こわれてしまいそうな恋心

橘祐介

文字の大きさ
上 下
56 / 169

校庭

しおりを挟む
昼休憩、校庭に飛び出す

 

高校の学生食堂に向かってダッシュ

 

いつものカレーライスと天ぷらうどん

 

行列にならんで、ポケットから小銭を出す

 

食堂から外に出て、青い空の下で

 

友達と一緒に食べる

 

たわいのない日々

 

放課校庭を見ていると

 

僕が好きだったあの人が校門に向けて歩いている

 

後ろ姿を何も言わずに見つめていた

 

10月の風が舞う

 

やさしい日差しに包まれて

 

あの人はやがて見えなくなる

 

ずっと追いかけていた

 

ずっと好きだった

 

それから10年二人の時は流れた

 

季節は何度も移り

 

いつしか愛し合うように

 

そして突然の別れ

 

理由は分からない

 

最後の電話を切ったあと

 

頭が真っ白になった

 

そして2年

 

今、あの時の校庭の前にいる

 

ぼんやりみつめる

 

君の後ろ姿が蘇る

 

青春という言葉は使いたくないけど

 

でもあの人がそのすべてだった

 

遠くで海が光っている」

 

少し顔を上げた
しおりを挟む

処理中です...