文字の山

子供道

獣が通る道を獣道というが、
子供が通る道は子供道という。
子供が四つん這いでやっと通れるような金網の破れた穴。
家と家とを区分けする塀の上。
家と家との隙間、庭など。
本当は通ってはいけない道。
まあ、猫も通る。
そういう道には宝物が眠っている。

電信柱を登って、電線を渡ったり、
時々、神隠しにあったりするが、
確かに神に守られていた。
実感があった。
街をぐるぐるまわってなかなかいえにかえれないこともあったが。
どこからが夢なのだろう。
家には帰れたのか？

正直わからない。

「まあ、いいか」でいつも終わってしまう。


きっと子供道を通って帰ってきたのだろう。
大人になった今、子供道を通るのはちょっと勇気がいる。
勇気はある。
でもなあ、車イスじゃなあ。

子供の頃の宝物ってなんだ？

「本だ！」
ならばその道を行こう。

この部屋に一番たくさんあるのは？
この家には？
「本だ！」
この宇宙には？
「本だ！」

生き物は細胞を持っていて、細胞の中には、遺伝子がある。
「本だ！」

無生物にもタマシイがあり、

アカシックレコードがあり、
「本だ！」

多いのは？

「本だ！」

子供たちの声がする。

「本だ！」

「本だ！」

「本だ！」

文字は？

本だ！


文字の山

「本だ！」