ルミちゃんと魔法の森

橘祐介

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ルミちゃんと魔法の森2

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今度は思い出を思い浮かべてみることにした。

 

「パパとママと海水浴に行ったこと」「彼氏のトムと初めて手をつないだこと」「キャンプファイヤーで軽いやけどをしてしまったこと」などなど、いろいろなことを思い浮かべてみる。

 

どうやらこのシーソーは、自分が大切にしている人やモノを思い描いた時は、それが上に

くるようだ。「ニキビ」などいやなことははその逆に下にくる。

 

あまりにも面白かったので、かなりの時間をそこで過ごした。

 

「あっ、そうだパパとママがきっと心配している」

そう考えたら急いで帰らなくちゃという思いになった。

 

次の部屋のドアの前にやはり一枚の紙が置いてあった。

 

「もう帰りたくなったら右側のドアを開けてごらん」

「次の部屋に行きたいのだったら左側のドアから入ったらいいよ」

 

「どっちを選ぶかはルミちゃんが好きなほうを選ぶがいい。

ただ一つだけ約束して欲しい。

それは決してこの部屋のことを誰かに話さないことだ。

パパにもママにも内緒にね。

じゃあ好きなドアを選んでごらん。」

 

そう紙に書いてあったので、右側のドアを開けることにした。

左側のもっと先に進めるドアにも行きたかったが、パパとママが心配しそうなので我慢した。

 

ドアを開けると小さなペンダントが机の上に置いてあった。

その横の紙に「また今度ここに来たくなったら、そのペンダントを付けて、ルミノヘヤヘイク」と呪文を唱えてごらん。また、前のシーソーの部屋に戻れるから。じゃあねバイバイ、楽しかったよ」と書かれていた。

 

そのペンダントと紙を握りしめて、しばらくして気が付くと、駐車場に止めてあった車の後部座席に何事もなかったかのように座っていた。

 

パパとママは前の席にいる。

「さあ、そろそろ帰るぞとパパ」

車は動き始めた。

 

あれはいったい何だったのだろう。

 

不思議なことにルミちゃんの首にはあのペンダントが付いていた。

 

それを右手で握りしめ、また今度行ってみようと思った。

 

ルミちゃんは何だかわくわくした気持ちになってきた。
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