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アサギと黒羽(第10話)
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「お待たせしました。これからそちらに向かいます」
黒い羽根を通じて、再び頭の中に邪術師の少女の声が響き渡る。アサギにとって、不快極まりない連絡手段ではあったが、これしか相手と連絡し合う手段がないのであれば甘んじて受けるしかない。
「さっさと来い!邪術師よ」
アサギは、叫びながら自身の武器の状態を確認した。
アサギの武器は、東方の者らしく太刀だ。彼女の飛空鎧紫の牙と同じデザインで、これまで幾人もの邪術師をその錆にしてきた。
「・・・場所ですが」
邪術師が、少し間を開けてから戦う場所について意見を求めてきた。
「村から離れる必要があります。ちょうど、この村の西側に丘がありますので、そちらでどうでしょうか?そこならどれだけ派手にやり合おうと、村にまで被害が及ぶこともないでしょう」
邪術師の言う場所なら、確かに村まで影響が出ることも無いだろう。尤も・・・、
「そんなに激しい戦いになるとも思えぬがな、邪術師・・・私が本気を出せば、貴様の首などすぐに地面に落ちることになるはずだ」
実際、アサギにはその自信があった。今までに何人もの邪術師を屠ってきたという自負と経験がある。少なくとも、この黒い羽根から発せられる魔力の波動をたどってみても、そこまで苦戦するほどの相手だとも思えなかった。人知れず戦いが始まり、そして人知れず終わることだろう。
・・・一瞬で。
邪術師からの提案をせせら笑うアサギだったが、ただ、やはり村からは離れた方がいいのは確かだ。万が一ということもある。誰が見ているとも限らない。
「まあいいだろう、邪術師。お前の言う通り、その場所にて勝負を・・・いや」
そう、これは勝負ではない。
「貴様の処刑を行うことにする」
ーー
「ふう・・・」
チーム《ラピュタ》の面々と離れて、自分が指定した場所へと急ぐ黒羽。既に村から出ており、周囲に人もいないので、もうフードは被っていない。ウェーブのきつい黒髪が、浮遊大陸の強い風に靡く。まるで、髪の毛が蛇のようにうねっていた。
やはり、相手は自分を倒すことにしか興味がないらしい。東方人というのは、頭が固いという噂を聞いたことがあるが・・・彼女とやり取りしていると、満更でたらめでもないと思えた。
「まあ、こちらもおとなしくやられるつもりはありませんけどね」
黒羽は、目的の場所へと急ぐ間、さりげなく黒い羽根を周囲にまき散らしていた。いざという時のための保険だ。彼女にとって、自身の魔力の分け御霊ともいうべきこの黒い羽根たちは、最後の命綱となる。
「さて・・・どちらが見の程知らずなのか、ここではっきりとさせましょうか」
そう言う黒羽の目は怪しく輝いている。その表情は、まさしく獲物を目の前にした肉食獣の如くー。残酷な笑みは、その美しい容貌と相まって見るものの背筋を凍り付かせるような凄惨さがあった。
彼女が処刑人だと言い張るのなら、私は狩人ですー。
久しぶりの獲物を前に胸を躍らせながら、黒羽は目的の場所を目指して疾走したー。
黒い羽根を通じて、再び頭の中に邪術師の少女の声が響き渡る。アサギにとって、不快極まりない連絡手段ではあったが、これしか相手と連絡し合う手段がないのであれば甘んじて受けるしかない。
「さっさと来い!邪術師よ」
アサギは、叫びながら自身の武器の状態を確認した。
アサギの武器は、東方の者らしく太刀だ。彼女の飛空鎧紫の牙と同じデザインで、これまで幾人もの邪術師をその錆にしてきた。
「・・・場所ですが」
邪術師が、少し間を開けてから戦う場所について意見を求めてきた。
「村から離れる必要があります。ちょうど、この村の西側に丘がありますので、そちらでどうでしょうか?そこならどれだけ派手にやり合おうと、村にまで被害が及ぶこともないでしょう」
邪術師の言う場所なら、確かに村まで影響が出ることも無いだろう。尤も・・・、
「そんなに激しい戦いになるとも思えぬがな、邪術師・・・私が本気を出せば、貴様の首などすぐに地面に落ちることになるはずだ」
実際、アサギにはその自信があった。今までに何人もの邪術師を屠ってきたという自負と経験がある。少なくとも、この黒い羽根から発せられる魔力の波動をたどってみても、そこまで苦戦するほどの相手だとも思えなかった。人知れず戦いが始まり、そして人知れず終わることだろう。
・・・一瞬で。
邪術師からの提案をせせら笑うアサギだったが、ただ、やはり村からは離れた方がいいのは確かだ。万が一ということもある。誰が見ているとも限らない。
「まあいいだろう、邪術師。お前の言う通り、その場所にて勝負を・・・いや」
そう、これは勝負ではない。
「貴様の処刑を行うことにする」
ーー
「ふう・・・」
チーム《ラピュタ》の面々と離れて、自分が指定した場所へと急ぐ黒羽。既に村から出ており、周囲に人もいないので、もうフードは被っていない。ウェーブのきつい黒髪が、浮遊大陸の強い風に靡く。まるで、髪の毛が蛇のようにうねっていた。
やはり、相手は自分を倒すことにしか興味がないらしい。東方人というのは、頭が固いという噂を聞いたことがあるが・・・彼女とやり取りしていると、満更でたらめでもないと思えた。
「まあ、こちらもおとなしくやられるつもりはありませんけどね」
黒羽は、目的の場所へと急ぐ間、さりげなく黒い羽根を周囲にまき散らしていた。いざという時のための保険だ。彼女にとって、自身の魔力の分け御霊ともいうべきこの黒い羽根たちは、最後の命綱となる。
「さて・・・どちらが見の程知らずなのか、ここではっきりとさせましょうか」
そう言う黒羽の目は怪しく輝いている。その表情は、まさしく獲物を目の前にした肉食獣の如くー。残酷な笑みは、その美しい容貌と相まって見るものの背筋を凍り付かせるような凄惨さがあった。
彼女が処刑人だと言い張るのなら、私は狩人ですー。
久しぶりの獲物を前に胸を躍らせながら、黒羽は目的の場所を目指して疾走したー。
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