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モリガン一人旅(第21話)
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紫の機体が少し方向を変えたことで、ある程度は時間的余裕が出てきた。もう少し、二人の様子を見守ってみてもいいだろう。
「ほほう、この乗り手は蒼き風の一員じゃったか」
その場に胡坐をかき、使い魔から送られてくる立体映像を通して、飛空鎧の乗り手の少年と白いワンピース姿の少女の様子を窺うモリガンー。
蒼き風のことは、昔聞いたことがある。先ほど、邪術師がいた空のチームとは別に、この付近の空域で活動しているチームの名前だった。男所帯らしく、ゆえにチームの構成員たちは女に飢えているーなどという、本当かどうか(まあ、本当である可能性は極めて高いが)怪しいうわさがある連中でもある。一方で、男色好きな女子の皆さんにとっては、これまた別な意味でネタにされがちなチームでもあった。
「確か・・・前文明時代でその手のことを「薔薇」とかいうんじゃったかかのう・・・あとは、「腐」とか・・・なぜ「薔薇」とか「腐」なのか、わしにはよくわからんのじゃが」
同性愛というものを理解できないモリガンにとって、なぜそれが一部の女子たちで話題になるのか、さっぱり理解できなかったりする。
モリガンは知らないが、もう一方の空のチームである《ラピュタ》には、「薔薇」ではないが、約2名ほど「百合」の対象者がいたりする・・・まあ、今の彼女が知る必要もないことではあるのだが。
白いワンピースの少女が、心配そうに飛空鎧のパイロットの顔を覗き込んでいる。それに対して、彼の方はどぎまぎしながら応じているようだ。この光景だけを見ていると、どうやら、蒼き風の連中が女子にあまり抵抗がないという話は、本当のことらしく思えた。
「まあ、生活圏はほとんど空の上で、滅多に街に降りることもない連中らしいからのう・・・女子に抵抗がないのは当たり前か・・・」
狼狽え続ける少年の姿に、いささか半眼状態になりながら、二人のやり取りを見守るモリガン。話の主導権は、どうやら白いワンピースの少女の方が握っているように見えた。
「この様子じゃと、この二人の方は何の心配もなさそうじゃが・・・問題はあの東方の娘の方か」
今は進路を変えているとはいえ、いずれこの場所にも訪れる可能性がある。そうなれば、ただでさえ図体のでかい飛空鎧はすぐに見つかってしまうだろう。
「まあ、こやつらもこの飛空鎧をこのままにしておくとも思えぬが、しかしこの半壊状態の機体では、飛ぶのは無理じゃろうし、まあどこかで修繕する必要はありそうじゃな」
ふと、自身が乗ってきた飛空船のある街を思い出した・・・が。
「あそこまで運ぶとなると、さすがに距離が離れすぎておるな・・・おそらく、この娘の住んでいる町が近くにあるじゃろうから、そこまで牽引することになりそうじゃの」
一応、楓にももう少し詳しい内容を知らせておくか。
モリガンは、自身の生体端末で楓に追加のメールを送ることにしたー。
「ほほう、この乗り手は蒼き風の一員じゃったか」
その場に胡坐をかき、使い魔から送られてくる立体映像を通して、飛空鎧の乗り手の少年と白いワンピース姿の少女の様子を窺うモリガンー。
蒼き風のことは、昔聞いたことがある。先ほど、邪術師がいた空のチームとは別に、この付近の空域で活動しているチームの名前だった。男所帯らしく、ゆえにチームの構成員たちは女に飢えているーなどという、本当かどうか(まあ、本当である可能性は極めて高いが)怪しいうわさがある連中でもある。一方で、男色好きな女子の皆さんにとっては、これまた別な意味でネタにされがちなチームでもあった。
「確か・・・前文明時代でその手のことを「薔薇」とかいうんじゃったかかのう・・・あとは、「腐」とか・・・なぜ「薔薇」とか「腐」なのか、わしにはよくわからんのじゃが」
同性愛というものを理解できないモリガンにとって、なぜそれが一部の女子たちで話題になるのか、さっぱり理解できなかったりする。
モリガンは知らないが、もう一方の空のチームである《ラピュタ》には、「薔薇」ではないが、約2名ほど「百合」の対象者がいたりする・・・まあ、今の彼女が知る必要もないことではあるのだが。
白いワンピースの少女が、心配そうに飛空鎧のパイロットの顔を覗き込んでいる。それに対して、彼の方はどぎまぎしながら応じているようだ。この光景だけを見ていると、どうやら、蒼き風の連中が女子にあまり抵抗がないという話は、本当のことらしく思えた。
「まあ、生活圏はほとんど空の上で、滅多に街に降りることもない連中らしいからのう・・・女子に抵抗がないのは当たり前か・・・」
狼狽え続ける少年の姿に、いささか半眼状態になりながら、二人のやり取りを見守るモリガン。話の主導権は、どうやら白いワンピースの少女の方が握っているように見えた。
「この様子じゃと、この二人の方は何の心配もなさそうじゃが・・・問題はあの東方の娘の方か」
今は進路を変えているとはいえ、いずれこの場所にも訪れる可能性がある。そうなれば、ただでさえ図体のでかい飛空鎧はすぐに見つかってしまうだろう。
「まあ、こやつらもこの飛空鎧をこのままにしておくとも思えぬが、しかしこの半壊状態の機体では、飛ぶのは無理じゃろうし、まあどこかで修繕する必要はありそうじゃな」
ふと、自身が乗ってきた飛空船のある街を思い出した・・・が。
「あそこまで運ぶとなると、さすがに距離が離れすぎておるな・・・おそらく、この娘の住んでいる町が近くにあるじゃろうから、そこまで牽引することになりそうじゃの」
一応、楓にももう少し詳しい内容を知らせておくか。
モリガンは、自身の生体端末で楓に追加のメールを送ることにしたー。
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