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第十場 最終

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●第十場
   木こりの家。
   大人たちが家の中で怠惰に過ごしている。

A  そろそろ飯か?
B  お腹すいたぁ。
C  まだまだだなぁ。
D  しかし、アレだなぁ。
E  何だよ。
F  アレだよなぁ。
G  アレかぁ。
D  静か過ぎてもさびしいもんだな。
A  バカヤロウ! さびしいなんていうんじゃねぇ!
C  そうだ! 全然さびしくねえぞ!
F  さびしいって言うからさびしいんだ。
E  今度さびしいって行った奴は、飯抜きだ。
B  それはさびしい。
G  あ、言った。
B  えー、今のは無しでしょ?
A  じゃあ、今からな。
C  ちょっと待て、最後に何回か言わせてくれ。
A  いいだろう。俺も言っておこう。さびしいなぁ。
B  さびしいなぁ。
C  さびしいなぁ。
D  さびしいなぁ。
E  さびしいなぁ。
F  さびしいなぁ。
G  さびしいなぁ。
大人 さびしいなぁ。

   姫がやってくる。

姫  何さみしがってるの? 私がいないと本当にダメね!
A  何だ! 何しにきやがった!
B  何か美味しいものを持ってきてくれたの?
C  急に来るな恥ずかしい!
D  おお、お姫様。
E  すっかりお姫様!
F  あんまり変わって見えないけどな!
G  こんなところに一人出来ちゃダメさ。
姫  大丈夫よ。家来と一緒だから。
A  で、なんの用だ?
姫  お隣の国の結婚式に行くのよ。
D  げげ、まさか隣の国のオヤジと結婚するのか?
F  そんなの断固反対だ!
E  そうだそうだ!
姫  いいえ違うのよ。隣の国の王子様が森で出会った女性の方と結婚をするのよ!
大人 そいつはもしかして!
姫  だからみんなで行きましょう! 美味しいものや、好きなものを何でも買ってあげ
  るから。
大人 好きなもの何でも! それはいいや! すぐに用意をするぜ! 急げ急げ!
姫  待って! 馬車に沢山お洋服を積んできたから、みんな好きな服に着替えて頂戴。
A  やれやれ最後まで命令か。
姫  リチャード。あなたは警備隊長よ。
A  はいはい。え?
姫  ヘンリー、あなたはコック長。
B  え? いいの?
姫  しっかりと食べて味を学ぶのよ。
B  はい。
姫  ハロルド、あなたは侍従長よ。女の人を追い掛け回さないように。
C  へいへーい。
姫  スチュワートには美味しいお酒を選んでもらいたいわね。私にはさっぱりだから。
D  はい、喜んで!
姫  エドガーは工房長ね。向こうのファッションを学んで欲しいわ。
E  かしこまりました。
姫  ロバートは馬の世話を手伝ってもらおうかしら。
F  本当に?
姫  ええ。ジョージはヤギの面倒を見られるように勉強をしてもらうわ。
G  犬も欲しいな。
姫  いいわよ。さあ、みんな急いで頂戴! みんな隣の国から戻ったらお城で働いても
  らうわよ!
大人 了解!

   全員一斉に出口に向かって駆けて行く。大人たちの声だけが聞こえてくる。

A  バカヤロウ! それは俺が着るんだ!
B  もっと大きいの無いの?
C  お前は赤でも着ておけ、青は俺んだ。
D  ベルトはしたほうがいいと思うか?
E  そっちよりもこっちのほうが似合わないか?
F  楽しみだなぁ。
G  これは俺んだ!
A  何? ふざけんな! じゃあ、アレで決めるか?
大人 おう!
姫  取った!
大人 え~~~~!

   舞台が徐々に暗くなり閉幕。
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