ただ愛が知りたかった

伊織

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2.最初は

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ただ興味があっただけだった。
それまでそういう経験をしたことがなかったから、気になっただけ。それだけだった。

知らない男性との出会いを求めて、いわゆる『出会い系アプリ』を入れたのは。

そういうものは女性から男性と出会うのは簡単らしく、すぐに男性側からのメッセージはたくさん届く。
プロフィールを見て、そのうちの良さそうな人を探して返事をした。


数度繰り返した後、別のメッセージアプリのQRコードを送ると、そっちの方で今度は会う日を決めたのだ。
いつ会える?と。

処女だというと釣られる男も多かった。
案外ちょろいもので、華夜は「こんなものか」と落胆すると同時に今まででは計り知れないほどの高揚感も覚えていたのだ。


会うまではトントン拍子。
知らない人と会うということに、恐怖というものは感じていなかった。

待ち合わせ場所に向かい、車に乗り込み、ドライブと称してラブホまで直行する。男性との会話が途切れることはなかった。元々、人と話をするのは好きなのだ。

着いて、ホテルに足を踏み入れる。はじめての体験だ。それもそのはずで、誕生日をまだ迎えていない華夜は16歳だった。
本来立ち入ることは許されない場所。
バレたらどうしよう、という感情と、
いけないことをしているんだ、という緊張感に胸は高鳴るばかり。

さすがに緊張しながらベッドに腰かけると、男は華夜の頭を引き寄せた。浅いキスをして、驚いた華夜は男の胸を押して離れる。

はじめて、だった。
人と付き合ったことはあるけれど、キスなどしたことがなかったから。

キスもセックスもはじめてなのに、相手は本名も職業も何も知らない初対面の人。


数度キスを繰り返して、ベッドに倒される。
挿入の痛みは一生忘れられないものになるだろうと思うくらいには痛く、でも血が出なかったのは幸いだろうか。


一通り終えると、すぐホテルをあとにした。
時間に終われるように待ち合わせた場所まで送ってもらうと、そのまま別れた。

また会おうね、と交わして、
でもこの先もう一度会うことはなかった。



これが、最初の過ち。
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