異世界からの友好的侵略者にバカ惚れしたのでひたすら口説く

浦門

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一 第21緋連雀隊

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「つまり最初からこうなるつもりだったってことでしょ」
 信之は呆れた顔をしながら、おれの話の意図を汲み取って話を始めた。
「こう?」
「命令破って、大怪我」
「違うって。命令破って、敵を倒して、大怪我」
「わざと怪我したんですか?」
「いや怪我は大事なことじゃなくて、命令破ってでも敵を倒してみたいなっていう……」
「こいつマゾなんだよ。浅い付き合いだからよく知らないけどね」
「おれは結構仲良くしてるつもりなんだけど」
 おれはかなり真面目にそう訴えた。が、信之は横目でチラッとおれを見てニヤニヤするだけで取り合わない。まあ、こんな感じで結構仲がいいと思う。こいつの言う通り、まだ短い付き合いではあるけど、その割には。
「怪我をしたくて、怪我をしたんですか?」
「あのねカスミちゃん、大事なとこそこじゃなくて……」
「てゆーかやっぱりわざとだったんですか」
 さっきからソワソワしてたミリちゃんが会話に割り込んできた。小さいからみんなで喋っているとだんだん埋もれてくる。だからベッドのふちに手をついて、身を乗り出す。
「痛い」
「え!? 触ってないですよ!」
 そうなんだけどベッドが軋むだけで骨に響いて痛い。むしろ何もしていなくても痛いし、さっきから喋っていてもヤバいほど痛い。これ以上騒ぎたくないから、あんまり言わないだけ。
「嘘だよ。言うほど痛くない」
「なんですかもう。なんでニコニコしながら騙すんですか? てゆーかさっきのその、あの、逃げるからって言ってたやつ! やっぱり嘘だったんじゃないですか!」
「さっきって何?」
「えー、さっきっていうか、さっきみたいな気がしたんですけど、あんまりさっきじゃないです。クジラさんと戦ってたときの」
 と、勢いよくまくし立て始め、恐らく途中で何を言っているのか一人で勝手に混乱し、次第に悄気げたように眉を八の字に下げて言葉を詰まらせた。
「あれの名前ってクジラに決まったの?」
「いえ、まだ聞いてないです。もしも再現性がある侵食体だったら、西川さんが処分したので、西川さんに命名権が来るかもしれませんよ」
 おれの疑問に、カスミちゃんが答える。さっきまでより落ちついたように見えるのは、怪我の責任がどう、という話題が彼女の中で片付いたからだろうか。おれが適当にごまかして話が逸れていってその結果いつの間にか満足してくれたのなら、なかなかいいことをしたんじゃないか?
「ああ、そっか。名前決まってないなら、クジラにしようかな」
「本物のクジラさんに迷惑だろ」
 鼻で笑いながら、信之が言う。
「クジラさん……」
「何」
 じっと信之の目を見た。ちょっと引いて嫌そうな顔をした。
「かわいいね」
「違うって。ミリに合わせたんだよ」
「クジラさん?」
「西川が言ってもかわいくない」
 信之は例えて言うなら学校でクラス委員長でもしてそうな雰囲気の奴で、からかうと面白い。でも冗談も通じる。年も同じで境遇も近い。そういうところも、気が合うと思っている。同じ部隊で唯一の同性だからってだけじゃなく。
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