執着の従者

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「リリー様がお目覚めになりません！」

リリーの従者カイが叫びながら彼女の寝室から出てきた。
侍女達も彼の前に集まり、彼女の主治医が急いで呼ばれた。

「リリー様の脈が相当弱っております。色々調べたのですが、なぜこの様な事が起こったのか。ハナ様の事故から日に日に悪くなっている印象です。」

そう医師が話すと後から訪れた王と女王そしてジェイコブが見舞いに来た。

「命も危ないのか？」

王が医師にそうたずねると、彼は下を俯きながら

「もう、目を覚ますのは難しいかと思われます。このまま、息を引き取るのも時間の問題と思われます。」

その途端、女王は地面に倒れ泣き崩れた。

「リリー！リリっー！ 私を先において死ぬなんて許しません！」

女王は寝ているリリーを抱きしめると、泣き叫び出した。ジェイコブは女王を支えると部屋に連れ出し彼女の寝室まで運んだ。運ばれながら女王はジェイコブに訊ねた。

「ジェイコブ、お願いを聞いてちょうだい。私のリリーは貴方を心から愛していました。こんな状態のリリーを前に申し訳ないが、婚約は解消しないで欲しいの。私達夫婦は次期王をカリスマ性、頭脳、武力全てにおいて群を抜く貴方と考えています。どうかリリーと結婚して欲しいの」

そう言うと彼女はジェイコブから離れ寝室にある椅子に腰かけた。

「勿論です、女王陛下。私にとってリリー様は全てです。このような状態であろうと、私の心はリリー様のもの。」

そう言うと彼は満面の笑みを女王に向けた。