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一章 侵略者と地球人
第11話 三匹
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昨日、ようやく三匹そろった宇宙人たちは、地球侵略作戦を相原家でやっていた。俺の部屋で。ダンベルやら色々置いていた部屋だったのが余計に狭くなった。俺の部屋はすっかり、宇宙人たちの戯れの場所となっている。
三匹は、真面目な表情で輪を囲むように座っていた。部屋は静かでペンを進む音だけが響いている。久しぶりの穏やかな時間。おかげで勉強が捗るがこの三匹が妙に真剣だと、些か不安が。今は気にしないようにしよう。
三匹の触覚合計合わせて、九本の触覚がピコピコ動いている。犬猫でいえば、尻尾みたい。
「次はコスモの番よ」
「あいさー」
スターに急かされ、コスモはサイコロを振る。出た目の数だけマスを進む。すごろくゲームをしていた。淡々と静かでやっているのが不安しかない。コスモは出た目の数だけマスを進めた。
「『ニマス進めるチャレンジマス! みんなの前で10分間踊って!』踊る? なにを」
「10分間踊るて、公開処刑?」
「はい、ミュージックスタート」
ダスクがタブレットの中の音楽アプリを押した。すると、そこから音楽が。ひたすら暗い音源のメロディ。何だこの曲、これで踊れていうのか。まずコスモは踊れるのか。
いかん。意識があいつらに向かっている。勉強勉強。勉強に集中しろ。ドタバタと足音がする。きっと、コスモが踊れないかわりに上手く教えているのだろう。それにしても、10分間は長いな。曲替えられないのか。葬式ムードの曲だぞそれ。暗い。
コスモのターンが終わり、やがてスターの順番が。それにしてもまだ誰もゴールしないんだよ。かれこれ一時間はやってるぞ。早くゴールしてくれ。
「分かれ道。右は永遠の宇宙旅行。左は大蛇が蠢くジャングル。そんなの決まってるじゃない。右に行くわよ!」
スターが右に進もうとした矢先、その腕を捕まえたのはダスク。
「その道でいいの? ほんとにいいのね? 右に行ったら帰れないに決まっているじゃない」
無理矢理、スターの腕を左に行かせる。スターはその腕を振り払った。
「宇宙人なんだから、宇宙に還るべきでしょ。左は大蛇がいて気持ち悪い」
「宇宙に還ってどうすんの。ジャングルで大蛇と戦うこそがジャングルのルールでしょ!」
「ここジャングルじゃない」
ダスクの懸命な説得はスターの胸には届かず、スターは右に進んだ。
すると、スターの声がしなくなった。気になって、後ろを振り返ってみるとさっきまでいたスターの姿がいない。このタイミングで何処かに出掛けたではない。扉が開く音しなかったし。一瞬で消えた。
「スターは事実上のリタイアね」
やれやれとダスクがため息ついた。
「帰ってくる?」
コスモが首を傾げて聞く。ダスクは考える素振りも見せずに飄々と「終われば帰ってくる」と答えた。
かれこれやっていたのは、俺が想像している家族や友人で遊ぶすごろくゲームなんかじゃなかった。やっているゲームが本気すぎる。生死をかけたゲームと同じだ。だから、真剣にやっていたのか。
スターはリタイア。恐らく無限が続く宇宙にいるだろう。そして、帰れるにはそのすごろくゲームを看破しないと。遠くから円盤を眺めていても、誰もゴールできる道じゃない。コスモは序盤にいて、ダスクは中盤あたりにいる。ゴールするには、あと一時間かかりそうだ。
ようやく三匹そろったら、こいつらは地球侵略の前にゲームをしている。こいつらはゲームしているときは、ふざけてるのにこんなに真剣なのは、きっと裏があるはず。
スターが退けて、残った二匹はゴールへ進んでいく。またコスモにチャレンジマスが到来。なんと、ゴールマスまで移動できるチャレンジだと。が、代償にはいつも大きなものが付き物で、チャレンジ成功するためには、近くにいる人の所持金を奪うこと。近くにいる人は、ダスクしかいない。コスモはダスクに手を伸ばした。
「おら出せよ」
「仕方ないね」
ダスクは懐から、ドングリやら葉っぱをコスモに手渡した。
「金だよ金」
「カネ?」
ダスクは、首を傾げてみせる。サバンナ暮らしだったせいで、世の中の概念は知らない。宇宙人としては知性もあり、聡明だけど、地球についてほんの、少ししか知らない。
コスモは、悪い顔してチッと舌打ち。どこのヤンキーだ。
この間、ヤンキードラマ見せたせいで、変な影響与えたかも。後で治さないと。
残念ながら、ドングリと葉っぱはお金じゃない。チャレンジは失敗。一マス戻る。ゴールは中々厳しいぞ。およそ世界地図のような大きさのすごろくゲーム。マスの多さが普通のより多い。
スターが退いて、二匹だけじゃ進まない。俺も気分転換にゲームしてみよう。俺が椅子から立ち上がり、輪の中に入るとダスクに睨まれた。
「気分転換に来たならやめときなさい。これは、地球人が想像している楽しいゲームでも何でもないんだから」
心の中を言い当てられた。
ダスクの切れ長の目から見える金色の瞳は、全てを見透かしているよう。ダスクが反対しているが、ゲーム台が話し始めた。
『プレイヤーが追加されました。スタート地点でサイコロを降ってください』
「うぉ! 喋った!」
普通の紙切れが喋った。確かに宇宙旅行に行かせたり、誰かとマスを交換できてたし、普通のゲーム台じゃないな。これは、宇宙人用の遊び。昔の映画にあった、タイトルなんだっけ、とりあえずそれに似ている。
コスモにサイコロを手渡され、振ってみると出た目は5。5マス進む。いきなりチャレンジマスに止まった。運がいいのか悪いのか。後ろから見てきたが、このゲームのチャレンジマスはだいたい、悪い方向にいっている。どうか、良いチャレンジでありますように。
誠実に願ったが、現実は時として残酷で二十マス進めるかわりに、地球一周せよ。
「無理げーか!」
「いけるいける」
「何を根拠にいけるって言ってんだ。お前らはともかく、人間がいきなり地球一周なんてできるか」
「あたしはむしろ地球の反対側にいたんだけどね」
コスモはぽん、と手のひらを叩いた。何か浮かんだような表情。こういうときは、大概悪い予感しかない。
「いいこと考えた!」
「俺は絶対しないぞ」
「まだ何も言ってない」
悪い予感から避けたい。できれば、回避したいが、どんなに逃げても追いかけられたら無理だ。その無駄にキラキラした目を向けてくるのはやめろ。普段何も考えてなさそうなやつが何か考えると碌なことじゃない。
「私が一樹を宇宙に飛ばして地球一周成功」
「成功の前に俺を粉砕する気か?」
チャレンジ失敗。
すごろくゲームを始めて、早二時間が経過しているが、誰もゴールには近づいてない。むしろ、離れている。流石にコスモたちも飽きてきて、だんだん目が死んでいる。
このゲーム、一度やったら誰かがゴールしないと終われない設定だ。再びコスモにチャレンジマスが。どんだけチャレンジマスがあるんだ。チャレンジ精神だな。
「えーと何何『ランダムで何処にでも行けるマス!』だって」
「コスモ、一気にゴールへ進んで」
ダスクが指示した。コスモは頷く。すごろくゲームを始めて二時間経過、やっとゴールした。
『コスモさんがゴールしました。残りのプレイヤーは退出しますか?』
「退出するに決まってるじゃない!」
ダスクが叫ぶと、ゲーム台が短く「了解しました」と一言いって静かになった。ふぅ、と大きなため息が続いた。
すると、家虫に響き渡る足音が。こちらに近づいてきた。扉が壊れるんじゃないかと思うぐらいにの勢い。扉を開けたのは、宇宙旅行に行ったスター。
「ただいま参上! 颯爽登場っ!!」
「颯爽登場、じゃないわよ。もう終わったわよ」
ゲーム台がダスクの持っているタブレットの中に吸い込んでいく。元々アプリのものが実現化され、物になった。宇宙人もすごいが、こいつらのいる文明もすごいな。
「それで、誰がゴールしたの?」
スターが聞いた。コスモがドヤ顔で手をあげる。でもスターは見えなかったのか、もう一度聞くと、コスモはスターに近づきダスクは諦めたように、指差した。
すると、スターの表情がみるみる暗くなっていく。
「よりにもよってコスモなの!? 銀河一天才少女は何処いったの!」
「悪かったわね。あとその呼び名はやめて」
スターとダスクこうなるのも無理はない。ゲームでさきにゴールしたものが、今回の侵略者のリーダーになるという駆け引きだったのだから。だから、真剣だったんだな。
「私がリーダー。皆のもの、ひれ伏せ」
この間みた、アニメのワンシーンを真似るコスモ。勝負はついたが、確かにコスモがリーダーとなると、不安しかない。
「どうする? もう一回やる?」
スターが不安に聞いた。
「もう勝負はついた」
ダスクは、このままコスモをリーダーにする。またあのゲームをやるには、体力が限界なのだ。しかし、コスモがやり切るわけないので、スターたちが支えることに。
三匹は、真面目な表情で輪を囲むように座っていた。部屋は静かでペンを進む音だけが響いている。久しぶりの穏やかな時間。おかげで勉強が捗るがこの三匹が妙に真剣だと、些か不安が。今は気にしないようにしよう。
三匹の触覚合計合わせて、九本の触覚がピコピコ動いている。犬猫でいえば、尻尾みたい。
「次はコスモの番よ」
「あいさー」
スターに急かされ、コスモはサイコロを振る。出た目の数だけマスを進む。すごろくゲームをしていた。淡々と静かでやっているのが不安しかない。コスモは出た目の数だけマスを進めた。
「『ニマス進めるチャレンジマス! みんなの前で10分間踊って!』踊る? なにを」
「10分間踊るて、公開処刑?」
「はい、ミュージックスタート」
ダスクがタブレットの中の音楽アプリを押した。すると、そこから音楽が。ひたすら暗い音源のメロディ。何だこの曲、これで踊れていうのか。まずコスモは踊れるのか。
いかん。意識があいつらに向かっている。勉強勉強。勉強に集中しろ。ドタバタと足音がする。きっと、コスモが踊れないかわりに上手く教えているのだろう。それにしても、10分間は長いな。曲替えられないのか。葬式ムードの曲だぞそれ。暗い。
コスモのターンが終わり、やがてスターの順番が。それにしてもまだ誰もゴールしないんだよ。かれこれ一時間はやってるぞ。早くゴールしてくれ。
「分かれ道。右は永遠の宇宙旅行。左は大蛇が蠢くジャングル。そんなの決まってるじゃない。右に行くわよ!」
スターが右に進もうとした矢先、その腕を捕まえたのはダスク。
「その道でいいの? ほんとにいいのね? 右に行ったら帰れないに決まっているじゃない」
無理矢理、スターの腕を左に行かせる。スターはその腕を振り払った。
「宇宙人なんだから、宇宙に還るべきでしょ。左は大蛇がいて気持ち悪い」
「宇宙に還ってどうすんの。ジャングルで大蛇と戦うこそがジャングルのルールでしょ!」
「ここジャングルじゃない」
ダスクの懸命な説得はスターの胸には届かず、スターは右に進んだ。
すると、スターの声がしなくなった。気になって、後ろを振り返ってみるとさっきまでいたスターの姿がいない。このタイミングで何処かに出掛けたではない。扉が開く音しなかったし。一瞬で消えた。
「スターは事実上のリタイアね」
やれやれとダスクがため息ついた。
「帰ってくる?」
コスモが首を傾げて聞く。ダスクは考える素振りも見せずに飄々と「終われば帰ってくる」と答えた。
かれこれやっていたのは、俺が想像している家族や友人で遊ぶすごろくゲームなんかじゃなかった。やっているゲームが本気すぎる。生死をかけたゲームと同じだ。だから、真剣にやっていたのか。
スターはリタイア。恐らく無限が続く宇宙にいるだろう。そして、帰れるにはそのすごろくゲームを看破しないと。遠くから円盤を眺めていても、誰もゴールできる道じゃない。コスモは序盤にいて、ダスクは中盤あたりにいる。ゴールするには、あと一時間かかりそうだ。
ようやく三匹そろったら、こいつらは地球侵略の前にゲームをしている。こいつらはゲームしているときは、ふざけてるのにこんなに真剣なのは、きっと裏があるはず。
スターが退けて、残った二匹はゴールへ進んでいく。またコスモにチャレンジマスが到来。なんと、ゴールマスまで移動できるチャレンジだと。が、代償にはいつも大きなものが付き物で、チャレンジ成功するためには、近くにいる人の所持金を奪うこと。近くにいる人は、ダスクしかいない。コスモはダスクに手を伸ばした。
「おら出せよ」
「仕方ないね」
ダスクは懐から、ドングリやら葉っぱをコスモに手渡した。
「金だよ金」
「カネ?」
ダスクは、首を傾げてみせる。サバンナ暮らしだったせいで、世の中の概念は知らない。宇宙人としては知性もあり、聡明だけど、地球についてほんの、少ししか知らない。
コスモは、悪い顔してチッと舌打ち。どこのヤンキーだ。
この間、ヤンキードラマ見せたせいで、変な影響与えたかも。後で治さないと。
残念ながら、ドングリと葉っぱはお金じゃない。チャレンジは失敗。一マス戻る。ゴールは中々厳しいぞ。およそ世界地図のような大きさのすごろくゲーム。マスの多さが普通のより多い。
スターが退いて、二匹だけじゃ進まない。俺も気分転換にゲームしてみよう。俺が椅子から立ち上がり、輪の中に入るとダスクに睨まれた。
「気分転換に来たならやめときなさい。これは、地球人が想像している楽しいゲームでも何でもないんだから」
心の中を言い当てられた。
ダスクの切れ長の目から見える金色の瞳は、全てを見透かしているよう。ダスクが反対しているが、ゲーム台が話し始めた。
『プレイヤーが追加されました。スタート地点でサイコロを降ってください』
「うぉ! 喋った!」
普通の紙切れが喋った。確かに宇宙旅行に行かせたり、誰かとマスを交換できてたし、普通のゲーム台じゃないな。これは、宇宙人用の遊び。昔の映画にあった、タイトルなんだっけ、とりあえずそれに似ている。
コスモにサイコロを手渡され、振ってみると出た目は5。5マス進む。いきなりチャレンジマスに止まった。運がいいのか悪いのか。後ろから見てきたが、このゲームのチャレンジマスはだいたい、悪い方向にいっている。どうか、良いチャレンジでありますように。
誠実に願ったが、現実は時として残酷で二十マス進めるかわりに、地球一周せよ。
「無理げーか!」
「いけるいける」
「何を根拠にいけるって言ってんだ。お前らはともかく、人間がいきなり地球一周なんてできるか」
「あたしはむしろ地球の反対側にいたんだけどね」
コスモはぽん、と手のひらを叩いた。何か浮かんだような表情。こういうときは、大概悪い予感しかない。
「いいこと考えた!」
「俺は絶対しないぞ」
「まだ何も言ってない」
悪い予感から避けたい。できれば、回避したいが、どんなに逃げても追いかけられたら無理だ。その無駄にキラキラした目を向けてくるのはやめろ。普段何も考えてなさそうなやつが何か考えると碌なことじゃない。
「私が一樹を宇宙に飛ばして地球一周成功」
「成功の前に俺を粉砕する気か?」
チャレンジ失敗。
すごろくゲームを始めて、早二時間が経過しているが、誰もゴールには近づいてない。むしろ、離れている。流石にコスモたちも飽きてきて、だんだん目が死んでいる。
このゲーム、一度やったら誰かがゴールしないと終われない設定だ。再びコスモにチャレンジマスが。どんだけチャレンジマスがあるんだ。チャレンジ精神だな。
「えーと何何『ランダムで何処にでも行けるマス!』だって」
「コスモ、一気にゴールへ進んで」
ダスクが指示した。コスモは頷く。すごろくゲームを始めて二時間経過、やっとゴールした。
『コスモさんがゴールしました。残りのプレイヤーは退出しますか?』
「退出するに決まってるじゃない!」
ダスクが叫ぶと、ゲーム台が短く「了解しました」と一言いって静かになった。ふぅ、と大きなため息が続いた。
すると、家虫に響き渡る足音が。こちらに近づいてきた。扉が壊れるんじゃないかと思うぐらいにの勢い。扉を開けたのは、宇宙旅行に行ったスター。
「ただいま参上! 颯爽登場っ!!」
「颯爽登場、じゃないわよ。もう終わったわよ」
ゲーム台がダスクの持っているタブレットの中に吸い込んでいく。元々アプリのものが実現化され、物になった。宇宙人もすごいが、こいつらのいる文明もすごいな。
「それで、誰がゴールしたの?」
スターが聞いた。コスモがドヤ顔で手をあげる。でもスターは見えなかったのか、もう一度聞くと、コスモはスターに近づきダスクは諦めたように、指差した。
すると、スターの表情がみるみる暗くなっていく。
「よりにもよってコスモなの!? 銀河一天才少女は何処いったの!」
「悪かったわね。あとその呼び名はやめて」
スターとダスクこうなるのも無理はない。ゲームでさきにゴールしたものが、今回の侵略者のリーダーになるという駆け引きだったのだから。だから、真剣だったんだな。
「私がリーダー。皆のもの、ひれ伏せ」
この間みた、アニメのワンシーンを真似るコスモ。勝負はついたが、確かにコスモがリーダーとなると、不安しかない。
「どうする? もう一回やる?」
スターが不安に聞いた。
「もう勝負はついた」
ダスクは、このままコスモをリーダーにする。またあのゲームをやるには、体力が限界なのだ。しかし、コスモがやり切るわけないので、スターたちが支えることに。
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