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魔女組合とは?(第1話)

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 モリガンに、さらに詳しい話を訊いてみることにする。

「魔女組合というのがある。わしは、一応そこに加入しておるぞ」

「魔女組合?モリガン、それはいったいどういう組織なんだ?」

「魔女の活動や生活の支援を目的としている組織じゃな。まあ、言うなれば魔女版の生活協同組合といったところかのう」

 考えてみれば、モリガンはまだ13歳である。未成年だというのもそうだが、この年齢で一人暮らしというのも何かと不便ではあるだろう。だから、保護者ではないが、何らかの組織による生活支援を受けているというのも、確かに考えられることだった。

「なるほどな。考えてみれば、鏡香さんに連れてこられるまでモリガンはずっと一人だったらしいし」

「まあ、別にそのことを寂しく思ったことはないがのう。ただ、組合の連中としては、さすがにわしくらいの年齢の者を放ってはおけなかったらしく、半ば強制的に加入させられた・・・というわけじゃ。まあ、わしくらいの魔力の持ち主であれば、別に一人でもどうってことはないのじゃがな」

 今だからこそチーム《ユグドラシル》のメンバーの一員として日向荘で暮らしているモリガンだが、その前まではこの森のこのアトリエで一人気ままに暮らしていたわけだ。だが、さすがに未成年の彼女をそのまま放置するわけにもいかず、協会の方でいつでも対処できるように加入させた・・・そんなところだろう。

「・・・まあ、わしは確かに一人暮らしじゃったが、別に家族がおらんというわけでもないぞ」

 そういえば、モリガンから家族の話を聞いたことはなかった。何か事情があるのだろうと思って、立ち入った話を聞くつもりもなかったのだが。

「親御さんとかは?」

「現在、他の領域で活動しておる。たまに魔法で連絡も寄こすし、今のところ何の問題もなさそうじゃな」

 メールとかではなく、魔法で通信する辺りが魔女一家らしかった。

「私、モリガンちゃんのご家族に会ってみたいな」

「オレも、できればご挨拶したいところだ」

 早苗だけでなく、晶もモリガンの肉親に興味を持ち始めていた。

「・・・そんな大層な親ではないぞ。何せ娘をほったらかして世界のあちこちを飛び回っているようなやつらじゃ。さらに言えば、魔力の容量だけなら親よりわしの方が上じゃぞ」

 頭を掻きながら、ぶっきらぼうに答えるモリガン。もしかしたら、自分の親の話をされて多少は照れているのかもしれない。

「まあ、そのうち機会があったら会わせてやるわい。一応《ユグドラシル》に入ったことはもう伝えてあるしのう」

「会えるのが楽しみだなぁ~」

「まあ、わしの親のことはともかく、今は魔女組合の知り合いの話じゃろ、そうじゃな・・・」

 モリガンは、通信用の魔術を展開し、魔女組合の一人と連絡を取り始めたー。

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