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モリガン一人旅(第19話)
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「おお、どうやら見つけたようじゃな」
モリガンの使い魔が、桐ケ谷楓のアトリエがある森付近に不時着していた飛空鎧らしき物の姿を捉えた。
「なるほど・・・ここに墜ちておったのか・・・って!」
不時着場所が、もろに楓の住んでいる森付近だということに気が付き、今度は慌てふためくモリガンだった。
「い、いかん、いかんぞ!!あの紫の機体のやつは、あやつをまだ狙っておるはずじゃ!こんなところを襲われたらひとたまりもない!!」
そればかりではない。この場所は、明らかに楓の家付近となる。何らかの形で巻き込まれる危険性もあるだろう。
「これは・・・まずいのう。楓に先に知らせておいた方がいいかもしれん・・・少し急ぐとするかのう」
モリガンは、楓の生体端末に直接メールを送ることにした。今日楓の家に行くことはあらかじめ伝えてはいるが、その他に緊急の用事ができたということも付け加えておく。
「万が一に備えて、いつでも避難できるようにしておいた方がいいじゃろうな・・・」
あの東方の女剣士が無茶なことをしでかすとは思えないが、しかし万が一ということもある。念のため、先に楓に事情を伝えておいて、いつでも退避できるようにしておくことにした。
「これでよし・・・あとは・・・む?」
使い魔からの立体映像を再び注視する。飛空鎧の傍に、誰かがいた。白いワンピース姿の少女だった。多少癖のある髪が、天空世界の強い風に靡いている。遠目に見ていても、なかなか美しい娘だった。
「この辺りの住人か・・・?しかし、この辺りにはせいぜい楓しか住んでおらんはずじゃが」
あとは、彼女の執事である魔法フクロウのホルルくらいしか住人はいない・・・と、そこでふと、思い出したことがある。
「そう言えば、楓の家に週一くらいで通っている女子がいるとか聞いたことがあるな・・・もしかすると、こやつがそうなのか」
当然のことながら、彼女はまだ、紫の機体のことは知らない。紫の機体の方も、周辺を探りながら飛行しているので、一直線にここに向かってくるというわけではないだろうが、全体的には段々こちら側に近づきつつあるのは否定しようがない。
見つかると、かなり面倒なことになるはずだ。あの東方の女剣士も、さすがに無関係の人間にまで手を出すことは無いとは思うが、しかしさすがに不時着した飛空鎧の周りをうろついている者を看過はしないだろう。いろいろと事情を探ろうとするかもしれない。
「まずいのう・・・あやつが楓の知り合いなら、なおのことあそこから逃がさんと・・・む?」
飛空鎧のハッチが開き、中から搭乗者が外に倒れこんできた。見た目は、まだ少年ーとはいっても、モリガンよりは明らかに年上で、大体15~16歳くらいかと思われた。
「あの機体の乗組員か・・・」
少女が、気体の傍らに倒れている少年に気が付いたようだ。彼の顔を心配そうにのぞき込んでいる。そしてー。
「おお」
どうやら、この少女は簡単な治癒術が使えるらしい。それで、飛空鎧の乗り手を治療していたのだったー。
モリガンの使い魔が、桐ケ谷楓のアトリエがある森付近に不時着していた飛空鎧らしき物の姿を捉えた。
「なるほど・・・ここに墜ちておったのか・・・って!」
不時着場所が、もろに楓の住んでいる森付近だということに気が付き、今度は慌てふためくモリガンだった。
「い、いかん、いかんぞ!!あの紫の機体のやつは、あやつをまだ狙っておるはずじゃ!こんなところを襲われたらひとたまりもない!!」
そればかりではない。この場所は、明らかに楓の家付近となる。何らかの形で巻き込まれる危険性もあるだろう。
「これは・・・まずいのう。楓に先に知らせておいた方がいいかもしれん・・・少し急ぐとするかのう」
モリガンは、楓の生体端末に直接メールを送ることにした。今日楓の家に行くことはあらかじめ伝えてはいるが、その他に緊急の用事ができたということも付け加えておく。
「万が一に備えて、いつでも避難できるようにしておいた方がいいじゃろうな・・・」
あの東方の女剣士が無茶なことをしでかすとは思えないが、しかし万が一ということもある。念のため、先に楓に事情を伝えておいて、いつでも退避できるようにしておくことにした。
「これでよし・・・あとは・・・む?」
使い魔からの立体映像を再び注視する。飛空鎧の傍に、誰かがいた。白いワンピース姿の少女だった。多少癖のある髪が、天空世界の強い風に靡いている。遠目に見ていても、なかなか美しい娘だった。
「この辺りの住人か・・・?しかし、この辺りにはせいぜい楓しか住んでおらんはずじゃが」
あとは、彼女の執事である魔法フクロウのホルルくらいしか住人はいない・・・と、そこでふと、思い出したことがある。
「そう言えば、楓の家に週一くらいで通っている女子がいるとか聞いたことがあるな・・・もしかすると、こやつがそうなのか」
当然のことながら、彼女はまだ、紫の機体のことは知らない。紫の機体の方も、周辺を探りながら飛行しているので、一直線にここに向かってくるというわけではないだろうが、全体的には段々こちら側に近づきつつあるのは否定しようがない。
見つかると、かなり面倒なことになるはずだ。あの東方の女剣士も、さすがに無関係の人間にまで手を出すことは無いとは思うが、しかしさすがに不時着した飛空鎧の周りをうろついている者を看過はしないだろう。いろいろと事情を探ろうとするかもしれない。
「まずいのう・・・あやつが楓の知り合いなら、なおのことあそこから逃がさんと・・・む?」
飛空鎧のハッチが開き、中から搭乗者が外に倒れこんできた。見た目は、まだ少年ーとはいっても、モリガンよりは明らかに年上で、大体15~16歳くらいかと思われた。
「あの機体の乗組員か・・・」
少女が、気体の傍らに倒れている少年に気が付いたようだ。彼の顔を心配そうにのぞき込んでいる。そしてー。
「おお」
どうやら、この少女は簡単な治癒術が使えるらしい。それで、飛空鎧の乗り手を治療していたのだったー。
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