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ミケとポン太(第8話)

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「次に、タコ部屋行きだが・・・」

「おうよ」

 ・・・「タコ部屋」という言葉に、敏感に反応するミケさん。ガクブル状態で、さらには全身冷や汗まみれとなっているー。

「・・・この際だから、ぜひともタコ部屋に入れてやってくれ」

「ニャニャニャ!?」

 ・・・あまりにもあっさりと、ミケさんのタコ部屋送りを承諾ーというか、むしろ晶の方から願い出るような形になった。

「あ、晶ニョ裏切りもニョォォォォ!!」

 ミケさんの悲鳴が部屋中に木霊する。いや、部屋どころか、この日向荘の至る所にまで、その悲鳴は及んだ。

「何だ、あんちゃん・・・ずいぶんと物分かりがいいじゃねえか」

 ポン太が、さっそく自分の取り巻き連中に命じて、ミケさんを包囲させた。

「これで、あとはカネを完済するまで労働だな」

 ポン太が満足そうにミケさんをガシっとつかまえる。ミケさんは当然もがくが、他の動物たちも包囲に加わっているので、当然ながら逃げる術などなかった。

「こいつの場合、少しでも働かせて、自分で金を稼ぐことの大切さをわからせた方がいいだろう」

 そんなミケさんを、腕組みをしながら見下ろす晶。

「なにせ、この日向荘に来てからというもの、こいつが仕事らしいことをしたことはたったの一度もないからな」

 晶の言葉に、ミケさんも思い当たる節があるのか、ぐうの音も出ないといった様子で押し黙った。

「働かざる者食うべからずの精神を、その短足でどれだけ踏み躙ってきたことか!!」

 ミケさんの頭をガシっと鷲掴みにし、顔をドアップの状態で近づけながら、晶はすごんだ。

 ・・・当然、ミケさんからは何の返答もなかった。

「というわけで、お前さん、少しは働くことの大切さを学習するため、ぜひともタコ部屋に行ってこい」

 ガーン、という擬音語が聞こえてきそうなポーズのまま、固まるミケさん。

 そして、そんなミケさんや晶、ポン太たちの様子を、なんとも言えない表情で見守り続ける他の3人。

「ははは、物分かりのいいあんちゃんがいてくれて助かったぜ・・・おい、二度とこいつに逃げられねえように、きちんと拘束しておけ」

「わかりやした、親分」

「ウガアァァ!!」

 ポン太の取り巻き連中が、慌ただしく動き始める。これからミケさんは、借金完済のため、タコ部屋にて労働に勤しむ毎日になりそうだ・・・もっとも、ミケさんは蟲なので、いくら酷使されても多分過労死することはないだろうが・・・。

「うーん、なんだか猫さん、ちょっぴり可哀そうね・・・」

 そんな彼らの様子を見守っていた杏里が零した。

「ミケさんがいなくなるのは嫌だなぁ、私」
 
 それに早苗も同調する。なんだかんだ言っても、ミケさんはチームの一員なのである。やはり、このままミケさんとおさらばするのは、早苗としても避けたいところなのだろう。

 すると、その時ー。

「ちょっと待て、お前ら」

 突然、晶がポン太達を制したー。

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