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水無杏里の物語(第5話)
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「ハンターさんのチーム・・・ですか?」
杏里が、きょとんとした顔でカイトに尋ねる。
この世界には、様々なチームと呼ばれる集団(大きなものであれば国家に相当するくらいの規模のものまである)が存在している。当然ながら、杏里の暮らしている町でもチームは存在している。ただ、関わる機会はほとんどなかったが。
「ああ、僕たちのチームは蒼き風ー蒼穹の空を股にかけて戦う飛空戦士たちのチームさ」
いささか興奮気味の様子で、カイトは自分のチームについて説明を始めた。
彼の所属しているチーム「蒼き風」は主に南方方面の空域を活動拠点としており、この惑星Σ-11もそうだが、他の近隣の惑星や浮遊大陸においても、害蟲退治や空賊からの地域防衛を担っていた。
「この間は、竜と戦ってね・・・飛竜とやり合うのは久しぶりだったから、思いのほか苦戦したよ」
カイトは、さっきまでとは打って変わって、自らの活躍について饒舌に語り始める。やはり、男子というのは、女子の前では恰好をつけたがるものなのだろうか。次第に、声にも熱が入るようになった。
「では、先ほどの大けがも、その竜との戦いが原因で・・・?」
彼が傷を負ったのは、その竜との戦いが原因だろうか・・・ふと、気になってカイトに尋ねてみる。
「・・・いや」
カイトは、今度はつい今しがたとは異なり、急に言葉が少なくなり・・・、
「今回は、別のやつにやられたんだ・・・」
バツが悪そうに、頭を掻きながら杏里に応えた。
「別の・・・?」
「ああ、今回の相手は人間・・・しかも、かなりの腕前の飛空鎧乗りさ」
カイトは、その時の戦いを思い出したのか、苦悶の表情を浮かべながら、静かに語り始めた。
「あんな奴、そうそういない・・・ものすごい使い手だった。僕と先輩たちで戦ったんだけど、全く相手にならなかったんだ」
悔し気に語るカイトーそして、そんな彼の話を黙って聞き続ける杏里ー。
「信じられないよ、こっちは3人・・・しかも、二人の先輩ははるかに僕よりも強いんだ・・・それでも太刀打ちできなかった。このまま戦い続けたら、こっちがやられる寸前だったから、何とか逃げようとしたんだけど・・・」
そこまで言って、カイトは言葉を区切る・・・少ししてから、カイトはようやく続きを語り始めたーこの大陸に落ちてきた顛末を。
「僕だけ逃げそびれたんだ・・・先輩たちは、何とか僕を救おうとしたんだけど、間に合わなくて・・・結局、ここに墜落してしまった・・・その後、君に助けられたってわけさ」
「そんなことが・・・」
杏里も、飛空鎧乗りがいかに危険であるかはよく話には聞いている。今回のカイトのような、命がけの戦いというのももちろんあるが、何より、何の支えもない空の上だ。わずかな事故でも命取りとなりかねないはずー。
「一応、生体端末はあるから、先輩たちは、僕の無事を知ってはいるだろうけど、それでも早く合流して安心させたい」
カイトが、思わず拳を握りしめる。このままここで救援が来るのを待つのもありなのかもしれないが、やはりこれ以上先輩たちに迷惑をかけたくはなかった。
「ごめん、僕のことばかり話して」
ふいに、カイトが一方的に自分のことばかり喋っていたことに気が付く。
「いえいえ、私も、カイトさんのこと知りたいなって思ってましたから」
これは本心だ。初めて出会った空のハンターの少年ー町からほとんど外に出たことのない杏里にとって、もっとカイトのこれまでの暮らしや空の世界のことを知りたいと思うのは、当然のことなのかもしれない。
「僕のことはカイトでいいよ、その代わり、僕も君のことを杏里って呼ぶからさ・・・あと、年齢も同じくらいでしょ?だったら、ため口でいいよ、杏里」
先ほど倒れていた時とは逆で、今度はカイトが杏里に対して手を差し出す。
「・・・ええ、わかったわ、カイト」
杏里は、優しく微笑むと、カイトの手を取ったー。
杏里が、きょとんとした顔でカイトに尋ねる。
この世界には、様々なチームと呼ばれる集団(大きなものであれば国家に相当するくらいの規模のものまである)が存在している。当然ながら、杏里の暮らしている町でもチームは存在している。ただ、関わる機会はほとんどなかったが。
「ああ、僕たちのチームは蒼き風ー蒼穹の空を股にかけて戦う飛空戦士たちのチームさ」
いささか興奮気味の様子で、カイトは自分のチームについて説明を始めた。
彼の所属しているチーム「蒼き風」は主に南方方面の空域を活動拠点としており、この惑星Σ-11もそうだが、他の近隣の惑星や浮遊大陸においても、害蟲退治や空賊からの地域防衛を担っていた。
「この間は、竜と戦ってね・・・飛竜とやり合うのは久しぶりだったから、思いのほか苦戦したよ」
カイトは、さっきまでとは打って変わって、自らの活躍について饒舌に語り始める。やはり、男子というのは、女子の前では恰好をつけたがるものなのだろうか。次第に、声にも熱が入るようになった。
「では、先ほどの大けがも、その竜との戦いが原因で・・・?」
彼が傷を負ったのは、その竜との戦いが原因だろうか・・・ふと、気になってカイトに尋ねてみる。
「・・・いや」
カイトは、今度はつい今しがたとは異なり、急に言葉が少なくなり・・・、
「今回は、別のやつにやられたんだ・・・」
バツが悪そうに、頭を掻きながら杏里に応えた。
「別の・・・?」
「ああ、今回の相手は人間・・・しかも、かなりの腕前の飛空鎧乗りさ」
カイトは、その時の戦いを思い出したのか、苦悶の表情を浮かべながら、静かに語り始めた。
「あんな奴、そうそういない・・・ものすごい使い手だった。僕と先輩たちで戦ったんだけど、全く相手にならなかったんだ」
悔し気に語るカイトーそして、そんな彼の話を黙って聞き続ける杏里ー。
「信じられないよ、こっちは3人・・・しかも、二人の先輩ははるかに僕よりも強いんだ・・・それでも太刀打ちできなかった。このまま戦い続けたら、こっちがやられる寸前だったから、何とか逃げようとしたんだけど・・・」
そこまで言って、カイトは言葉を区切る・・・少ししてから、カイトはようやく続きを語り始めたーこの大陸に落ちてきた顛末を。
「僕だけ逃げそびれたんだ・・・先輩たちは、何とか僕を救おうとしたんだけど、間に合わなくて・・・結局、ここに墜落してしまった・・・その後、君に助けられたってわけさ」
「そんなことが・・・」
杏里も、飛空鎧乗りがいかに危険であるかはよく話には聞いている。今回のカイトのような、命がけの戦いというのももちろんあるが、何より、何の支えもない空の上だ。わずかな事故でも命取りとなりかねないはずー。
「一応、生体端末はあるから、先輩たちは、僕の無事を知ってはいるだろうけど、それでも早く合流して安心させたい」
カイトが、思わず拳を握りしめる。このままここで救援が来るのを待つのもありなのかもしれないが、やはりこれ以上先輩たちに迷惑をかけたくはなかった。
「ごめん、僕のことばかり話して」
ふいに、カイトが一方的に自分のことばかり喋っていたことに気が付く。
「いえいえ、私も、カイトさんのこと知りたいなって思ってましたから」
これは本心だ。初めて出会った空のハンターの少年ー町からほとんど外に出たことのない杏里にとって、もっとカイトのこれまでの暮らしや空の世界のことを知りたいと思うのは、当然のことなのかもしれない。
「僕のことはカイトでいいよ、その代わり、僕も君のことを杏里って呼ぶからさ・・・あと、年齢も同じくらいでしょ?だったら、ため口でいいよ、杏里」
先ほど倒れていた時とは逆で、今度はカイトが杏里に対して手を差し出す。
「・・・ええ、わかったわ、カイト」
杏里は、優しく微笑むと、カイトの手を取ったー。
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