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カルミナとブラーナ(第28話)
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さあ、今こそ害蟲にとどめを刺す時だー。
「さあ、決着つけようぜ、蟲けら!」
害蟲が3本の左腕のうち、真ん中の1本を横なぎに繰り出してきた。それを翔は難なくかわして見せた。
「そんなもん、今更かすりもしねえよ!!」
回避しつつ、一瞬動きが硬直した害蟲の腕を切りつける。翔の闘気と黒羽の能力補助も相まって、害蟲の腕が深々と切りつけられた。
害蟲の咆哮が辺り一面を揺るがした。亜人種型ならともかく、この害蟲には知性はないものの、それでも感情や痛覚はあるらしく、自分の腕を負傷させられたことに対する怒りの叫びが、衛星の至る所にまで響き渡った。
「ははっ!やったぜ」
思わずガッツポーズを決める翔ー。
害蟲の真ん中の左腕は、半ばからだらり下がっており、もう動かすこともできないようだ。
残るは2本ー今度はカルミナとブラーナのコンビが動く。
「ブラーナ、1本ずつ分担しましょ!」
「OK!」
小柄なカルミナは下の腕を、長身のブラーナは上の腕をそれぞれ狙う。
害蟲は、冷静さを取り戻したのか、自分に駆け寄ってくる少女たちに腕を伸ばした。ただ、やはり先ほどまでのスピードはない。真ん中の腕のダメージが、少なからぬ影響を与えているのだろう。
「はあ!!」
まずは、ブラーナの一撃が上の腕を行動不能にした。さすがに、完全な切断は無理だったが、おそらく害蟲の神経系の部分に損傷を与えることに成功したのだろう。真ん中の腕に続き、上の腕までもがだらりと下がる。
あとは、カルミナの担当する下の腕だけだ。この腕は、下からの突き上げを得意としているが、小柄なカルミナにとって、上の位置を取られるよりもはるかに対処が楽だった。両手のチャクラムを連続で繰り出し、害蟲の腕をしたたかに切りつけていくー。
「・・・っ!」
だが、ブラーナや翔のように、完全に行動不能にするには至らない。傷を受けながらも、腕を振り回してカルミナを仕留めようとする。
「カルミナ!」
このままではカルミナが不利になると判断したブラーナが、カルミナと害蟲の間に割って入る。傷を負っている下の腕に斬撃を浴びせかけた。
害蟲の咆哮が、再び辺り一面に響き渡った。3本の左腕が、完全に沈黙したのだ。毒素をまき散らす花弁を失い、さらには左腕3本を行動不能にされ、害蟲はなすすべもなく立ち尽くしていたー。
「ふう」
額に滲んだ汗を拭きながら、ブラーナは地面に倒れかけたカルミナに手を貸した。
「大丈夫?」
「た、助かったよ、ブラーナ」
これでもうほとんど決着が着いたー誰もがそう思った時だったーただ一人、黒羽を除いてー。
「っ!!皆さん、気を抜かないで!」
黒羽の叫び声が、他の4人に注意喚起を促した。
「どうやら、まだ奥の手があるようですよ」
そういって、黒羽はゆっくりと害蟲を指さす。
黒羽が示した頭部に、何かの魔力が集まり始めるーそして。
辺り一面が光に包まれたー。
「さあ、決着つけようぜ、蟲けら!」
害蟲が3本の左腕のうち、真ん中の1本を横なぎに繰り出してきた。それを翔は難なくかわして見せた。
「そんなもん、今更かすりもしねえよ!!」
回避しつつ、一瞬動きが硬直した害蟲の腕を切りつける。翔の闘気と黒羽の能力補助も相まって、害蟲の腕が深々と切りつけられた。
害蟲の咆哮が辺り一面を揺るがした。亜人種型ならともかく、この害蟲には知性はないものの、それでも感情や痛覚はあるらしく、自分の腕を負傷させられたことに対する怒りの叫びが、衛星の至る所にまで響き渡った。
「ははっ!やったぜ」
思わずガッツポーズを決める翔ー。
害蟲の真ん中の左腕は、半ばからだらり下がっており、もう動かすこともできないようだ。
残るは2本ー今度はカルミナとブラーナのコンビが動く。
「ブラーナ、1本ずつ分担しましょ!」
「OK!」
小柄なカルミナは下の腕を、長身のブラーナは上の腕をそれぞれ狙う。
害蟲は、冷静さを取り戻したのか、自分に駆け寄ってくる少女たちに腕を伸ばした。ただ、やはり先ほどまでのスピードはない。真ん中の腕のダメージが、少なからぬ影響を与えているのだろう。
「はあ!!」
まずは、ブラーナの一撃が上の腕を行動不能にした。さすがに、完全な切断は無理だったが、おそらく害蟲の神経系の部分に損傷を与えることに成功したのだろう。真ん中の腕に続き、上の腕までもがだらりと下がる。
あとは、カルミナの担当する下の腕だけだ。この腕は、下からの突き上げを得意としているが、小柄なカルミナにとって、上の位置を取られるよりもはるかに対処が楽だった。両手のチャクラムを連続で繰り出し、害蟲の腕をしたたかに切りつけていくー。
「・・・っ!」
だが、ブラーナや翔のように、完全に行動不能にするには至らない。傷を受けながらも、腕を振り回してカルミナを仕留めようとする。
「カルミナ!」
このままではカルミナが不利になると判断したブラーナが、カルミナと害蟲の間に割って入る。傷を負っている下の腕に斬撃を浴びせかけた。
害蟲の咆哮が、再び辺り一面に響き渡った。3本の左腕が、完全に沈黙したのだ。毒素をまき散らす花弁を失い、さらには左腕3本を行動不能にされ、害蟲はなすすべもなく立ち尽くしていたー。
「ふう」
額に滲んだ汗を拭きながら、ブラーナは地面に倒れかけたカルミナに手を貸した。
「大丈夫?」
「た、助かったよ、ブラーナ」
これでもうほとんど決着が着いたー誰もがそう思った時だったーただ一人、黒羽を除いてー。
「っ!!皆さん、気を抜かないで!」
黒羽の叫び声が、他の4人に注意喚起を促した。
「どうやら、まだ奥の手があるようですよ」
そういって、黒羽はゆっくりと害蟲を指さす。
黒羽が示した頭部に、何かの魔力が集まり始めるーそして。
辺り一面が光に包まれたー。
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