上 下
91 / 464

魔女組合とは?(第4話)

しおりを挟む
 アトリエのチャイムが鳴らされたー。

「どうやらお出ましのようじゃの」

 モリガンが魔女組合からの来客を迎えに行く。

「こんにちは~、モリガンちゃん。元気にしていましたか」

「久しぶりじゃの、リリィ。わしならこの通りじゃ」

 そこに現れたのは、年齢的には晶よりも1,2くらい年上の女性だ。眼鏡をかけており、腰まで届く亜麻色の三つ編みの髪が特徴的な、おとなしそうな印象のお姉さんである。優しそうな印象を受ける人だった。

「紹介するぞ、晶、早苗、ミケさん。彼女が魔女組合でわしの担当者のリリィじゃ」

「初めまして~、《ユグドラシル》の皆さん。魔女組合から来ましたリリィ・モーガンと申します」

「お会いできて光栄です。オレは吾妻晶です」

「清野早苗です」

「我輩はミケと申しますニャー」

 双方共に挨拶を済ませる。

「あら?」

 リリィは、特にミケさんに関心を示したようだった。

「可愛らしい方ですね」

「ミケさんは、これでも蟲なんですよ」

 晶がミケさんについて軽く説明する。

「蟲さん・・・なんですか?」

 リリィは意外そうな顔をした。

 まあ、それも当然のことだろう。普通、蟲といえば、もっとグロイものとか、あるいは昆虫がでかくなったようなものが連想される。しかし、ミケさんのこの容姿は、明らかにそれらとはかけ離れたものだった。蟲というより、猫に近い。

 ・・・ただ、ミケさんの場合、普通の猫よりもはるかにしなやかさがない上に肥満体なので、これで猫というのもいささか難があるような気もするのだが・・・。

「こいつは益蟲といって、オレたちのチームが駆除している害蟲と違い、周囲に害をもたらすようなことはありません・・・まあ、ただ役に立つのかと言われれば、それは別問題となりますが・・・」

「晶、一言余計ですニャ~」

 ミケさんが抗議の声を上げるが、実際のところ、本当のことなのでとりあえず無視することにする。

「変わった蟲さんですね~、ミケさん、仲良くしましょう」

 リリィは、ミケさんのことをいたく気に入ったようだ。ミケさんに握手を求めている。

「こちらこそよろしくお願いいたしますニャー」

 ミケさんはぷにぷにの肉球がある手でリリィと握手した。

「ミケさんはねえ、抱っこするととてもモフモフしてて気持ちいいんだよ」

 早苗はリリィにミケさんを抱っこするように勧めた。

「抱っこしてよろしいですか、ミケさん」

「遠慮はいりませんニャー」

 ミケさんの許可が下りたので、早苗に勧められた通り、さっそくミケさんを抱っこすることにしたリリィ。例の如く、ミケさんは「ふふふ・・・」と不敵な笑みを浮かべている・・・それに、いったい何の意味があるのかはいまいち不明だが。

「のう、リリィ。そのミケさんのことで、少し頼みがあるのじゃが・・・」

 しばらく黙って様子を見ていたモリガンが、例のミケさんのパワーアップの件について話を切り出し始めたー。

しおりを挟む

処理中です...