こわれてしまいそうな恋心

橘祐介

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赤いルージュ

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幼なじみの君はまだなれない赤いルージュをひいて

僕の前に現れた

それはちっとも似合ってなくて

少し心がちくちくした

これから出かけるという

どこに行くんだろう

君の心を奪った人はだれだろう

じゃあ行くねといつのもように明るい声を僕にかけて

バス停に向かっていった

取り残された僕は手持無沙汰で

本屋にでもいってみようと思ってる

でも何だか心がざわついて

何故か沈んだ気持ちになる

どうってことないんだろうけど

あの似合わない赤いルージュがやけに気になって

思い切り抱きしめたい

突然その思いがこみ上げてきた

自分でもあかしくて

一人苦笑いをする

しあわせになってくれればそれでいいはずなのに

割り切れない気持ちで日暮れを待つ

 
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