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モリガン一人旅(第15話)

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「これは・・・どちらとも生きておるようじゃが、もはや戦えるような状態ではないようじゃのう・・・」

 使い魔からの立体映像は、しばらくの間土埃ばかり映していたが、ようやくそれが晴れて視界が露になった。

 その状況を言えば、彼女たち2人が戦っていた丘の上に巨大なクレーターができており、二人は満身創痍の状態で見つめ合っていたーそれぞれ笑みを浮かべて。

 そんな彼女たちに、呆れ顔のモリガン。まったく、よくやるのう、と独り言ちてから、二人の様子を使い魔に詳しく確認させる。

「ほぼ互角ゆえに、ほとんど相殺されたとはいえ、完全にではないからのう・・・あの威力から考えて、双方それなりにダメージを受けたようじゃな」

 これでは、戦いは継続できないだろう・・・と思ったその時。

「む?空のチームの連中か・・・」

 邪術師の少女の仲間たちが、彼女を背後に守るかのように、一方で東方の女剣士がいつ斬りかかってきてもいいように取り囲んだ。

「・・・どうやら、これでお開きのようじゃな・・・まあ、それなりに楽しめたし、残りは使い魔に録画でもさせてあとで見るかのう」

 まあ、会話の内容は大体推測できる。今、無理をしてみる必要もないだろう。

「ただ見ているだけなのに、意外と疲れるもんじゃのう・・・少し眠るとするかのう」

 モリガンの日常生活は、もともと不規則なことこの上ない。最近では夜型生活になりつつあり、それゆえに鏡香から何度も注意される始末である。

「・・・目的の浮遊大陸まで、およそ1時間半か・・・仮眠するにはちょうどよかろう」

 そう言うと、モリガンは何もない場所に右手を伸ばす。すると、モリガンの右手の周辺の空間が、まるで飴細工でもいじるかのように歪んで見えるようになった。そこに、モリガンは右手をおもむろに突っ込んだ。

「・・・眠るには、これが一番じゃて」

 空間収納魔法ーミケさんの召喚魔法と似たようなもので、別空間に収納した自身のアイテムを取り出すことができるのだ。

 モリガンは、そこからアイマスクを取り出し、かけた。

「ふぅ~、しばしの間、休憩じゃな」

 そう言うと、モリガンは浮遊大陸に着くまでの間、眠りに就いたー。
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