折々再々

ハコニワ

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最初Ⅰ

第21話 二つの国

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 西暦6世紀。535年。

 二つの国が同盟を結んだ。太陽王が統括する国と月の姫が統括する国。それぞれ対立していたものの、今日、同盟を組んだ。頻発する他国との戦争に備えてだ。同盟の土産は子供だった。お互いの子供を伴侶にしてそれで同盟を結べると。

 今日は、はるばる、月の国から月姫が太陽王が統括する国にやってくる。それのせいか、街中は花や装飾品が並んでキラキラしたものが太陽の光を浴びてさらに輝きを増している。街の人たちもソワソワしていた。
 老夫婦や子供たち、貧相な人たちも目を輝かす。月姫が来るのはこれが一度ではない。だが、そう何度も来ることはない滅多にない客でしかも街中が祭りみたいに華やかになるのだから、それ応じて街の人達はソワソワするだろう。
 装飾品が並ぶ店の裏の路地裏で子供たちが遊んでいた。ここを出ると広間があって月の国からの客が軍隊のように歩いてくるのである。その軍隊が来るまでここで遊ぶことになっている。
「ルーク、そっちいったぜ!」
「なんであんな場所まで飛ばすんだよ!」
「早く取ってきて!」
 今日も太陽の国は歓声な声が響きわたる。その路地裏にひょっこり顔を出したのはこの国の時期太陽の王。そして今日来る月姫の殿方だ。
「よーぉ! 楽しんで何よりだ!」
 路地裏に明るい声を飛ばし、真上の太陽にも負けない輝かしい笑顔でやってきた。子供たちの頭をワシャワシャ撫でひっついてきた子には肩車する。
「なんでここにいるの?」
 焦げパンのように焼けた肌に金色の目が特徴的な少年が聞いてくる。
「暇だからだ」
 ドヤ顔で言った。次は少年の隣の、不健康そうな真っ白い肌だけど目鼻筋は整っている少年――イレインが目を細めた。
「暇なわけないだろ。今日は月の国からお姫様がやってくるのに。きっと今頃城の人たち探しているよ」
「それは大丈夫だ。ちゃんと置き手紙を書いたからな。俺はここに来てお前らと遊ぶのが日課なんだ。誰に何を指図されようと、これだけは変えないつもりさ!」
 にっ、と歯を見せて笑った。その笑顔は太陽のように眩い。他者が何を言っても聞かない真っ直ぐでそれが返って裏目になることを知らない、そんな王子の純粋無垢な笑顔に少年たちも心を奪われる。

 ルークと呼ばれた金色の目が特徴的な少年は王子の手を取ってボール遊びへ参加させる。
「ハッハッ! 面白いな!」
「でしょ?」 
 子供たちと遊んでいると、王兵がいつのかまにか迎えに来ていた。王子を連れ去り王宮へ引き戻される。王宮に戻った王子はずっと不貞腐れる。

「月の姫が今日くるというのに、貴方様は一体何をしていらっしゃるのですか! よりによってあんな小汚いガキと……――」王宮内でお世話係の老父からきっついお叱りを受ける。もうすぐ還暦なのに声を張り上げ自分と大差ない体力を持っている。逃げる俺を捕まえたりもはや、人間じゃないのかもしれん。
 だいたい怒ると説教が長い。
 説教が右から左へ流れる。
「ジィジ、相変わらず話が長いな」
 欠伸をして伸びをする。
 ジィジはムッとした顔をして嫌味なのかさらに説教を長くした。その途中で兵士がやってきてジィジに耳打ち。ジィジは分かった、と答えると兵士は颯爽と去っていく。
「王子、月の姫がやってきました。只今城下町にてご来場です」
 ジイジは声色を変えて姿勢を正した。兵士たちもバタバタと正門に向かう。俺も行けとジイジが託すのでしぶしぶ下に行く。

 正直言って親が決めた婚約だし今の今まで顔も名前も知らない女だぞ。興味もさほど沸かないし正直言ってこんな婚約破棄したい。だが国のため仕方ない。民のため。それを天秤にかけるとなるとそりゃ、婚約だろうが、もはやそうなると逃げ場がない。
 城の外で自由に羽ばたく鳥を眺めた。
 優雅に青空を羽ばたきその姿が美しい。鳥になって飛んでみたい。なんて思ったことは一度や二度や三度や四度数え切れないほどある。一度鳥になりきって高いところから飛び降りたことがある。骨折だけですんだのだが今となっちゃなんて馬鹿なことをしたんだと笑い話にもなる。

 あぁ、その鳥に今こそなろうか。
 

 城の外で大群が並んでいた。月の国の者、重いものを運ぶラクダとゾウ。サーカスのような大群だ。我が民も大群を遠目から見てキラキラした眼差しだ。兵士たちは緊張が走る。
 一人の男がこちらにやってきた。髭がぴょんと上を伸びてちょび髭男爵。
「ようこそ遠路遥々お越し下さいました」
 ジイジが深く頭を下げる。
「うむ」
 髭男爵は簡潔に答えた。
「こちらは我が太陽国の王子であります」
「よろしく」
 簡潔に答えてジイジに睨まれるが相手は気にしてない様子。「うむ」と再び素っ気ない返事を返した。 

 城の中に招き入れ、太陽国の王子と月の国の姫が突然と、押し入られる形で部屋で2人きりに。相手はずっとカーテンを隔てた敷居に隠れている。
 同じ部屋にいるのに会話も何一つしないとは先が思いやられる。
「遠路遥々ご苦労さん。あの川と砂漠を抜け出せたのは本当に素晴らしい。砂漠はどんなだった? 俺は行ったことがないんだ」
 俺は沈黙を破った。
 相手から何も切り出してこない。無視をしているのか、それともわざと浮かしているのか。俺は話を続けた。
「この建物は街では一番大きいんだ。晴れてるときは空が澄み切ってて景色が素晴らしいんだ。案内するよ」
 なるべく優しく語りかけても無視。
 なんだこいつ、口があるのか。それともここにいるのは人形だったりして。だって微塵も動かない。

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