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第三場
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●第三場
森の中にある山小屋。
大きいが、ゴミが散乱していてとても人が住んでいるような状態ではない。
真ん中に大きなテーブルがあるが、汚れた食器や骨などが、放置されている。
どかどかと小屋の中に入ってくる7人の大人。姫は袋の中に入っている。
F で、この後のことなんだが、
B まずは晩飯を食べないとね。
A その辺のものを拾って食ってろ。
F じゃあ、まずはこのお譲ちゃんの身元を調べようじゃないか。
G そうだね。
袋から姫を出す。
姫 くさいくさいくさいくさい! こんなところにいたら死んじゃうわ!
C うるさいな。ちょっと黙らせろ。
D お前が黙らせろ。
E お前が黙らせろ。
F お前が黙らせろ。
G お前が黙らせろ。
A お前が黙らせろ。
B お前が黙らせろ。
C 何で戻ってくるんだよ! 俺はいやだよ!
A 俺もいやだ。
D 俺もいやだ。
F 俺もいやだ。
E 俺もいやだ。
B 僕もいやだ。
G 俺もいやだ。
A 言い出した奴が、責任を持て。
C お譲ちゃん、我慢しな。
姫 くさーい。(ぶんむくれ)
D それで、おうちはどこだい?
姫 こんなくさいところじゃ、会話はしないわ。
A あのなぁ。
C よし、窓を開けろ。
E お前が開けろ。
B 今忙しいから無理だよ。
F 窓くらい自分で開けろ。
D 窓くらい開けてやれよ。
姫 私が開けようか?。
A お前は動くな。
C、自分で窓を開けに行く。
C これで大分ましになっただろ?
姫 ほんの少しね。
E よし。で、お前は金持ちなのか?
姫 お金持ちよ。普段なら、あんたたちみたいな貧乏人とは口も聞かないけど、今日は
仕方がないわ。特別にお話してあげる。
A 激しく腹立たしいな。親の顔が見てみたいもんだ。
D こんな憎まれ口叩くから、捨てられたんじゃないのか?
姫 うるさい!(Dのすねを蹴り上げる)
D ぎゃ!(うずくまる)
B ねー、何もないよ。
D このちび!
姫 私に何かあったら、あんたたちには金貨一枚も手に出来ないんだからね!
A そんなこと言って、たいした家の子じゃなかったら、どうなるか分かってるんだろ
うな? スープにして食っちまうぞ。
B 人間は食べたくないなぁ。
姫 あなたたちこそ、私の身分を知って、怖気づくんじゃないわよ?
F もったいぶってないで、さっさとどこの家の子か言えよ。
E お城の子とか言い出したりしてな。
姫 そうよ。少し離れてるけどお城が私の家よ。
D 馬鹿言うなよ。
F そんなわけあるかい。
A 嘘をつくならもっとまともな嘘をつけ。
姫 嘘じゃないわ。
B 嘘じゃないよ。
他6 え?
B だってあんな美味しいもの食べたことないもん。
E なんだよぉ。
D お前は黙ってろ。
A 証明するものは?
姫 ないわ。
F じゃあダメだな。縛っておけ。
D、姫を縛り上げる。
姫 ひどいわ! こんなの虐待よ! 児童相談所に訴えてやる!
D 地蔵双眼鏡ってなに?
F 知るか! 地蔵を見る双眼鏡だろ。
C 大人を騙すんじゃない。
姫 お前! 解きなさい!
G 嘘をついちゃいけないよ。
A うるさいから猿轡もしとけ。
C、姫の口に猿轡をする。
A で、これからのことだが…。
E どうする?
B どうする?
F どうしよう?
B ご飯にしよう。
C どうするかなぁ。
A よし、(CとFに)お前とお前、俺と一緒に来い。
E どうするの?
B また狩りにいくの?
A ちょっと町まで行って来る。
C なるほど。
B 買い物だね。
F そんな金ないよ。何か売るの?
A お城のお姫様が本当に行方不明なら、町はきっと大騒ぎだ。俺たちはそれを調べに
行くんだよ。
B いいなぁ。
E 俺も町に行ってみたいなぁ。
A 他の連中は、そいつを見張ってろ。
C 逃がすんじゃねえぞ。
A、C、F外に出て行く。
D なぁ。
E ん?
D (Bを指差して)あいつとは一緒にされたくないんだが、流石に今日食うものが無
いのもいやだよな。
E そうだね。
G 何か取りに行く?
B なになに?
D 晩飯のことだよ。
B 何食べるの?
E お前は無しだよ。さっきなんか食ったろ。
B えー。ずるくない?
G なんか取りに行くの?
D (Eの肩を叩く)こいつと俺でなんか取ってくるから、お前たち二人は、こいつを
見張ってろ。
B 僕も行きたい。
D あのなぁ、お前が来たら、
E 取ったそばから食べるからダメだろ。
B そんなことしないよ。
D 信用できない。ここにいろ。
G じゃあ、俺たちでアレの相手をするの?
D 晩飯無しはいやだろ? 見張ってたらなんかやるからよ。
B うん。
E じゃあ、頑張れ。
G わかった。
DとE、外に出て行く。
B どうしよう。
G どうしよう。
姫、暴れる。
B 暴れてるね。
G 暴れてるね。
姫、急におとなしくなる。
B 静かになった。
G 疲れたんだよ。泣いたり怒ったり忙しかったからな。
B そうか、よかった。……でも、死んだりしてないかな?
G え?
B 死んじゃったら、マズイよね。
G 怒られちゃうな。
姫に近づいていくB、G。
B 大丈夫?
姫、ぐったりして答えない。
G これ、まずくないか?
G、猿轡をはずし、姫の頬を軽く叩く。
G 大変だ。どうしよう。
B きつく縛りすぎたんだよ。
G そりゃ大変だ。解こう。
B 解こう。
G うん。
解いた途端に、走り出す姫。
B 生きてた。
G よかった。
B でも、逃げ出されたら困るね。
G 怒られちゃうね。
BG 捕まえよう!
B おとなしくするんだ。
姫 いやよ!
G もう縛らないから。
姫 信用できないわ!
姫を捕まえようとする2人。華麗に逃れる姫に、息も絶え絶えの2人。
姫 じゃあね!
外に出ようとする姫。
G 待て、今から外に出ると大変なことになるぞ!
B 道に迷うと、森の獣の餌になるよ。ここには狼も多いからね。グズリも出るし、あ
ぶないよ。ここにいたほうが安全だよ。
姫 そ、それもそうね。
B 僕らも叱られるし、ここにいてくれよ。
姫 ……じゃあ、お前とお前、今から私の家来になりなさい。
G え。
姫 いやなら出て行くわ。そうよ。道に迷うくらいたいしたことないもの。それでお前
たちは、叱られればいいんだわ。
B どうする?
G 家来はいやだなぁ。
B でも、晩御飯抜きもいやだし。
G とりあえず従っておく?
B そうしようか。
姫 ブツブツ言ってないで、どっちにするの?
B なります。
G なります。
姫 じゃあ、まず名前を教えて。
B 名前?
G 名前って?
姫 お前たち、名前も知らないの?
B まだ食べたことない。
姫 食べ物じゃないわ。お前たちどういう風に呼び合ってるの?
G おい、とか、お前とか。
姫 不便じゃない?
B あんまり考えたことがない。
G だよねぇ。
姫 不便よ。
B どうしてさ?
姫 (Bに)あなただけを呼ぶときにどうしたらいいのよ。
G あー、そういうことか。食いしん坊とかかな。
姫 じゃあ、あなたは?
G 俺? 俺は……、
B お人よし。
G 何だとこの野郎!
姫 ほら! 用事があるたびに喧嘩をしてたら、話が進まないわ。
BG 確かに。
B そうは言ってもねぇ。
G 俺たちこの森に捨てられて、ここで長いこと暮らしてるけど、そんなに不便じゃな
かったもんなぁ。
姫 信じられない。
B じゃあ、お前はなんて言うんだ?
姫 スノウよ。スノウ・ホワイト。
G 相撲? 相撲ファイトかぁ、なんかどこかの国技っぽい名前だな。
B あははは。
姫 スノウ! 雪のことをスノーって言うでしょ!
B ああ、雪のことか。雪はスノウね。
G 雪にしてはずいぶんうるさい雪だな。
B 雪は食べても美味しくないからなぁ。冷たいし。
姫 こら! 家来の癖に主人の悪口を言わないの。
BG はいはい。
姫 んー、でもいざ名前を考えると、びしっとっ来るものがないわね。なんかいいのな
い?
B そんなこと言われてもなぁ
G 何でもいいの?
姫 いいわよ。
B じゃあねぇ。ビーフ、ポーク、ラム、スペアリブ、サーロイン、わとん、ジンギス
カン……。迷う~~。
姫 (Bに)お前はヘンリーね。
B え? なんで?
姫 ぐずぐずしてるからよ。
G あははは。
姫 お前はジョージ。
G ええっ!
姫 あと何人いるんだっけ?
B 5人。
姫 5人か
G みんなにも名前をつけるの?
姫 もちろん。名前がないからあなた達は争ってばかりなのよ。
B なんてつけるの?
姫 一人ずつ見てつけるのは面倒だから、入ってきた順につけるわ。次に入ってきた人
は、そうね……。
G 俺、ジョージか。
姫 決めた。次はスチュワート。その次が、エドガー、次がリチャード、次はハロルド、
最後は、ロバート。
B それが入ってきた順になるの?
姫 そうよ。ヘンリー。
B おお、僕はヘンリー。
G そうさ、ヘンリー。
B ええと、お前は?
G 俺はジョージ。
姫 ヘンリー、ジョージ。二人にお願いがあるの。
G 何でも言ってくれたまえ。
B そうそう。
姫 これから帰ってくる人たちを一人ずつ縛り上げて欲しいの。
B え?
G できるかな?
姫 できるわ。一人じゃ勝てなくても、二人でかかれば簡単でしょ?
B そっか。
G やってみる。
姫 お願いね。
B あ、帰ってきたかも。
姫 ヘンリー、ジョージ。準備して。
Dが入ってくる。
D いやぁ、ちょっと冷えてきたぞ。冬が近いな。
BG おかえりスチュワート!
B、GがDに襲い掛かる。
D 何が!
姫 はい。ロープ!
姫、Gにロープを渡す。あっという間に縛られるD。
姫 さ、次よ。
Eも中に入ってくる。
E 結構釣れるもんだね。
D おい、気をつけろ!
BG おかえりエドガー!
B、GがEに襲い掛かる。
E なになに?
同じように縛られるE。
D 気をつけろって言ったじゃねえか!
E そんなもん俺に言ってるとは思わねえだろうが!
姫 よくやったわ、ヘンリー、ジョージ。
B えへへ。
G それほどでも。
E お前ら、こんなことをしてただで済むと思うなよ。
B ねね、今持って来た魚食べてもいい?
姫 ダメよ。まずは、部屋を片付けなくちゃ。
D あいつらが戻ってきたら、ひどい目にあうぞ!
G どうしよう。
姫 大丈夫よ、ジョージ。
D 何だよジョージって?
B 名前だよ。
E 何だ名前って?
G 俺らはあの子の家来になったのさ。
D 本気でそんなこと言ってるのか?
B うん。家来になったら、美味しいものをたくさん食べさせてくれるんだって!
姫 そうよ。すぐじゃないけど、約束は守るわ。
E そうか。まんまと丸め込まれたってわけか。
D どこの誰かもはっきりしないのに。
姫 さあ、ヘンリーとジョージ、ここを掃除して。
B 掃除?
G どうやって?
姫 え? したことないの?
B うん。
G ないなぁ。
姫 困ったわね。私もいつも見てるだけだったから……。
部屋を見回す姫。
姫 いいわ。今日は特別に私も手伝ってあげる。まずは邪魔なものや汚れたものを
外に出しましょう。
G 邪魔なものや汚れたもの。
BG、DEを見る。
DE なんだよ。
B スチュワートとエドガーも?
姫 二人は中において置いていいわ。外に出したら風邪引いちゃうもの。流石にそれは
可愛そうだわ。
E あ、優しい。
B わかった。
D なぁ、おい。そのスチュワーデスの江戸川ってのは何だ?
G (Dに)お前がスチュワートで、(Eに)お前がエドガー。
E なんで?
D 勝手に決めるなよ。
E 何で俺がエドガーなんだよ。
姫 入ってきた順番よ。
D スチュワートなんて、舌噛みそうだ。
姫 自分の名前なんて自分じゃ呼ばないからいいじゃない。
D ああ、そうか。
姫 で、スチュワートとエドガーに提案があるんだけど?
E 何だよ。
姫 家来になるなら、縄をほどいて自由にして上げるし、晩御飯を食べさせてあげるけ
ど、どうする?
D 断ったら?
姫 名前もご飯も無し。
DとEコソコソ話。
E どうする?
D 外の3人が帰ってくるまでの辛抱だ。こういうときは強い方に付けばいいんだ。
E よし。
D わかった。お前の家来になる。
E 家来になる。
D ところでお前は、名前なんていうんだよ。
G 相撲だってさ。相撲ファイト。
姫 スノウよ! スノウ・ホワイト!
森の中にある山小屋。
大きいが、ゴミが散乱していてとても人が住んでいるような状態ではない。
真ん中に大きなテーブルがあるが、汚れた食器や骨などが、放置されている。
どかどかと小屋の中に入ってくる7人の大人。姫は袋の中に入っている。
F で、この後のことなんだが、
B まずは晩飯を食べないとね。
A その辺のものを拾って食ってろ。
F じゃあ、まずはこのお譲ちゃんの身元を調べようじゃないか。
G そうだね。
袋から姫を出す。
姫 くさいくさいくさいくさい! こんなところにいたら死んじゃうわ!
C うるさいな。ちょっと黙らせろ。
D お前が黙らせろ。
E お前が黙らせろ。
F お前が黙らせろ。
G お前が黙らせろ。
A お前が黙らせろ。
B お前が黙らせろ。
C 何で戻ってくるんだよ! 俺はいやだよ!
A 俺もいやだ。
D 俺もいやだ。
F 俺もいやだ。
E 俺もいやだ。
B 僕もいやだ。
G 俺もいやだ。
A 言い出した奴が、責任を持て。
C お譲ちゃん、我慢しな。
姫 くさーい。(ぶんむくれ)
D それで、おうちはどこだい?
姫 こんなくさいところじゃ、会話はしないわ。
A あのなぁ。
C よし、窓を開けろ。
E お前が開けろ。
B 今忙しいから無理だよ。
F 窓くらい自分で開けろ。
D 窓くらい開けてやれよ。
姫 私が開けようか?。
A お前は動くな。
C、自分で窓を開けに行く。
C これで大分ましになっただろ?
姫 ほんの少しね。
E よし。で、お前は金持ちなのか?
姫 お金持ちよ。普段なら、あんたたちみたいな貧乏人とは口も聞かないけど、今日は
仕方がないわ。特別にお話してあげる。
A 激しく腹立たしいな。親の顔が見てみたいもんだ。
D こんな憎まれ口叩くから、捨てられたんじゃないのか?
姫 うるさい!(Dのすねを蹴り上げる)
D ぎゃ!(うずくまる)
B ねー、何もないよ。
D このちび!
姫 私に何かあったら、あんたたちには金貨一枚も手に出来ないんだからね!
A そんなこと言って、たいした家の子じゃなかったら、どうなるか分かってるんだろ
うな? スープにして食っちまうぞ。
B 人間は食べたくないなぁ。
姫 あなたたちこそ、私の身分を知って、怖気づくんじゃないわよ?
F もったいぶってないで、さっさとどこの家の子か言えよ。
E お城の子とか言い出したりしてな。
姫 そうよ。少し離れてるけどお城が私の家よ。
D 馬鹿言うなよ。
F そんなわけあるかい。
A 嘘をつくならもっとまともな嘘をつけ。
姫 嘘じゃないわ。
B 嘘じゃないよ。
他6 え?
B だってあんな美味しいもの食べたことないもん。
E なんだよぉ。
D お前は黙ってろ。
A 証明するものは?
姫 ないわ。
F じゃあダメだな。縛っておけ。
D、姫を縛り上げる。
姫 ひどいわ! こんなの虐待よ! 児童相談所に訴えてやる!
D 地蔵双眼鏡ってなに?
F 知るか! 地蔵を見る双眼鏡だろ。
C 大人を騙すんじゃない。
姫 お前! 解きなさい!
G 嘘をついちゃいけないよ。
A うるさいから猿轡もしとけ。
C、姫の口に猿轡をする。
A で、これからのことだが…。
E どうする?
B どうする?
F どうしよう?
B ご飯にしよう。
C どうするかなぁ。
A よし、(CとFに)お前とお前、俺と一緒に来い。
E どうするの?
B また狩りにいくの?
A ちょっと町まで行って来る。
C なるほど。
B 買い物だね。
F そんな金ないよ。何か売るの?
A お城のお姫様が本当に行方不明なら、町はきっと大騒ぎだ。俺たちはそれを調べに
行くんだよ。
B いいなぁ。
E 俺も町に行ってみたいなぁ。
A 他の連中は、そいつを見張ってろ。
C 逃がすんじゃねえぞ。
A、C、F外に出て行く。
D なぁ。
E ん?
D (Bを指差して)あいつとは一緒にされたくないんだが、流石に今日食うものが無
いのもいやだよな。
E そうだね。
G 何か取りに行く?
B なになに?
D 晩飯のことだよ。
B 何食べるの?
E お前は無しだよ。さっきなんか食ったろ。
B えー。ずるくない?
G なんか取りに行くの?
D (Eの肩を叩く)こいつと俺でなんか取ってくるから、お前たち二人は、こいつを
見張ってろ。
B 僕も行きたい。
D あのなぁ、お前が来たら、
E 取ったそばから食べるからダメだろ。
B そんなことしないよ。
D 信用できない。ここにいろ。
G じゃあ、俺たちでアレの相手をするの?
D 晩飯無しはいやだろ? 見張ってたらなんかやるからよ。
B うん。
E じゃあ、頑張れ。
G わかった。
DとE、外に出て行く。
B どうしよう。
G どうしよう。
姫、暴れる。
B 暴れてるね。
G 暴れてるね。
姫、急におとなしくなる。
B 静かになった。
G 疲れたんだよ。泣いたり怒ったり忙しかったからな。
B そうか、よかった。……でも、死んだりしてないかな?
G え?
B 死んじゃったら、マズイよね。
G 怒られちゃうな。
姫に近づいていくB、G。
B 大丈夫?
姫、ぐったりして答えない。
G これ、まずくないか?
G、猿轡をはずし、姫の頬を軽く叩く。
G 大変だ。どうしよう。
B きつく縛りすぎたんだよ。
G そりゃ大変だ。解こう。
B 解こう。
G うん。
解いた途端に、走り出す姫。
B 生きてた。
G よかった。
B でも、逃げ出されたら困るね。
G 怒られちゃうね。
BG 捕まえよう!
B おとなしくするんだ。
姫 いやよ!
G もう縛らないから。
姫 信用できないわ!
姫を捕まえようとする2人。華麗に逃れる姫に、息も絶え絶えの2人。
姫 じゃあね!
外に出ようとする姫。
G 待て、今から外に出ると大変なことになるぞ!
B 道に迷うと、森の獣の餌になるよ。ここには狼も多いからね。グズリも出るし、あ
ぶないよ。ここにいたほうが安全だよ。
姫 そ、それもそうね。
B 僕らも叱られるし、ここにいてくれよ。
姫 ……じゃあ、お前とお前、今から私の家来になりなさい。
G え。
姫 いやなら出て行くわ。そうよ。道に迷うくらいたいしたことないもの。それでお前
たちは、叱られればいいんだわ。
B どうする?
G 家来はいやだなぁ。
B でも、晩御飯抜きもいやだし。
G とりあえず従っておく?
B そうしようか。
姫 ブツブツ言ってないで、どっちにするの?
B なります。
G なります。
姫 じゃあ、まず名前を教えて。
B 名前?
G 名前って?
姫 お前たち、名前も知らないの?
B まだ食べたことない。
姫 食べ物じゃないわ。お前たちどういう風に呼び合ってるの?
G おい、とか、お前とか。
姫 不便じゃない?
B あんまり考えたことがない。
G だよねぇ。
姫 不便よ。
B どうしてさ?
姫 (Bに)あなただけを呼ぶときにどうしたらいいのよ。
G あー、そういうことか。食いしん坊とかかな。
姫 じゃあ、あなたは?
G 俺? 俺は……、
B お人よし。
G 何だとこの野郎!
姫 ほら! 用事があるたびに喧嘩をしてたら、話が進まないわ。
BG 確かに。
B そうは言ってもねぇ。
G 俺たちこの森に捨てられて、ここで長いこと暮らしてるけど、そんなに不便じゃな
かったもんなぁ。
姫 信じられない。
B じゃあ、お前はなんて言うんだ?
姫 スノウよ。スノウ・ホワイト。
G 相撲? 相撲ファイトかぁ、なんかどこかの国技っぽい名前だな。
B あははは。
姫 スノウ! 雪のことをスノーって言うでしょ!
B ああ、雪のことか。雪はスノウね。
G 雪にしてはずいぶんうるさい雪だな。
B 雪は食べても美味しくないからなぁ。冷たいし。
姫 こら! 家来の癖に主人の悪口を言わないの。
BG はいはい。
姫 んー、でもいざ名前を考えると、びしっとっ来るものがないわね。なんかいいのな
い?
B そんなこと言われてもなぁ
G 何でもいいの?
姫 いいわよ。
B じゃあねぇ。ビーフ、ポーク、ラム、スペアリブ、サーロイン、わとん、ジンギス
カン……。迷う~~。
姫 (Bに)お前はヘンリーね。
B え? なんで?
姫 ぐずぐずしてるからよ。
G あははは。
姫 お前はジョージ。
G ええっ!
姫 あと何人いるんだっけ?
B 5人。
姫 5人か
G みんなにも名前をつけるの?
姫 もちろん。名前がないからあなた達は争ってばかりなのよ。
B なんてつけるの?
姫 一人ずつ見てつけるのは面倒だから、入ってきた順につけるわ。次に入ってきた人
は、そうね……。
G 俺、ジョージか。
姫 決めた。次はスチュワート。その次が、エドガー、次がリチャード、次はハロルド、
最後は、ロバート。
B それが入ってきた順になるの?
姫 そうよ。ヘンリー。
B おお、僕はヘンリー。
G そうさ、ヘンリー。
B ええと、お前は?
G 俺はジョージ。
姫 ヘンリー、ジョージ。二人にお願いがあるの。
G 何でも言ってくれたまえ。
B そうそう。
姫 これから帰ってくる人たちを一人ずつ縛り上げて欲しいの。
B え?
G できるかな?
姫 できるわ。一人じゃ勝てなくても、二人でかかれば簡単でしょ?
B そっか。
G やってみる。
姫 お願いね。
B あ、帰ってきたかも。
姫 ヘンリー、ジョージ。準備して。
Dが入ってくる。
D いやぁ、ちょっと冷えてきたぞ。冬が近いな。
BG おかえりスチュワート!
B、GがDに襲い掛かる。
D 何が!
姫 はい。ロープ!
姫、Gにロープを渡す。あっという間に縛られるD。
姫 さ、次よ。
Eも中に入ってくる。
E 結構釣れるもんだね。
D おい、気をつけろ!
BG おかえりエドガー!
B、GがEに襲い掛かる。
E なになに?
同じように縛られるE。
D 気をつけろって言ったじゃねえか!
E そんなもん俺に言ってるとは思わねえだろうが!
姫 よくやったわ、ヘンリー、ジョージ。
B えへへ。
G それほどでも。
E お前ら、こんなことをしてただで済むと思うなよ。
B ねね、今持って来た魚食べてもいい?
姫 ダメよ。まずは、部屋を片付けなくちゃ。
D あいつらが戻ってきたら、ひどい目にあうぞ!
G どうしよう。
姫 大丈夫よ、ジョージ。
D 何だよジョージって?
B 名前だよ。
E 何だ名前って?
G 俺らはあの子の家来になったのさ。
D 本気でそんなこと言ってるのか?
B うん。家来になったら、美味しいものをたくさん食べさせてくれるんだって!
姫 そうよ。すぐじゃないけど、約束は守るわ。
E そうか。まんまと丸め込まれたってわけか。
D どこの誰かもはっきりしないのに。
姫 さあ、ヘンリーとジョージ、ここを掃除して。
B 掃除?
G どうやって?
姫 え? したことないの?
B うん。
G ないなぁ。
姫 困ったわね。私もいつも見てるだけだったから……。
部屋を見回す姫。
姫 いいわ。今日は特別に私も手伝ってあげる。まずは邪魔なものや汚れたものを
外に出しましょう。
G 邪魔なものや汚れたもの。
BG、DEを見る。
DE なんだよ。
B スチュワートとエドガーも?
姫 二人は中において置いていいわ。外に出したら風邪引いちゃうもの。流石にそれは
可愛そうだわ。
E あ、優しい。
B わかった。
D なぁ、おい。そのスチュワーデスの江戸川ってのは何だ?
G (Dに)お前がスチュワートで、(Eに)お前がエドガー。
E なんで?
D 勝手に決めるなよ。
E 何で俺がエドガーなんだよ。
姫 入ってきた順番よ。
D スチュワートなんて、舌噛みそうだ。
姫 自分の名前なんて自分じゃ呼ばないからいいじゃない。
D ああ、そうか。
姫 で、スチュワートとエドガーに提案があるんだけど?
E 何だよ。
姫 家来になるなら、縄をほどいて自由にして上げるし、晩御飯を食べさせてあげるけ
ど、どうする?
D 断ったら?
姫 名前もご飯も無し。
DとEコソコソ話。
E どうする?
D 外の3人が帰ってくるまでの辛抱だ。こういうときは強い方に付けばいいんだ。
E よし。
D わかった。お前の家来になる。
E 家来になる。
D ところでお前は、名前なんていうんだよ。
G 相撲だってさ。相撲ファイト。
姫 スノウよ! スノウ・ホワイト!
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そして翌朝、街は初めて気づく。昨夜の歌が、ただの遊びではなかったことに。
まぼろしのミッドナイトスクール
木野もくば
児童書・童話
深夜0時ちょうどに突然あらわれる不思議な学校。そこには、不思議な先生と生徒たちがいました。飼い猫との最後に後悔がある青年……。深い森の中で道に迷う少女……。人間に恋をした水の神さま……。それぞれの道に迷い、そして誰かと誰かの想いがつながったとき、暗闇の空に光る星くずの方から学校のチャイムが鳴り響いてくるのでした。
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