215 / 464
水無杏里の物語(第14話)
しおりを挟む
杏里の生体端末に、壮太から連絡が来たようだった。内容は、飛空鎧を修理してくれる町工場を見つけたということらしかった。
「よかったぁ、さすがにあんな大きなもの、そう簡単に直せないだろうし、本当に助かったよ」
実際、あの半壊状態の飛空鎧では、空はおろか陸地さえ移動することもできないだろう。もちろん、修理と言っても何日もかかるだろうし、修理代もバカにはならないはずなので、手放しで喜べるような状況でもないのだが、それでも空のハンターであるカイトにとって、飛空鎧は商売道具でもある以上、今はこれほどありがたい話もない。
「ねえ、カイト」
杏里が、カイトの顔を下からのぞき込むような格好で尋ねてきた。
・・・か、可愛い・・・。
その仕草がなんとも可愛らしく、思わずドギマギしてしまうカイト。ただでさえ、男所帯で異性に対してほとんど接したことのないカイトにとって、今のはかなりの不意打ちとなった。
対する杏里はというと、別に意識してやった行動でもなく、なぜカイトが顔を赤くしてオドオドしているのか、よくわからなかった。
きょとんとした顔で、カイトを見つめる杏里。
「・・・ん?」
「あ、ああ、いや、何でもないよ杏里。それで・・・?」
両手を少し大げさに振りながら、カイトが杏里に話の続きを求める。
「カイト、飛空鎧なんだけど・・・」
杏里が唇のあたりに人差し指を当て、少し遠くを見つめるような仕草で、飛空鎧の中がどうなっているのかについて尋ねてきた。
・・・一つ一つの仕草が可愛らしく、それだけで内心参ってしまいそうになる。
「中は、乗ろうと思えば2人までなら乗れるかな・・・少し無理があるけど、僕と杏里なら大丈夫・・・って!」
そこまで説明して、その光景を思い浮かべて・・・カイトは顔から火を噴きそうなくらいに赤面した。
確かに、飛空鎧のハッチの中は、人間二人くらいまでなら入る。しかし、それの意味するところは・・・。
「・・・!!」
「そう、二人までなら入れるんだ・・・私さ、一度飛空鎧の中に入ってみたいなぁ、なんて思ったのよ。実際にお空を飛んでみたら、どんなに気持ちいいのかなぁ、とか、考えて・・・って、あれ、カイト?」
カイトの様子が少しおかしいことに気が付いた杏里が、怪訝そうに彼に呼び掛ける。
「・・・ああ、だ、大丈夫だよ、杏里。僕は・・・」
「・・・うーん、本当に大丈夫なのかしら・・・グエンさんがそう言うなら安心と思ってたけど、なんだか様子がおかしいよ、カイト。本当に大丈夫?」
心配そうに、そして再び下から顔を覗き込んで来る杏里。彼女が、自分の話した内容がいかなる状態を意味するのか全く気が付いていない点もかなり厄介だった。
いくら二人で乗れるとはいえ、狭いハッチ内にこれほどの可愛らしい女の子と二人だけ・・・その光景を想像すれば・・・。
「ごめん、杏里。少しだけ椅子で休んでていい?」
「あら、大変。ごめんなさい、カイト。具合が良くないのに気が付かなくて」
「あ、い、いや・・・違うんだけど・・・」
「・・・?」
心底申し訳なさそうに謝罪する杏里であったが・・・いや、違うんだ、杏里。問題はそこじゃないんだ・・・。
そう心の中で叫びつつ、カイトは待合室の椅子に腰かけたー。
「よかったぁ、さすがにあんな大きなもの、そう簡単に直せないだろうし、本当に助かったよ」
実際、あの半壊状態の飛空鎧では、空はおろか陸地さえ移動することもできないだろう。もちろん、修理と言っても何日もかかるだろうし、修理代もバカにはならないはずなので、手放しで喜べるような状況でもないのだが、それでも空のハンターであるカイトにとって、飛空鎧は商売道具でもある以上、今はこれほどありがたい話もない。
「ねえ、カイト」
杏里が、カイトの顔を下からのぞき込むような格好で尋ねてきた。
・・・か、可愛い・・・。
その仕草がなんとも可愛らしく、思わずドギマギしてしまうカイト。ただでさえ、男所帯で異性に対してほとんど接したことのないカイトにとって、今のはかなりの不意打ちとなった。
対する杏里はというと、別に意識してやった行動でもなく、なぜカイトが顔を赤くしてオドオドしているのか、よくわからなかった。
きょとんとした顔で、カイトを見つめる杏里。
「・・・ん?」
「あ、ああ、いや、何でもないよ杏里。それで・・・?」
両手を少し大げさに振りながら、カイトが杏里に話の続きを求める。
「カイト、飛空鎧なんだけど・・・」
杏里が唇のあたりに人差し指を当て、少し遠くを見つめるような仕草で、飛空鎧の中がどうなっているのかについて尋ねてきた。
・・・一つ一つの仕草が可愛らしく、それだけで内心参ってしまいそうになる。
「中は、乗ろうと思えば2人までなら乗れるかな・・・少し無理があるけど、僕と杏里なら大丈夫・・・って!」
そこまで説明して、その光景を思い浮かべて・・・カイトは顔から火を噴きそうなくらいに赤面した。
確かに、飛空鎧のハッチの中は、人間二人くらいまでなら入る。しかし、それの意味するところは・・・。
「・・・!!」
「そう、二人までなら入れるんだ・・・私さ、一度飛空鎧の中に入ってみたいなぁ、なんて思ったのよ。実際にお空を飛んでみたら、どんなに気持ちいいのかなぁ、とか、考えて・・・って、あれ、カイト?」
カイトの様子が少しおかしいことに気が付いた杏里が、怪訝そうに彼に呼び掛ける。
「・・・ああ、だ、大丈夫だよ、杏里。僕は・・・」
「・・・うーん、本当に大丈夫なのかしら・・・グエンさんがそう言うなら安心と思ってたけど、なんだか様子がおかしいよ、カイト。本当に大丈夫?」
心配そうに、そして再び下から顔を覗き込んで来る杏里。彼女が、自分の話した内容がいかなる状態を意味するのか全く気が付いていない点もかなり厄介だった。
いくら二人で乗れるとはいえ、狭いハッチ内にこれほどの可愛らしい女の子と二人だけ・・・その光景を想像すれば・・・。
「ごめん、杏里。少しだけ椅子で休んでていい?」
「あら、大変。ごめんなさい、カイト。具合が良くないのに気が付かなくて」
「あ、い、いや・・・違うんだけど・・・」
「・・・?」
心底申し訳なさそうに謝罪する杏里であったが・・・いや、違うんだ、杏里。問題はそこじゃないんだ・・・。
そう心の中で叫びつつ、カイトは待合室の椅子に腰かけたー。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる