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現実
幼馴染み
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さっきからみんなして僕のことを怪物でも見るような目で見てくる。
いったい、僕が何をしたっていうのだろう。
教室に戻ると、直緒直緒が頬杖をついてスマホを眺めていた。両耳にイヤホンを付けて音楽を聴いているようだ。
直緒は僕の幼馴染みで部活仲間でもある。
「春、大丈夫なのか?」
直緒は僕の方を見ずに、ぼそっと言った。
直緒は冷静沈着でいつも無表情だ。
そのせいもあるのか、直緒の言う言葉には感情が感じられない。
僕は保育園の頃からずっと直緒と一緒ににいる。
家が近いのが主な理由だか、なにより一緒にいて落ち着く。
いつも落ち着いている直緒はほんとにかっこいい。
また、綺麗な顔をしているだけあって女子の間では“ツンデレ王子”と言われて直緒に想いを寄せている子は多くいる。
僕は軽音楽部に所属していて、直緒と隣のクラスの女子の結とバンドを組んでいる。
文化祭やライブハウスなどでときどきライブをしているのだが、そこに来る女子のほとんどは直緒目当てだ。
イケメンな上に、ギター&ボーカルというただでさえ目立つポジションにいるため、モテモテだ。
また、ドラマーの結も黒髪ロングの典型的な清楚系女子で、顔も可愛いのでそこそこ人気だ。
それに比べて僕はベーシストとして2人の引き立て役として毎日頑張っている。
別に2人に嫉妬したことはないし、むしろ僕は目立つのが苦手なので音もあまり目立たないベースが僕にはすごく合うと思っている。
ロッカーを開けてベースを取り出す。
それと同時に、直緒は耳につけていたイヤホンをとり、立ち上がる。
そして、ギターを背負ってスマホをバッグにしまった。
「大丈夫だよ、待っててくれたんだ。」
机の中からノートと教科書を取り出し、バッグにしまっている直緒の方を見て答える。
直緒は少し遠慮がちに僕の方を見た。
みんな、どうしたのだろう。
結城先生といい、玲那といい、直緒まで僕をそんな目で見るなんて。
「まぁ、部活あるしな。結が待ってるから早く行くぞ。」
直緒は僕から視線をそらして、バッグのチャックを閉めるなり、さっそうと教室を出て行く。
僕は慌てて跡を追いかける。
直緒はいつもそうだ。
いつも、僕の前を歩いている。
いつも僕を引っ張ってくれる。
方向音痴な僕が道に迷わないように導いてくれる。
物事に興味がなさそうなふりをして、いつも僕のことを気にしてくれている。
本当に優しい。
「なんだよ、そんなじろじろ見んな!」
僕の視線に気付いたのか、直緒は振り返り、ムッとした顔で呟いた。
直緒の耳元が赤くなっているのが見えた。
ほんと、素直じゃないんだから。
そう心の中で呟いて、また僕は直緒の右斜め後ろを歩いたのだった。
いったい、僕が何をしたっていうのだろう。
教室に戻ると、直緒直緒が頬杖をついてスマホを眺めていた。両耳にイヤホンを付けて音楽を聴いているようだ。
直緒は僕の幼馴染みで部活仲間でもある。
「春、大丈夫なのか?」
直緒は僕の方を見ずに、ぼそっと言った。
直緒は冷静沈着でいつも無表情だ。
そのせいもあるのか、直緒の言う言葉には感情が感じられない。
僕は保育園の頃からずっと直緒と一緒ににいる。
家が近いのが主な理由だか、なにより一緒にいて落ち着く。
いつも落ち着いている直緒はほんとにかっこいい。
また、綺麗な顔をしているだけあって女子の間では“ツンデレ王子”と言われて直緒に想いを寄せている子は多くいる。
僕は軽音楽部に所属していて、直緒と隣のクラスの女子の結とバンドを組んでいる。
文化祭やライブハウスなどでときどきライブをしているのだが、そこに来る女子のほとんどは直緒目当てだ。
イケメンな上に、ギター&ボーカルというただでさえ目立つポジションにいるため、モテモテだ。
また、ドラマーの結も黒髪ロングの典型的な清楚系女子で、顔も可愛いのでそこそこ人気だ。
それに比べて僕はベーシストとして2人の引き立て役として毎日頑張っている。
別に2人に嫉妬したことはないし、むしろ僕は目立つのが苦手なので音もあまり目立たないベースが僕にはすごく合うと思っている。
ロッカーを開けてベースを取り出す。
それと同時に、直緒は耳につけていたイヤホンをとり、立ち上がる。
そして、ギターを背負ってスマホをバッグにしまった。
「大丈夫だよ、待っててくれたんだ。」
机の中からノートと教科書を取り出し、バッグにしまっている直緒の方を見て答える。
直緒は少し遠慮がちに僕の方を見た。
みんな、どうしたのだろう。
結城先生といい、玲那といい、直緒まで僕をそんな目で見るなんて。
「まぁ、部活あるしな。結が待ってるから早く行くぞ。」
直緒は僕から視線をそらして、バッグのチャックを閉めるなり、さっそうと教室を出て行く。
僕は慌てて跡を追いかける。
直緒はいつもそうだ。
いつも、僕の前を歩いている。
いつも僕を引っ張ってくれる。
方向音痴な僕が道に迷わないように導いてくれる。
物事に興味がなさそうなふりをして、いつも僕のことを気にしてくれている。
本当に優しい。
「なんだよ、そんなじろじろ見んな!」
僕の視線に気付いたのか、直緒は振り返り、ムッとした顔で呟いた。
直緒の耳元が赤くなっているのが見えた。
ほんと、素直じゃないんだから。
そう心の中で呟いて、また僕は直緒の右斜め後ろを歩いたのだった。
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