【完結】となりに引っ越してきた年下イケメンの性癖は、絶対にヒミツです!?

高野百加

文字の大きさ
59 / 97
元カノの襲来

元カノの襲来⑤

しおりを挟む
知世は未央が思ったような反応をしないのでよけいにイラッとしたのだろう。
知世は勝手にヒートアップして、大きな声で言い放った。

「だから何? 私の方が幸せですアピール!? うんざりなのよ! その顔見るだけで!!」

「あなたはいったい、なにがしたいのですか?」

「あんたを困らせるようなことして、ストレス解消してるのよ!! それがわからない!?」

「あんまりいいストレス解消法だとは思いませんけど」

「イラッとするわね、ほんと!!」

これ以上話しても無駄だ。修羅場を続けるのはmuseさんにも悪い。もう帰ろう。

亮介の顔を見る余裕はなかった。早くこの場から去りたい。

「知世さんすみません。急ぐので帰ります」

未央はペコリと頭を下げて、飲み終わったカップを捨てると店を出た。

「待ちなさいよ!」

museを出たところで、知世に後ろから手を引っ張られ、その場にドスンと尻もちをつく。痛い……。さすがに暴力はよくないんでは? そう思ってお尻をさすっていると聞き慣れた、透明できれいな声がした。

「未央! 大丈夫?」

血相をかえて、亮介がお店から出てきた。未央は亮介に抱き起こしてもらって立ち上がる。

「ごめん、亮介。仕事中なのに……」

「いいから。痛いとこない?」

未央がコクリとうなづくのをみてから、亮介は知世に向かって言葉を投げつけた。

「中川、久しぶりだと思ったらなんだよ? 文句あるなら俺に言えよ」

「亮介、こんなちんちくりんと付き合うなんて、あんたも変わったわね」

中川……、坂畑さんの旧姓かな。ちんちくりんでわるかったね! 言われなくても自覚してます!! それより、場外乱闘ですか? そこまでする? 亮介にも迷惑かけてるし、もう最後の一撃だ!! これでもくらえ!!

「結婚生活、うまくいってないんですね。そのストレスを私に向けた。ただそれだけのことでしょう。私はそんなことされても、傷ついたり、泣いたりしません」

「もう!! 私のことなんかほっといて!! 私はかわいそうなんかじゃない!!」

知世は顔を覆って泣き始めた。なんだろう。もしかしたら、とんでもない事情があるのかな。
顔を覆った知世の手には、目の覚めるような真紅のネイルがしてある。よくみるとハゲハゲだ。痩せ細った知世の前腕が、長袖のブラウスからのぞいていた。

その前腕をみて背筋が凍りつく。あざがある。真っ青で、何度も痛めつけられたであろう、あざ。

そういえば、知世はいつも長袖。首や足を隠すような服を着てくる。日焼けを気にしてるのか、おしゃれだと思ってたんだけど……。

未央は思わず知世の手をとって、ブラウスを肘までめくり上げる。

「やめてっ……!!」

知世の止めるのも聞かずにそれを見た。古いアザと新しいアザが無数にある。
これはひどい。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 当たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏  24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 恋愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』 ***** 表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101

会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)

久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。 しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。 「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」 ――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。 なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……? 溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。 王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ! *全28話完結 *辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。 *他誌にも掲載中です。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました

入海月子
恋愛
有本瑞希 仕事に燃える設計士 27歳 × 黒瀬諒 飄々として軽い一級建築士 35歳 女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。 彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。 ある日、同僚のミスが発覚して――。

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

処理中です...