Vicky!

大秦頼太

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第十八場

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●第十八場● ハンクシュタイン邸 昼
   落ち着かない様子のテルマ。その脇に召使AとB。

テルマ  準備はいい?
召使AB はい、奥様。

   袖からマーゴの声。

マーゴ  家庭教師なんかいらない! ママなんて嫌いよ!
テルマ  マーゴ! もう、仕方が無い子。あなた、マーゴットをここに連れて来て頂戴。
    嫌だと言って駄々をこねてたら引きずってでも連れておいで。
召使B  はい、奥様。


   キンコーンとお高めのドアベルが鳴る。

テルマ  来られたわ。ご案内して。
召使A  はい、奥様。

   召使A、家庭教師を迎えに行く。召使Aだけがやって来る。

召使A  奥様、家庭教師の先生がお見えになりました。

   召使AとBが去る。教師が召使Aに連れられてつかつかと歩いてくる。

教師   こんにちは。ハンクシュタインさん。

   マーゴが召使Bに引きずられるようにやって来る。

マーゴ  家庭教師なんかいらない! ママなんて大嫌いよ!

   マーゴは顔を背けて誰も見ようともしない。逃げ出そうとするが召使Bにつかまれ
   て動けない。

テルマ  すみません。祖父のところに預けているうちに随分と礼儀を忘れてしまいまし
    て。本当に田舎は困りますわ。
教師   いいのですよ。そういうことも教えていくのが私達の仕事ですから。この度、
    奥様の要求に合う教師がやっとご用意することが出来ましたの。
テルマ  まぁ、本当に。
教師   若いけれどとても優秀な方ですよ。お入りなさい。

   きちんとした身なりのビッキーがやって来る。
   ※出来たら髪型と衣装を変えて欲しい。出来たらでいいです。

ビッキー こんにちは。ハンクシュタインさん。
テルマ  あら、本当にお若い。
ビッキー いえいえ、私、これでも樹齢500年は超えてますのよ。オホホ。
テルマ  は?
ビッキー パリで流行の冗談ですの。それで私の生徒はこちらのお嬢様?
テルマ  はい。マーゴットです。

   ビッキー、マーゴの前に立つ。

ビッキー はじめましてかしら、マーゴ。家庭教師のビクトリアよ。よろしくね。

   マーゴ、驚いて家庭教師を見る。

マーゴ  ビクトリア? ビッキー? ビッキー!

   マーゴ、ビッキーに飛びつく。テルマは驚き召使たちと顔を見合わせる。
   幕が下りる。
                                     終わり

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