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第一節、思ってたのと違う
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静まり返った放課後の教室、いつもならば聞こえるはずもない時計の針の音が、今は鮮明に聞こえる。目の前には俺がひそかに想いをよせていた彼女が立っていた。何故こんなことになったのかというと…
遡ること4ヶ月前
「どこだ」
俺、千堂木榑(せんどうこぐれ)は4月から小学四年生、高学年になると言うことで胸高鳴っている俺は現在、絶賛迷子中です。三日前父親の仕事の関係で引っ越してきたばかりで土地勘をつかめていないとしてもだ……まさか迷ってしたうとは。いや待て落ち着くのだ、こういうときのためのGoogle先生なのだ。俺はすぐさまポケットから携帯を取り出し起動させたが、あいにく俺のケータイの右端にある柱は1本もたっていなかった。
「嘘だろおい…」
携帯を諦めて俺は辺りを見渡してみた。日が落ちて暗くなってきたせいか、辺りにある木ひとつひとつが恐ろしく思える。
「えーと、こうきたからこうなって」
俺は必死にもと来た道を戻ろうと歩いてきた道を記憶の限りたどっていた。
「何してるの」
「!?」
考えながら歩いていると突然後ろから声がした。俺は反射的に振り向き、声の主の方を見た。振り向いた先には俺よりも身長の低い女の子が立っていた。おそらく俺よりも少しばかり歳は下だろう。彼女は、透き通るような肌の色をしており、どこか寂しげな雰囲気を醸し出していた。顔立ちは整っており、なにより目を引くのは腰まで伸びた銀色の髪だ。俺は思わず見とれてしまっていた。
「いや、何してるのよ」
彼女の一言で俺は正気に戻った。
「えっ……あっ、いや、道に迷って」
俺が頭をかきながら言うと彼女は小さく頷いた。
「……ついてきて」
特に会話をすることもなく、彼女の二歩後ろをつけていたら見覚えのある道に出た。
「ここからはわかる?」
「あっ、うんありがとう」
そういうと彼女は立ち去っていった。これから先彼女と会うことはないだろうと思っていたのだが、次の日、新しい学校にいくと、一番後ろの窓側に彼女が座っていた。まさかの同い年だったか。年下と思ったら同い年だったと言う真実に加え、同じクラスだと言うことに初めは困惑したが、この学校に来て約4ヶ月間俺は彼女のこともある程度はわかってきた。彼女はどうやら生まれつき先天性白皮症という病気にかかっているらしい。この先天性白皮症とは、まぁ、簡単に説明すると、生まれつき色素が少ないため、肌や髪の色が白く、日差しなど紫外線に弱い人のことをいうらしい。そのせいもあってか彼女は回りから孤立していた。いや、孤立していたのは病気のせいだけではないだろう。彼女は基本的無表情。絶対と言って良いほど笑わないし 泣かない。休み時間には読書か仮眠。時々同級生の女子からからかわれたりもするが完全無視。この無愛想もあってかクラスメイト全員から嫌われていた。が、俺は彼女と仲良くなりたくて仕方がなかった。そしてあわゆくば彼女と付き合いたかった。無意識に目で追いかけ続けて4ヶ月。声をかける勇気もなく日々を過ごしていた。しかし、今日勇気を出して放課後呼び出すことに成功し、今に至るのだ。
現在
「付き合ってください」
俺は90度頭をさげ、右手を彼女の方につきだした。告白、人生初の告白だ。緊張のせいか、だんだん喉が乾いてきた。心拍数がどんどん上がっていくのが自分でもわかる。どれくらいたっただろう。たとえ頭を下げてからほんの数秒しかたっていなかったとしても俺にはとても長く感じたのだ。教室には時計の針が進む音だけが静かに響いていた。秒針がカチリと音をならすたび、俺の鼓動が着実に速くなっていく。チラッと彼女の顔を見てみる。彼女はわずかに頬を朱に染めていた。彼女の表情は基本的無表情だからその表情を見て俺の鼓動はさらに高鳴っていった。
「ごめんなさい」
……ん?え?…フラレタノ?
…
…
…
いやまってくれ!今の反応は完全にOKの流れだったろ!なにが(かすかに頬を朱に染めていた)だ!
「なっ……なんで」
俺は小刻みに震え、彼女にそう聞いた。彼女は首をかしげて不思議そうに言った。
「何でって、逆になんで?」
俺は硬直した。そんな俺に追い討ちをかけるがごとく
「私なんかのどこがいいの?バカなの?」
「な……え……」
まさか、まさかこの子は無自覚美人なのか
彼女はため息をついた
「罰ゲームとかでしょどうせ、やめなよそうゆの」
そう言い残し彼女は教室を後にした。
………何故だ
「何でこうなったー!!!!!!!」
*****
私は小日向 鈴(こひなた すず)と言います。十一歳です。自慢では無いのですが、私は生まれて一度も泣いたことはないし、笑ったこともありません。いや、私だって面白いと思うし、悲しいとは思いますよ。しかし、そこから笑うと言う行動に移れないんです。いや、そもそも面白いなら笑うのが普通と言う人々に聞きたいんですけど、笑うってなんですか。あんなのただ顔の筋肉が動いてるだけじゃないですか。無表情のせいで親にも嫌われてるし、まぁ、親とかどうでも良いけど……このように、何一つ良いとこのない私は今日告白をされました。
「付き合ってください」
相手はイケメン転校生と騒がれていた千堂木榑君です。面識はないはずなんだけども…
そうです。彼女は興味の無いことは覚えません
……ああ、そうか。これは何かの罰ゲームだ。罰ゲームだったら仕方ないか。千堂くんも本当は嫌なんだろう。
「ごめんなさい」
これで良いでしょう………ん?なんで顔が引きつってるの?ああ、演技か
「なっ…なんで」
どうせ、フラれたら理由とかも聞けとか言われてるんだろうけど、あー面倒くさい
「何でって、逆になんで?…私のどこがいいの?バカなの?」
ここは注意してあげた方がいいのかな?……まぁ、一応言っといた方がいいだろうし
「罰ゲームとかでしょどうせ、やめなよそゆの」
よし、やり遂げた。完璧だったよ。私は内心でガッツポーズをとり、教室をあとにした。
*****
落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け……
「ブツブツブツブツブツブツブツブツブツ」
俺は家に帰り、そっこうリビングのソファーでうずくまっていた。
「あんた何してんの」
俺は声の主である姉、千堂 三咲(せんどう みさき)の方を見た。
「帰って来てからずーーーっと何かブツブツ言ってるけど、何?いじめ?」
姉は昔から俺の事をよくしてくれる良い姉だ、顔立ちも整っており、クラスからの人気も高い。可愛い物、人が大好きで、人目も気にせず抱きつくことはしょっちゅうである。俺はそんな姉に今日の出来事を全部話した。
「あー、えっとね、ドンマイ」
姉はとても優しい笑顔でなぐさめてきたが姉さんや、優しさってのは時に理不尽に人を傷つけるものなんだよ。
「ブツブツブツブツブツブツ」
俺が再び鬱モードに突入すると姉は慌ててフォローしてきた。
「あー、えーとね、ほら!その子は罰ゲームだと思ったんでしょ?だったら明日に、俺は本気なんだ!っていえばいけるんじゃない?ほら!まだ可能性はあるよ!」
なるほど、そうだよな。そうだよ!よく考えたら彼女は勘違いをしてるんだ!それを正せばまだ可能性は!
「ありがとう!姉ちゃん」
俺は立ち上がった。こんなとこで伏せてる場合じゃない!
「いいのよ。で、はじめ?その子って可愛い…」
俺は2階にある自分の部屋へかけていった。
「え?!一!!まだ質問がー!!」
再度言っておこう。一の姉は可愛い物、人(男の娘もOK)が大好物なのだ。
次の日、昼休みにて
「付き合ってください」
小日向は昼休みにはいるとひとけのないところに行き、睡眠をとる。俺は小日向が睡眠場所に向かう前に小日向に話しかけなくてはいけないのだ。よって俺は昼休みに入った瞬間小日向の机の前にいって、頭を下げた。告白を再びすると、彼女は静かに立ち上がり、俺の手を引いた。
「ちょっときて」
まわりがざわつくなか俺は小日向に手を引かれ、俺はひとけのない所につれてこられた。彼女は一呼吸おくと俺の方を見た。
「今度は公開処刑なの?」
どうやらまだ罰ゲームだと勘違いをしているらしい。
「罰ゲームならやめなって言ったよね?」
言わなくちゃ、俺の気持ちをしっかり彼女に伝えるんだ。後悔はしたくない!
「えーとな」
俺は頬をかきながら話を始めた。この期に及んでまだ恥じらいのある自分に腹が立つ。
「なに?」
小日向は首をかしげた。
「……」
小日向の一つ一つの動作に胸が高鳴る。俺は手を握りしめ、覚悟を決めた。
「ばっ、罰ゲームじゃない」
「じゃあ何なの?」
小日向は鈍い。それは昨日のことで痛いほどよくわかった。回りくどい言い方はなしだ、直球にぶつけよう。俺は一度深呼吸をした…
「俺は小日向のことが好き…なんだ!罰ゲームとかじゃなくて、真剣に思ってる!」
えーい、もうなるようになれだ。ここまで来たんだ引くことはできない。全部俺の気持ちを伝えてやる。俺はいきよいで小日向と距離をつめ、手を握った。
「!?」
びっくりし、一歩引き下がる小日向。だが、ここで逃がしたらだめだ。少々恥ずかしいが、俺は恥じらいを捨てさらに距離をつめた。
「小日向の鈍感なとことか、冷たくしてるのに実は少し優しいとことか、普段クールぶってるのに少し天然入ってるとことか全部好きです!時々見せる寂しげな表情とか悩みがあるなら俺がどうにかしてやりたい!どうか、俺と……付き合ってください!!!」
俺は彼女の目を見て言った。
彼女は俺から目線をそらした。
「罰ゲームだからって、こんなところで恥ずかしくないの?」
「罰ゲームじゃない、全部俺の本当の気持ち!ノンフィクション!」
俺がノンフィクションと言った後、沈黙が続いた。良く考えると俺はいったい何を口走ってるんだ鈍感とか天然とかいう必要ないだろ!いや、まぁ、もう手遅れなんだけどもあー、穴があったら入りたい…
「………罰ゲームじゃないの?」
しばし続いた沈黙を破ったのは小日向の方だった。彼女は一度下げた視線を上げて聞いてきた。俺は彼女の目を見て大きく頷いた。
「違う!」
……………………ボッ!!!
俺が違うといった数秒後に小日向の頭から煙が出てきた。
「えっと、あの、その…」
小日向は握っていた手を振りほどき、二歩下がった。顔を見てみると、真っ赤になっていた。
「えーと、小日向さん?」
俺が名前を呼ぶとビクリとした
「え、顔…真っ赤だけど」
俺がそう指摘すると彼女は両手で自分のかおをおさえた。
「えっ!?あっ、みないで!」
「こっ小日向?」
「え!?いや、ごっ、ごごごごごめんなさい!」
小日向は風のごとく去っていった。
………………なんだ今の反応は!!!
もう一度言っておこう。小日向は普段絶対と言って良いほど表情を顔に出さない。出すときもあるがとても分かりにくいのだが……初めて見たなあんな反応。
「あんな反応…反則だろ」
俺はしばらく硬直して動けなかった。
遡ること4ヶ月前
「どこだ」
俺、千堂木榑(せんどうこぐれ)は4月から小学四年生、高学年になると言うことで胸高鳴っている俺は現在、絶賛迷子中です。三日前父親の仕事の関係で引っ越してきたばかりで土地勘をつかめていないとしてもだ……まさか迷ってしたうとは。いや待て落ち着くのだ、こういうときのためのGoogle先生なのだ。俺はすぐさまポケットから携帯を取り出し起動させたが、あいにく俺のケータイの右端にある柱は1本もたっていなかった。
「嘘だろおい…」
携帯を諦めて俺は辺りを見渡してみた。日が落ちて暗くなってきたせいか、辺りにある木ひとつひとつが恐ろしく思える。
「えーと、こうきたからこうなって」
俺は必死にもと来た道を戻ろうと歩いてきた道を記憶の限りたどっていた。
「何してるの」
「!?」
考えながら歩いていると突然後ろから声がした。俺は反射的に振り向き、声の主の方を見た。振り向いた先には俺よりも身長の低い女の子が立っていた。おそらく俺よりも少しばかり歳は下だろう。彼女は、透き通るような肌の色をしており、どこか寂しげな雰囲気を醸し出していた。顔立ちは整っており、なにより目を引くのは腰まで伸びた銀色の髪だ。俺は思わず見とれてしまっていた。
「いや、何してるのよ」
彼女の一言で俺は正気に戻った。
「えっ……あっ、いや、道に迷って」
俺が頭をかきながら言うと彼女は小さく頷いた。
「……ついてきて」
特に会話をすることもなく、彼女の二歩後ろをつけていたら見覚えのある道に出た。
「ここからはわかる?」
「あっ、うんありがとう」
そういうと彼女は立ち去っていった。これから先彼女と会うことはないだろうと思っていたのだが、次の日、新しい学校にいくと、一番後ろの窓側に彼女が座っていた。まさかの同い年だったか。年下と思ったら同い年だったと言う真実に加え、同じクラスだと言うことに初めは困惑したが、この学校に来て約4ヶ月間俺は彼女のこともある程度はわかってきた。彼女はどうやら生まれつき先天性白皮症という病気にかかっているらしい。この先天性白皮症とは、まぁ、簡単に説明すると、生まれつき色素が少ないため、肌や髪の色が白く、日差しなど紫外線に弱い人のことをいうらしい。そのせいもあってか彼女は回りから孤立していた。いや、孤立していたのは病気のせいだけではないだろう。彼女は基本的無表情。絶対と言って良いほど笑わないし 泣かない。休み時間には読書か仮眠。時々同級生の女子からからかわれたりもするが完全無視。この無愛想もあってかクラスメイト全員から嫌われていた。が、俺は彼女と仲良くなりたくて仕方がなかった。そしてあわゆくば彼女と付き合いたかった。無意識に目で追いかけ続けて4ヶ月。声をかける勇気もなく日々を過ごしていた。しかし、今日勇気を出して放課後呼び出すことに成功し、今に至るのだ。
現在
「付き合ってください」
俺は90度頭をさげ、右手を彼女の方につきだした。告白、人生初の告白だ。緊張のせいか、だんだん喉が乾いてきた。心拍数がどんどん上がっていくのが自分でもわかる。どれくらいたっただろう。たとえ頭を下げてからほんの数秒しかたっていなかったとしても俺にはとても長く感じたのだ。教室には時計の針が進む音だけが静かに響いていた。秒針がカチリと音をならすたび、俺の鼓動が着実に速くなっていく。チラッと彼女の顔を見てみる。彼女はわずかに頬を朱に染めていた。彼女の表情は基本的無表情だからその表情を見て俺の鼓動はさらに高鳴っていった。
「ごめんなさい」
……ん?え?…フラレタノ?
…
…
…
いやまってくれ!今の反応は完全にOKの流れだったろ!なにが(かすかに頬を朱に染めていた)だ!
「なっ……なんで」
俺は小刻みに震え、彼女にそう聞いた。彼女は首をかしげて不思議そうに言った。
「何でって、逆になんで?」
俺は硬直した。そんな俺に追い討ちをかけるがごとく
「私なんかのどこがいいの?バカなの?」
「な……え……」
まさか、まさかこの子は無自覚美人なのか
彼女はため息をついた
「罰ゲームとかでしょどうせ、やめなよそうゆの」
そう言い残し彼女は教室を後にした。
………何故だ
「何でこうなったー!!!!!!!」
*****
私は小日向 鈴(こひなた すず)と言います。十一歳です。自慢では無いのですが、私は生まれて一度も泣いたことはないし、笑ったこともありません。いや、私だって面白いと思うし、悲しいとは思いますよ。しかし、そこから笑うと言う行動に移れないんです。いや、そもそも面白いなら笑うのが普通と言う人々に聞きたいんですけど、笑うってなんですか。あんなのただ顔の筋肉が動いてるだけじゃないですか。無表情のせいで親にも嫌われてるし、まぁ、親とかどうでも良いけど……このように、何一つ良いとこのない私は今日告白をされました。
「付き合ってください」
相手はイケメン転校生と騒がれていた千堂木榑君です。面識はないはずなんだけども…
そうです。彼女は興味の無いことは覚えません
……ああ、そうか。これは何かの罰ゲームだ。罰ゲームだったら仕方ないか。千堂くんも本当は嫌なんだろう。
「ごめんなさい」
これで良いでしょう………ん?なんで顔が引きつってるの?ああ、演技か
「なっ…なんで」
どうせ、フラれたら理由とかも聞けとか言われてるんだろうけど、あー面倒くさい
「何でって、逆になんで?…私のどこがいいの?バカなの?」
ここは注意してあげた方がいいのかな?……まぁ、一応言っといた方がいいだろうし
「罰ゲームとかでしょどうせ、やめなよそゆの」
よし、やり遂げた。完璧だったよ。私は内心でガッツポーズをとり、教室をあとにした。
*****
落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け……
「ブツブツブツブツブツブツブツブツブツ」
俺は家に帰り、そっこうリビングのソファーでうずくまっていた。
「あんた何してんの」
俺は声の主である姉、千堂 三咲(せんどう みさき)の方を見た。
「帰って来てからずーーーっと何かブツブツ言ってるけど、何?いじめ?」
姉は昔から俺の事をよくしてくれる良い姉だ、顔立ちも整っており、クラスからの人気も高い。可愛い物、人が大好きで、人目も気にせず抱きつくことはしょっちゅうである。俺はそんな姉に今日の出来事を全部話した。
「あー、えっとね、ドンマイ」
姉はとても優しい笑顔でなぐさめてきたが姉さんや、優しさってのは時に理不尽に人を傷つけるものなんだよ。
「ブツブツブツブツブツブツ」
俺が再び鬱モードに突入すると姉は慌ててフォローしてきた。
「あー、えーとね、ほら!その子は罰ゲームだと思ったんでしょ?だったら明日に、俺は本気なんだ!っていえばいけるんじゃない?ほら!まだ可能性はあるよ!」
なるほど、そうだよな。そうだよ!よく考えたら彼女は勘違いをしてるんだ!それを正せばまだ可能性は!
「ありがとう!姉ちゃん」
俺は立ち上がった。こんなとこで伏せてる場合じゃない!
「いいのよ。で、はじめ?その子って可愛い…」
俺は2階にある自分の部屋へかけていった。
「え?!一!!まだ質問がー!!」
再度言っておこう。一の姉は可愛い物、人(男の娘もOK)が大好物なのだ。
次の日、昼休みにて
「付き合ってください」
小日向は昼休みにはいるとひとけのないところに行き、睡眠をとる。俺は小日向が睡眠場所に向かう前に小日向に話しかけなくてはいけないのだ。よって俺は昼休みに入った瞬間小日向の机の前にいって、頭を下げた。告白を再びすると、彼女は静かに立ち上がり、俺の手を引いた。
「ちょっときて」
まわりがざわつくなか俺は小日向に手を引かれ、俺はひとけのない所につれてこられた。彼女は一呼吸おくと俺の方を見た。
「今度は公開処刑なの?」
どうやらまだ罰ゲームだと勘違いをしているらしい。
「罰ゲームならやめなって言ったよね?」
言わなくちゃ、俺の気持ちをしっかり彼女に伝えるんだ。後悔はしたくない!
「えーとな」
俺は頬をかきながら話を始めた。この期に及んでまだ恥じらいのある自分に腹が立つ。
「なに?」
小日向は首をかしげた。
「……」
小日向の一つ一つの動作に胸が高鳴る。俺は手を握りしめ、覚悟を決めた。
「ばっ、罰ゲームじゃない」
「じゃあ何なの?」
小日向は鈍い。それは昨日のことで痛いほどよくわかった。回りくどい言い方はなしだ、直球にぶつけよう。俺は一度深呼吸をした…
「俺は小日向のことが好き…なんだ!罰ゲームとかじゃなくて、真剣に思ってる!」
えーい、もうなるようになれだ。ここまで来たんだ引くことはできない。全部俺の気持ちを伝えてやる。俺はいきよいで小日向と距離をつめ、手を握った。
「!?」
びっくりし、一歩引き下がる小日向。だが、ここで逃がしたらだめだ。少々恥ずかしいが、俺は恥じらいを捨てさらに距離をつめた。
「小日向の鈍感なとことか、冷たくしてるのに実は少し優しいとことか、普段クールぶってるのに少し天然入ってるとことか全部好きです!時々見せる寂しげな表情とか悩みがあるなら俺がどうにかしてやりたい!どうか、俺と……付き合ってください!!!」
俺は彼女の目を見て言った。
彼女は俺から目線をそらした。
「罰ゲームだからって、こんなところで恥ずかしくないの?」
「罰ゲームじゃない、全部俺の本当の気持ち!ノンフィクション!」
俺がノンフィクションと言った後、沈黙が続いた。良く考えると俺はいったい何を口走ってるんだ鈍感とか天然とかいう必要ないだろ!いや、まぁ、もう手遅れなんだけどもあー、穴があったら入りたい…
「………罰ゲームじゃないの?」
しばし続いた沈黙を破ったのは小日向の方だった。彼女は一度下げた視線を上げて聞いてきた。俺は彼女の目を見て大きく頷いた。
「違う!」
……………………ボッ!!!
俺が違うといった数秒後に小日向の頭から煙が出てきた。
「えっと、あの、その…」
小日向は握っていた手を振りほどき、二歩下がった。顔を見てみると、真っ赤になっていた。
「えーと、小日向さん?」
俺が名前を呼ぶとビクリとした
「え、顔…真っ赤だけど」
俺がそう指摘すると彼女は両手で自分のかおをおさえた。
「えっ!?あっ、みないで!」
「こっ小日向?」
「え!?いや、ごっ、ごごごごごめんなさい!」
小日向は風のごとく去っていった。
………………なんだ今の反応は!!!
もう一度言っておこう。小日向は普段絶対と言って良いほど表情を顔に出さない。出すときもあるがとても分かりにくいのだが……初めて見たなあんな反応。
「あんな反応…反則だろ」
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