服越しにまじまじと見ました。

若者も自分の下半身をまじまじと見ます。

「どうやら、大賢者には反応するみたいだな。機能の確認をさせてくれっ!」

「うわっやめてくれ!」

やめてくれと言うわりには大賢者の抵抗は微々たるものです。

またあの人同じようにあれよあれよとベッドに押し倒されて気持ちよくさせられました。

不思議です、そうなると大賢者からはいい匂いが漂ってくるのです。

それを嗅ぐと若者は落ち着きをなくしてしまいます。

大賢者も魔力暴走のときと同じ状態になってしまいました。

可愛い声を上げる大賢者に、若者は頑張って機能の確認をたくさんしました。

「なぜ大賢者にはこうなってしまうんだ……ああ、悪いまた兆してしまった。もう一回いいか……お前が子を孕めれば囲い込むのに……」

若者から漏れた恐ろしい言葉に大賢者は気付きません。

気持ちよくて気持ちよくて、魔力が暴走していないというのに甘い声が抑えられません。

二人はまた空が白むまで頑張って、そして若者は犯人を捜しに帰っていきました。

しかし今度は一ヶ月経っても二ヶ月経っても現れることはありませんでした。

きっと呪いが解けて充実した下半身ライフを送っているのだと、大賢者は納得してまた静かな日々を送ります。

淋しい身体を持て余さなければなりませんが。

1年後、国は大騒ぎ。

なんと隣の国のお姫様が王子様のお嫁さんになったのです。

森の奥までその話は届きました。

大賢者は少しだけ淋しくなりましたが、変わらない日々を送ります。

その日も多くの人や動物が訪ねてきました。

ケガをした木こり。

カラスに襲われた子供。

そろそろ頭頂部が悲しくなった村長。

絶世の美女になりたいおばあさん。

相手のいる女性にうっかり言い寄ってしまったイノシシ。

乱獲から逃れてきた川魚。

結婚相手がいなくて悲しむモグラ。

イノシシ以外の願い事を叶えれば久しぶりに大賢者は疲れてしまいました。

まるであの日と同じです。

けれど今度は若者が訪ねてこないでしょう。

大賢者は熱くなる身体をベッドの中に押し込みました。

いつもよりもずっと早い時間ですが、仕方ありません。

扉が突然開きました。

「大賢者、あなたを妻にする準備が整った!」

入ってきたのは若者でした。

「なんで来てるんだ、今夜は結婚の晩餐会だろっ!」

大賢者は初めて若者を怒鳴りました。

「ああ、確かに今頃やっているな。安心しろ、結婚したのはオレではなく弟だ。なんせオレはEDのままだからな」

けれど若者は大賢者に近づくにつれ、下半身が元気になるではありませんか。

ベッドの横に到着すると臨戦態勢にまで成長しています。

大賢者はシーツを頭から被りました。

「今日は魔力が暴走している。もう出て行け」

「では大賢者を慰めないといけないな。どうやらオレのこれは大賢者にしか反応しないようだ。どんな女を前にしてもちっとも反応しないのに、お前の顔を思い浮かべるだけで何度も大きくなるし、お前を思い浮かべないと役立たずなのだ。これはもう恋で、大賢者をオレのものにするしかないと、この一年頑張ったんだ」

「なにをバカなことを言ってるんだ。お前は単に魔力暴走に巻き込まれて反応しているだけだ……」

大賢者ががっちりと握ったシーツは、いとも簡単に取り払われてしまいます。

自分で弄って赤くなった胸も、びじょびじょに濡れた下半身も、紅潮した肌も全部、若者に見られてしまいました。

若者は嬉しくてベッドに上がって大賢者の足を開きます。

「お前ほど綺麗な人をオレは知らない。父上も大賢者を嫁にすることを許してくれている。ぜひ私と結婚してくれ」

「男と男が結婚できるわけないだろう!」

「そこは問題ない。法律を変えてきたから」

「勝手に国法を変えるなバカ王子!」

そう、若者はこの国の第一王子なのです。

大賢者は初めて会ったときに気付いていましたが気付かないふりをしていました。

「バカでいい。お前を嫁にできるならバカなふりを続けよう」

そうしてまた若者は大賢者に可愛い声を上げさせ始めました。

「思い出したんだ、幼い頃一緒に遊んでくれた子供がいることを。オレよりも三つ年上で、優しくて綺麗で。オレはずっとそいつが女だと思っていた。だがある日突然会えなくなった。とても悲しくて何日も泣いたものだ。あれはお前だったんだろう」

そう、大賢者と若者は初めてこの小屋に来た日が初対面ではなかったのです。

大賢者はかつてはお城の最年少魔法使いでした。

けれどなんでも知っていて、誰よりも魔法を上手に使えて、かつてないほど魔力の強い大賢者は、大人たちに怖れられ意地悪をされたのです。

悲しくて落ち込んでお城の大きなお庭を歩いているときに若者と出会って一緒に遊んだのでした。

お城を出るその日は、大賢者も大泣きをしたことを思い出します。

「オレはお前を愛している。お前はどうだ、大賢者」

とてもとても気持ちよくされてから動きを止められて、大賢者はとても困りました。

もう少しでとてもとても気持ちいいことが起こると知っているからです。

「も……動いてくれ」

「だめだ。返事をくれなければ動くことはできない。さあお前の気持ちを教えてくれ、大賢者」

「すぐに私に気付かなかったくせに……」

「それはお前が魔法をかけて別の姿になりすましていたからだろう。ローブを羽織っている間は老人に見えるようにするなんて、卑怯じゃないか」

そうなのです。

大賢者は自分の姿を変える魔法をかけていたのです。

若くてはまた変な目で見られるのではないかと思ったのです。

もう観念するしかありませんでした。

「……嫌いじゃない」

けれどひねくれ者の大賢者は素直に自分の気持ちを伝えられません。

顔を真っ赤にしてあそこをギュッと締め付けての返事に若者は気を良くしました。

「まあいい。結婚すれば一生を添い遂げなければならないからな。いつかお前からの愛を聴ける日が来るだろう」

そうしてまた動き始めました。

大賢者は甘い声を上げ続けなくてはなりませんでした。

それからしばらくして、大賢者の小屋は立派なお屋敷に建て変わりました。

そこから怒鳴り声が聞こえてきます。

「なんでもう結婚誓約書が出されているんだっ!しかも随分前に!」

「法律が変わってすぐに出したからに決まっているだろう。お前を絶対に逃がさないって決めていたからな。それに、オレの初めてを奪っておいて平穏に生きられると思っていたか」

若者は笑って、大賢者を抱き締めています。

大賢者は若者の背中をポコポコと叩きますが、ちっとも痛くありません。

王位継承権を失った若者はもうお城に住むことはありません。

まさかEDの呪いにかかったことを公にしていると誰が想像するでしょう。

その治療のために大賢者と結婚をしなければならないと周囲を説き伏せたことも。

そのせいで大賢者は毎晩、甘い声をお屋敷の中に響き渡らせなければならないのです。

「毎晩は無理だ、仕事ができない!」

「仕事なんてしなくても充分な金があるんだ。お前はもうオレに愛されていればいい」

「だめだっ!死ぬ、絶対に早死にしてしまう!」

「んー、では戦争に出ようか。そこでいっぱい魔力を使えば毎晩オレに抱かれないとだめな身体になるだろう」

恐ろしい提案は当然、大賢者と周囲に止められましたが、仕事は許可されました。

たくさん魔力を使えば自分から欲しがってくれると、若者が狙っているとも知らずに。



そして二人はいつまでもいつまでもお屋敷に甘い声を響かせるほど仲良く一緒に暮らしました。



おしまい
感想 8

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