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チーム《ユグドラシル》と教会騎士たち(第10話)
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早苗が、戦いの場に躍り出るー。
「今度は、私が相手だよ、蟲憑きさん」
早苗の両方の鉄扇に魔力が集中していく。
「霧を掃うか・・・風魔法の出番というわけじゃな」
早苗の鉄扇に宿った魔力の性質を読み、モリガンが推測する。鉄扇士の多くが得意とするのが、この風魔法だ。鉄扇という武器と風は、基本的に相性がいい。鉄扇を振るうことで、それに宿った魔力の風を起こすことが可能だからだ。
鉄扇を薙ぎ払うことで、魔力による風を巻き起こし、同じく魔力で霧となった蟲憑きの本体をさらけ出すのが早苗の狙いだった。
「それじゃあ、行くよ・・・蟲憑きさん」
通常では視認できない相手に対し、まるで見えているかのように早苗は対峙する。蟲憑きは、魔力によって霧状になっているので、その魔力を風で拡散させれば、敵の本体を暴き出すことができる。
蟲憑きも、そのことに気が付いたのか、それとも本能的に危険を感じ取ったのか、攻撃対象を晶から早苗へと変更し、彼女に狙いを定め始めた。
何もないーというより、霧化してみえないー中空に、魔法の球がいくつか生み出される。早苗を攻撃するためのものだ。
「清野!」
思わず晶が早苗に呼び掛けてしまうが、当の早苗自身は涼しい顔で、
「大丈夫だよ、晶君。任せといて」
左の鉄扇を、複数の魔法球が浮かんでいる中空の真ん中辺りに向けて薙ぎ払った。
それに伴い、凄まじい風が巻き起こり、霧が晴らされていくー。
魔力で生じた霧は、やはり魔力で作られた風により、霧消したのだ。
「・・・!」
蟲憑きー白いコートの男の姿があらわとなる。それと同時に、中空に浮かんでいた魔法球が、コントロールを失ったのかその場で弾け出した。
魔法球による小爆発の被害は、それを生み出した蟲憑き自身が被る結果となった。
「やったな、早苗!見ろ、自業自得じゃ」
モリガンが自滅した蟲憑きを嘲る・・・が、
「ダメージはほとんどなしか」
爆発の中、全く動じることなく立ち尽くす蟲憑きの姿が、そこにはあった。爆発といっても、せいぜいが爆竹程度のもので、その程度ではダメージとはなりえなかったのだろう。
「まあ、別に自滅を狙ってたわけじゃねえけどな」
晶は再び魔笛剣を構える。
「晶君、また霧になることがあったら、私がサポートするからね」
早苗も再び鉄扇に魔力を送り始めた。いつでも風魔法を発動できるようにするための準備だ。
「ああ、その時は頼む」
蟲憑きは、黙ってこちらの様子を窺っている。確実とは言えないが、多分こいつは知性もあるはずだーとなれば、亜人種型ほどではないにしろ、厄介なことには変わりはない。
何とか早く倒して、ゼクスたちにバトンタッチしなくちゃなー。
晶は再び、蟲憑きに斬りかかったー。
「今度は、私が相手だよ、蟲憑きさん」
早苗の両方の鉄扇に魔力が集中していく。
「霧を掃うか・・・風魔法の出番というわけじゃな」
早苗の鉄扇に宿った魔力の性質を読み、モリガンが推測する。鉄扇士の多くが得意とするのが、この風魔法だ。鉄扇という武器と風は、基本的に相性がいい。鉄扇を振るうことで、それに宿った魔力の風を起こすことが可能だからだ。
鉄扇を薙ぎ払うことで、魔力による風を巻き起こし、同じく魔力で霧となった蟲憑きの本体をさらけ出すのが早苗の狙いだった。
「それじゃあ、行くよ・・・蟲憑きさん」
通常では視認できない相手に対し、まるで見えているかのように早苗は対峙する。蟲憑きは、魔力によって霧状になっているので、その魔力を風で拡散させれば、敵の本体を暴き出すことができる。
蟲憑きも、そのことに気が付いたのか、それとも本能的に危険を感じ取ったのか、攻撃対象を晶から早苗へと変更し、彼女に狙いを定め始めた。
何もないーというより、霧化してみえないー中空に、魔法の球がいくつか生み出される。早苗を攻撃するためのものだ。
「清野!」
思わず晶が早苗に呼び掛けてしまうが、当の早苗自身は涼しい顔で、
「大丈夫だよ、晶君。任せといて」
左の鉄扇を、複数の魔法球が浮かんでいる中空の真ん中辺りに向けて薙ぎ払った。
それに伴い、凄まじい風が巻き起こり、霧が晴らされていくー。
魔力で生じた霧は、やはり魔力で作られた風により、霧消したのだ。
「・・・!」
蟲憑きー白いコートの男の姿があらわとなる。それと同時に、中空に浮かんでいた魔法球が、コントロールを失ったのかその場で弾け出した。
魔法球による小爆発の被害は、それを生み出した蟲憑き自身が被る結果となった。
「やったな、早苗!見ろ、自業自得じゃ」
モリガンが自滅した蟲憑きを嘲る・・・が、
「ダメージはほとんどなしか」
爆発の中、全く動じることなく立ち尽くす蟲憑きの姿が、そこにはあった。爆発といっても、せいぜいが爆竹程度のもので、その程度ではダメージとはなりえなかったのだろう。
「まあ、別に自滅を狙ってたわけじゃねえけどな」
晶は再び魔笛剣を構える。
「晶君、また霧になることがあったら、私がサポートするからね」
早苗も再び鉄扇に魔力を送り始めた。いつでも風魔法を発動できるようにするための準備だ。
「ああ、その時は頼む」
蟲憑きは、黙ってこちらの様子を窺っている。確実とは言えないが、多分こいつは知性もあるはずだーとなれば、亜人種型ほどではないにしろ、厄介なことには変わりはない。
何とか早く倒して、ゼクスたちにバトンタッチしなくちゃなー。
晶は再び、蟲憑きに斬りかかったー。
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