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今日はとても素敵なお茶会日和だ。空には雲ひとつない。テーブルにはリンのお気に入りの陶器のセットが並んでいた。
彼女は花の模様が描かれたカップを手に取りながら
「思った以上にうまくいったわ。これで私達の恨みは晴れる。」
それを聞いたジェンは紅茶を飲みながら呟いた。
「犯した罪は償うように世の中できているのよ。」
★----------------------------- - - -
『リン、ジェンごめんなさい。急に呼んで。少し相談したい事があるの?』
『何?どうしたの?なんでも言ってよ!』
女は俯きながら、ゆっくりと語り出した。
『実は私、王の子を妊娠したの』
リンとジェンは余りにも驚いて固まってしまった。だが、女は話しを続ける。
『王様に話しをしたら産んでも良いと許可が出たわ。第2夫人として認めてくれるって!』
『本当に!凄いじゃない!私も同じ様に嬉しいわ!』
リンとジェンは一緒になって喜んだ。
『名前はもう決めてるの。お腹の子供は男の子でも女の子でもハナという名前よ。』
~~~~~~~~~~~~~
「懐かしいわね。あの時は自分の事のように喜んだわ。
ひと時の幸せだったわね・・・・。」
リンはそう言うと、手元にあった焼き菓子を握り潰した。
「まさか女王が人を殺すなんて・・・・。」
★----------------------------- - - -
『な、なんで突然死ぬの!おかしいじゃないっ!!』
産まれたばかりのハナを抱きながらリンは泣き叫んだ。
横にいた女王の侍女が赤ちゃんを取り上げると
『この子供は女王陛下の恩赦によってこちらで育てます。貴方達はこの場から出て行きなさい。』
そう言うと、彼女は赤ちゃんを連れて去っていった。
『なぜ?何故なの?昨日まで元気だったじゃない!!私達は彼女の死に目にも会えないの?!』
リンは叫びながら涙を流した。
しかしジェンは冷静に、
『昨日の今日で遺体が埋葬されたなんて余りにも早すぎるわ。何かあるわ!墓を掘り返しましょう。』
使用人を連れて夜遅く墓を掘りおこすと、彼女の遺体と対面した。顔は紫色に変色し、首から身体に向けて放射線状の痣がある。それが星の形をしていた。そして身体には紫の粉が付着している。
『毒殺の症状が身体に出てる。この毒は貴族が自害するときに使う特別なものよ。これを飲むと、カラダに星のような痣ができるの。しかも紫の高貴な色の粉・・・・。この毒を所有できるのは女王しかいないわ。』
紫に着色された毒は、彼女の身体を妖艶な輝きに放っていた。
~~~~~~~~~~~~~~~
「でも今回はジェイコブが本当に活躍してくれたわ。リリーの蛇の噂を流せば、彼女に何かしら攻撃するとは思ったけど、まさか殺してくれるなんて。最高だわ。」
リンはそう言うと微笑んで、スコーンに手を伸ばした。
「大切な人を亡くす苦しみをあの女は味わうがいいわ・・・。ハナの居場所は時が来たらジェイコブに知らせようと思ったけど、まさか自分で見つけるなんてびっくりよ。」
ジェンは興奮したように話しを続ける。
「ブラッドとか言う男が出てきた時はヒヤヒヤしたけど、
ジェイコブなら自分のものにすると思ってたわ。あの女王の顔を見た?自分が殺した女の娘がジェイコブと結婚!しかも彼は次期国王になるのよ。」
リンも食べていたスコーンをこぼしながら、興奮した状態で
「本当だわ!あのブラッドとか言う男は想定外で、ハナが刺されたと聞いた時は正直焦ったわ。だけどジェイコブが思った以上に素晴らしい活躍をしてくれた。」
その時、遠くから誰かが呼ぶ声が聞こえた。
「リン!ジェン!!私を抜きでお茶会なんて酷いじゃない!」
ハナが駆け足で彼女達の所にやってきた。
「仲間外れにするつもりなんてないわ。貴女の愛しのジェイコブ様に悪いと思って誘わなかっただけよ。」
ハナは少し照れたように俯いた。
「色々あったけど今は仲良くやってるようじゃない?自分の事のように嬉しいわ。」
ハナはハニカミながら、
「えぇ、最初は凄く嫌だったけど怪我をした時、本当に私の事を大切にしてくれた。それに今考えるとジェイコブは私の為に、色々犠牲にしてくれてるとわかったわ。」
彼女の話しを聞きながら、リンは優しく微笑えんだ。
「そういえば明日はお母様の命日ね。きっと今日の様に素晴らしい日になるわよ。」
リンはそう言うと、雲ひとつない空を見上げ太陽に目を細めた。
【END】
彼女は花の模様が描かれたカップを手に取りながら
「思った以上にうまくいったわ。これで私達の恨みは晴れる。」
それを聞いたジェンは紅茶を飲みながら呟いた。
「犯した罪は償うように世の中できているのよ。」
★----------------------------- - - -
『リン、ジェンごめんなさい。急に呼んで。少し相談したい事があるの?』
『何?どうしたの?なんでも言ってよ!』
女は俯きながら、ゆっくりと語り出した。
『実は私、王の子を妊娠したの』
リンとジェンは余りにも驚いて固まってしまった。だが、女は話しを続ける。
『王様に話しをしたら産んでも良いと許可が出たわ。第2夫人として認めてくれるって!』
『本当に!凄いじゃない!私も同じ様に嬉しいわ!』
リンとジェンは一緒になって喜んだ。
『名前はもう決めてるの。お腹の子供は男の子でも女の子でもハナという名前よ。』
~~~~~~~~~~~~~
「懐かしいわね。あの時は自分の事のように喜んだわ。
ひと時の幸せだったわね・・・・。」
リンはそう言うと、手元にあった焼き菓子を握り潰した。
「まさか女王が人を殺すなんて・・・・。」
★----------------------------- - - -
『な、なんで突然死ぬの!おかしいじゃないっ!!』
産まれたばかりのハナを抱きながらリンは泣き叫んだ。
横にいた女王の侍女が赤ちゃんを取り上げると
『この子供は女王陛下の恩赦によってこちらで育てます。貴方達はこの場から出て行きなさい。』
そう言うと、彼女は赤ちゃんを連れて去っていった。
『なぜ?何故なの?昨日まで元気だったじゃない!!私達は彼女の死に目にも会えないの?!』
リンは叫びながら涙を流した。
しかしジェンは冷静に、
『昨日の今日で遺体が埋葬されたなんて余りにも早すぎるわ。何かあるわ!墓を掘り返しましょう。』
使用人を連れて夜遅く墓を掘りおこすと、彼女の遺体と対面した。顔は紫色に変色し、首から身体に向けて放射線状の痣がある。それが星の形をしていた。そして身体には紫の粉が付着している。
『毒殺の症状が身体に出てる。この毒は貴族が自害するときに使う特別なものよ。これを飲むと、カラダに星のような痣ができるの。しかも紫の高貴な色の粉・・・・。この毒を所有できるのは女王しかいないわ。』
紫に着色された毒は、彼女の身体を妖艶な輝きに放っていた。
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「でも今回はジェイコブが本当に活躍してくれたわ。リリーの蛇の噂を流せば、彼女に何かしら攻撃するとは思ったけど、まさか殺してくれるなんて。最高だわ。」
リンはそう言うと微笑んで、スコーンに手を伸ばした。
「大切な人を亡くす苦しみをあの女は味わうがいいわ・・・。ハナの居場所は時が来たらジェイコブに知らせようと思ったけど、まさか自分で見つけるなんてびっくりよ。」
ジェンは興奮したように話しを続ける。
「ブラッドとか言う男が出てきた時はヒヤヒヤしたけど、
ジェイコブなら自分のものにすると思ってたわ。あの女王の顔を見た?自分が殺した女の娘がジェイコブと結婚!しかも彼は次期国王になるのよ。」
リンも食べていたスコーンをこぼしながら、興奮した状態で
「本当だわ!あのブラッドとか言う男は想定外で、ハナが刺されたと聞いた時は正直焦ったわ。だけどジェイコブが思った以上に素晴らしい活躍をしてくれた。」
その時、遠くから誰かが呼ぶ声が聞こえた。
「リン!ジェン!!私を抜きでお茶会なんて酷いじゃない!」
ハナが駆け足で彼女達の所にやってきた。
「仲間外れにするつもりなんてないわ。貴女の愛しのジェイコブ様に悪いと思って誘わなかっただけよ。」
ハナは少し照れたように俯いた。
「色々あったけど今は仲良くやってるようじゃない?自分の事のように嬉しいわ。」
ハナはハニカミながら、
「えぇ、最初は凄く嫌だったけど怪我をした時、本当に私の事を大切にしてくれた。それに今考えるとジェイコブは私の為に、色々犠牲にしてくれてるとわかったわ。」
彼女の話しを聞きながら、リンは優しく微笑えんだ。
「そういえば明日はお母様の命日ね。きっと今日の様に素晴らしい日になるわよ。」
リンはそう言うと、雲ひとつない空を見上げ太陽に目を細めた。
【END】
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