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中世に復活したリリスの悲劇、そして光。~another story~
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旧約聖書に登場するリリスが、実はイヴよりも先に造られた最初の女性だとされる伝説は、中世に誕生した。
リリスはアダムとの交わりで悪霊を生み、さらに楽園を出てからも悪魔の首領サマエルを始め、数多くの悪魔との情交を重ね、悪魔の子(リリン)を産み続けた。
自分への服従を拒み、楽園を飛び出した彼女が戻るよう願ったアダムのため、天使を遣わし説得を図ろうとした神にも逆らい、怒りを買ったリリスは、想像を絶する運命を与えられる。
それは下半身を蛇に変えられ、一日に一〇〇人の子(リリン)を産み、その一〇〇人を殺される苦しみ。
やがてリリスは失意の中、自ら命を落とした。
その後神が遣わした三人の天使により命を救われたリリスは、度重なる不遇を受けた恨みにより自らを完全なる悪魔へと変貌させた。
古代メソポタミアの悪霊リリートゥに立ち返り、鳥のような鉤爪の脚や翼の存在、それに人間の男性を誘惑する妖しくも美しい外見を持ち合わせるなど、あらゆる時代のリリスを踏襲した。
(普段は本当の姿を、決して人前に晒すことはなかった。)
リリスは三人の天使の慈悲によって与えらえてしまった力を強く誇示した。
それは子どもが生まれてからの一定期間、彼らの運命を操ることが出来るという理不尽な力。
リリスは新生児たちを襲い、運命を弄んだ。その行為はさらにエスカレート。やがて妻を持つ男性を誘惑して寝首をかき、夫婦を死別させ、子どもを食べてしまうという悪行に発展した。
それは神によって産み続けさせられ、殺され続けた我が子たちの復讐として、人間の子孫を根絶やしにし、繁栄を許さないための行為。
リリスの能力は程なくして天使が与えた力を超越し、人間の生活を脅かす存在になった。そんな傍若無人な振舞いを後押ししたのは、アダムとの交わりで生まれた悪霊や、おびただしいい悪魔との情交で産み続けた悪魔の子(リリン)たちの存在に他ならない。
目に余るリリスの蛮行に対抗するため、神は密かに大きな罰の企てをする。
リリスの租悪霊リリートゥは、元来生殖不能の悪魔だった。
妊娠出来ないことで逆に悪行を重ねる悪魔のリリスに、神はあえて受精する能力を与えた。しかしそれは人間とのみ成立する能力であり、悪魔との情交で新たなリリンは生まれないというもの。
だが受精しても、すぐには成長させなかった。それ故、受精卵が胎内に宿っていることを知らず、リリスは人間の男性を誘惑し、無防備に胎内に精を受け続け、そして殺害し続けた。
受精卵が胎内に一〇〇個宿った時、神は胎児の成長を始めさせた。それは一つ一つの成長であり、出産までは妊婦として十月十日の苦しみを与えられることとなる。
妊娠中の身体の機能は全て胎児に向けられるため、空を飛ぶなど悪魔としての能力は全て封印されてしまった。それ以後リリスは人間の妊婦としての姿で生きる外なかった。人間の男性を惑わすために進化を遂げた魅惑的な佇まいが災いし、妊婦のリリスが逆に人間の男性に襲われてしまう事態が途切れることなく続いた。人間のリリスはか弱い女性に成り下がり、為す術なく犯され続けた。
それはただリリスが辱めを受けるだけの仕打ちではなかった。妊婦の状態で浴びせられた精も決して無駄にはならず、容易く受精し、卵はその度に胎内に蓄えられた。
出産を繰り返す度に外見は美しさを増し、リリスは本来の悪魔に戻れない。
やがて現実を悟ったリリスは人間界から逃れるように身を隠し、残りの受精卵の成長を待ち、絶え間なく出産を繰り返した。
そして五〇〇年後、六六六人目の子を産み落とした瞬間、神の許しを得て魂が浄化され、リリスは昇天した。
相手が人間とは言え、悪魔の子リリンを産み続けていた頃と同じように、子どもは全て愛おしいという母性が働き、リリスは人間の子を一人も殺そうとは考えなかった。その証拠に、産み落とした子は全て教会の前に置き去りにし、修道女に引き取られ育てられた。
そしてリリスの昇天により、悪魔の復活は永久に潰えたかに見えた。
だが実はそうではなかった。
リリスの魂が昇天する以前、彼女により生まれた人間の中には時折あざのある女児が誕生していた。
それこそが悪魔復活の微かな光だったのだ。
リリスはアダムとの交わりで悪霊を生み、さらに楽園を出てからも悪魔の首領サマエルを始め、数多くの悪魔との情交を重ね、悪魔の子(リリン)を産み続けた。
自分への服従を拒み、楽園を飛び出した彼女が戻るよう願ったアダムのため、天使を遣わし説得を図ろうとした神にも逆らい、怒りを買ったリリスは、想像を絶する運命を与えられる。
それは下半身を蛇に変えられ、一日に一〇〇人の子(リリン)を産み、その一〇〇人を殺される苦しみ。
やがてリリスは失意の中、自ら命を落とした。
その後神が遣わした三人の天使により命を救われたリリスは、度重なる不遇を受けた恨みにより自らを完全なる悪魔へと変貌させた。
古代メソポタミアの悪霊リリートゥに立ち返り、鳥のような鉤爪の脚や翼の存在、それに人間の男性を誘惑する妖しくも美しい外見を持ち合わせるなど、あらゆる時代のリリスを踏襲した。
(普段は本当の姿を、決して人前に晒すことはなかった。)
リリスは三人の天使の慈悲によって与えらえてしまった力を強く誇示した。
それは子どもが生まれてからの一定期間、彼らの運命を操ることが出来るという理不尽な力。
リリスは新生児たちを襲い、運命を弄んだ。その行為はさらにエスカレート。やがて妻を持つ男性を誘惑して寝首をかき、夫婦を死別させ、子どもを食べてしまうという悪行に発展した。
それは神によって産み続けさせられ、殺され続けた我が子たちの復讐として、人間の子孫を根絶やしにし、繁栄を許さないための行為。
リリスの能力は程なくして天使が与えた力を超越し、人間の生活を脅かす存在になった。そんな傍若無人な振舞いを後押ししたのは、アダムとの交わりで生まれた悪霊や、おびただしいい悪魔との情交で産み続けた悪魔の子(リリン)たちの存在に他ならない。
目に余るリリスの蛮行に対抗するため、神は密かに大きな罰の企てをする。
リリスの租悪霊リリートゥは、元来生殖不能の悪魔だった。
妊娠出来ないことで逆に悪行を重ねる悪魔のリリスに、神はあえて受精する能力を与えた。しかしそれは人間とのみ成立する能力であり、悪魔との情交で新たなリリンは生まれないというもの。
だが受精しても、すぐには成長させなかった。それ故、受精卵が胎内に宿っていることを知らず、リリスは人間の男性を誘惑し、無防備に胎内に精を受け続け、そして殺害し続けた。
受精卵が胎内に一〇〇個宿った時、神は胎児の成長を始めさせた。それは一つ一つの成長であり、出産までは妊婦として十月十日の苦しみを与えられることとなる。
妊娠中の身体の機能は全て胎児に向けられるため、空を飛ぶなど悪魔としての能力は全て封印されてしまった。それ以後リリスは人間の妊婦としての姿で生きる外なかった。人間の男性を惑わすために進化を遂げた魅惑的な佇まいが災いし、妊婦のリリスが逆に人間の男性に襲われてしまう事態が途切れることなく続いた。人間のリリスはか弱い女性に成り下がり、為す術なく犯され続けた。
それはただリリスが辱めを受けるだけの仕打ちではなかった。妊婦の状態で浴びせられた精も決して無駄にはならず、容易く受精し、卵はその度に胎内に蓄えられた。
出産を繰り返す度に外見は美しさを増し、リリスは本来の悪魔に戻れない。
やがて現実を悟ったリリスは人間界から逃れるように身を隠し、残りの受精卵の成長を待ち、絶え間なく出産を繰り返した。
そして五〇〇年後、六六六人目の子を産み落とした瞬間、神の許しを得て魂が浄化され、リリスは昇天した。
相手が人間とは言え、悪魔の子リリンを産み続けていた頃と同じように、子どもは全て愛おしいという母性が働き、リリスは人間の子を一人も殺そうとは考えなかった。その証拠に、産み落とした子は全て教会の前に置き去りにし、修道女に引き取られ育てられた。
そしてリリスの昇天により、悪魔の復活は永久に潰えたかに見えた。
だが実はそうではなかった。
リリスの魂が昇天する以前、彼女により生まれた人間の中には時折あざのある女児が誕生していた。
それこそが悪魔復活の微かな光だったのだ。
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