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第一章 ルード皇国 編
カミングアウト
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4人が帰った後アギリスとの会話が再開された。
「ルーラが倒れたのは、魔法を使ったせいであるともいえるし、そうでないともいえる。」
アギリスはそう話しながらこの状況に困惑していた。
まだ2歳くらいの子供に、どれだけのことが理解できるのかを推し量っているようだった。
「魔法とは、何ですか?魔法を使うと体力を奪われてしまうのですか?」
俺はいろいろな疑問があったが、少しずつ聞くことを心掛けた。
「そうだな・・・魔法というのは体内にある魔力結晶に己の魔力を流し込み、息吹と共に体の外に放出することだ。例えば、こんなふうに」
アギリスが横を向いて、軽く息を吐くと小さな炎が現出した。
『これは初めて会った時にオークを丸焦げにした炎の魔法か?』
俺がびっくりして今は炎消えてしまった中空を見ていると話しが続けられた。
「魔力の量を変えることにより、炎の大きさも変えることができる。魔力結晶はそれぞれ固有の性質を持っており、使える魔法は限定される。私の結晶は魔力を通すと炎の力を手にいれることができる。」
「母さんは、回復の魔法を使うことができるのですか?」
「そうだ。私たちの中では回復を使えるのは稀な能力だ。しかし、本来回復の魔法を使ったからといって、倒れるということはない。」
「では、なぜですか?」
「母さんは病に侵されている。それも原因不明のな。安静にしていれば大丈夫なのだが、少し弱ったりすると魔力結晶からの魔力の流れがおかしくなって、全身の自由が奪われる。」
「治す方法はないのですか。」
「ずっと研究を続けられているが、まだ治療法は存在していない。」
「そうですか・・・そんな状態なのに私に回復の魔法を使ってくれたんですね。」
「本当なら全身の回復魔法をかけて治してやりたかったはずだ。部分的な回復魔法で済んだのは、お前が的確な場所を伝えてくれたからだ。部分的な回復魔法2回くらいなら1日安静にしていれば、なんとか回復するだろう。」
『そうか、母さんは大丈夫なのか・・・』
安心した俺は次の質問をした。聞きたいことはたくさんあった。
「その魔法というものを私も使えるのでしょうか?」
「・・・」
アギリスはちょっと困惑した顔を見せて、次に何かを考えている様子だった。
『聞いちゃまずい質問だっただろうか。』
「魔法は使えるとは思う。しかし、私には教えることができない。」
『使える可能性はあるのか。けど教えてもらえないとはこれ如何に・・・?』
アギリスは何か決心した顔して話を続けた。
「・・・私たち竜族は生まれたときに体内に魔力結晶が存在する。しかし、お前にはその魔力結晶がない。」
『ん?竜族?魔力結晶がない?』
いろいろな疑問がよぎるが話は続く。
「最初に言っておくが、私はお前のことは本当の息子として育てていくつもりだ。そして、母さんは病のせいで子供産むことができない。そのこともあってか、お前のことを本当に大切に可愛がって、本当の息子だと思っている。そのことはよく覚えていて欲しいんだが・・・お前は私たちの息子ではないんだ。というより、竜族でもない。人族だ。」
言いにくそうに最後の言葉を絞り出した。
『知っていたとはいえ、カミングアウトのイベント早すぎない。まだ2歳にもなってない坊やだよ。』
「そうですか。びっくりしました。でも、確かに私には尻尾がないし、おかしいなーとは思っていたのですが。そうですか・・・でも、なんでこの家に?」
「思ったより驚いていないな・・・知っていたのか?」
「いや、そんなまさか!!あまりに吃驚してリアクションもとれないだけですよ。」
「そうか、・・・。」
少し疑っているような顔を見せたが、そのまま続けた。
「・・・お前は東に広がる魔の森で見つけた。そのとき、オークに襲われそうになっているところを助けて、ここまで連れてきたのだ。」
「・・・それは、危ないところを助けていただきありがとうございます。」
本当にそれには感謝している。来ていきなり食べられるところだったのだからな。しかし、この家に連れてきたのは何か目的があってのことだと思うのだが、それを俺が知ってるのはおかしいので、ひとまずスルーするのベターな選択だろう。
「それで、さっきの続きだが、人族の体内には魔力結晶とよばれるものはない。しかし、魔法というものを人が使えるのは確かだ。私は人という種族に出会うのはお前が初めてだが、聞いた話や、歴史に出てくる人の話には、魔法を使ったという話を聞くからな。だから、お前に魔法の使い方を教えることはできない。竜族とは根本的に発動のさせ方が違うようだからな。」
「そうですか。」
俺は落胆したが、希望がないわけではなかった。人にも魔法の使える方法が存在するということが分かっただけでも前進だった。
「しかし、魔力の練り方と闘い方は教えられる。今日のことを見て分かったのだが、お前は魔力の練り方と扱い方を早々に覚えなくてはならない。」
予想外の提案に俺は食いついた。
「魔法と魔力は違うものなのですか?」
「魔力とは魔法を使うためのエネルギーとなるためのものだ。これはいっぱいあった方が魔法を覚えたときに魔力不足に陥ることがなくなる。それに魔力を布一枚分体の外側に纏わせるだけで防御力が格段にあがる。見たところ、人族の体は竜族の体より丈夫ではない。そして、力も弱いようだ。これは、大きくなるにつれて顕著になっていくと思ったほうがいい。この竜族の国で生きていくには魔力でそれを補っていくしかない。」
「しかし、竜族も魔力が上がっていくなら補うことができないのでは?」
「いや、竜族は基本、力と防御力に優れた種族なので、そこまで魔力を用いた闘い方はしない。魔力結晶の性質で魔法が限定されるので、魔力を使った闘い方に力を入れてはいない。だから、魔力を常に纏って行動するということはしない。だから、まず竜族との日常生活をうまくやるには、魔力を体の外にとどめるというのは有効であり、必須なことだ。」
『たしかに、今のままだと、肩を叩かれたり、ぶつかったりしただけで致命傷をおいかねない。回復魔法を覚えればと思うがその方法がわからないのであれば、まず防御力を鍛えるのは当然か。』
「闘い方は・・・まだ体が出来上がってないから魔力を練る訓練から始めようか。」
こうして俺の訓練は始まった。
魔力を作り出すことができるか心配だったのだが、アギリスの教えがよかったのか、この転生した体が優秀だったのか、なんなく魔力の生成には成功した。
そして最初は魔力を体の外に留めるのではなくて上限いっぱいまで出し続けるという訓練を行った。
留めることができても魔力総量が小さいと30分も体の外に留めておくと、疲れて動けなくなってしまうのだとか。だから、魔力総量を増やせるだけ増やしてしまおうということだった。それには、全魔力を放出して、回復して、また全魔力を放出するという訓練を行った。
初めて全魔力を放出したとき、急激な眠気に襲われて、その場で倒れて眠ってしまった。そのあと目が覚めたのは自分のベッドの上だった。アギリスが連れてきてくれたのだろう。
こうして、魔力放出し、睡眠をするということをずっと繰り返していた。こうして、本を読む時間が少なくなり、前と同じように1日の大半を寝て過ごすという日々が続いた。
こうして、魔力をコントロールして半日は出し続けることができるようになるころには1年と少しの月日が流れ、1人で立てるようになっていた。
「ルーラが倒れたのは、魔法を使ったせいであるともいえるし、そうでないともいえる。」
アギリスはそう話しながらこの状況に困惑していた。
まだ2歳くらいの子供に、どれだけのことが理解できるのかを推し量っているようだった。
「魔法とは、何ですか?魔法を使うと体力を奪われてしまうのですか?」
俺はいろいろな疑問があったが、少しずつ聞くことを心掛けた。
「そうだな・・・魔法というのは体内にある魔力結晶に己の魔力を流し込み、息吹と共に体の外に放出することだ。例えば、こんなふうに」
アギリスが横を向いて、軽く息を吐くと小さな炎が現出した。
『これは初めて会った時にオークを丸焦げにした炎の魔法か?』
俺がびっくりして今は炎消えてしまった中空を見ていると話しが続けられた。
「魔力の量を変えることにより、炎の大きさも変えることができる。魔力結晶はそれぞれ固有の性質を持っており、使える魔法は限定される。私の結晶は魔力を通すと炎の力を手にいれることができる。」
「母さんは、回復の魔法を使うことができるのですか?」
「そうだ。私たちの中では回復を使えるのは稀な能力だ。しかし、本来回復の魔法を使ったからといって、倒れるということはない。」
「では、なぜですか?」
「母さんは病に侵されている。それも原因不明のな。安静にしていれば大丈夫なのだが、少し弱ったりすると魔力結晶からの魔力の流れがおかしくなって、全身の自由が奪われる。」
「治す方法はないのですか。」
「ずっと研究を続けられているが、まだ治療法は存在していない。」
「そうですか・・・そんな状態なのに私に回復の魔法を使ってくれたんですね。」
「本当なら全身の回復魔法をかけて治してやりたかったはずだ。部分的な回復魔法で済んだのは、お前が的確な場所を伝えてくれたからだ。部分的な回復魔法2回くらいなら1日安静にしていれば、なんとか回復するだろう。」
『そうか、母さんは大丈夫なのか・・・』
安心した俺は次の質問をした。聞きたいことはたくさんあった。
「その魔法というものを私も使えるのでしょうか?」
「・・・」
アギリスはちょっと困惑した顔を見せて、次に何かを考えている様子だった。
『聞いちゃまずい質問だっただろうか。』
「魔法は使えるとは思う。しかし、私には教えることができない。」
『使える可能性はあるのか。けど教えてもらえないとはこれ如何に・・・?』
アギリスは何か決心した顔して話を続けた。
「・・・私たち竜族は生まれたときに体内に魔力結晶が存在する。しかし、お前にはその魔力結晶がない。」
『ん?竜族?魔力結晶がない?』
いろいろな疑問がよぎるが話は続く。
「最初に言っておくが、私はお前のことは本当の息子として育てていくつもりだ。そして、母さんは病のせいで子供産むことができない。そのこともあってか、お前のことを本当に大切に可愛がって、本当の息子だと思っている。そのことはよく覚えていて欲しいんだが・・・お前は私たちの息子ではないんだ。というより、竜族でもない。人族だ。」
言いにくそうに最後の言葉を絞り出した。
『知っていたとはいえ、カミングアウトのイベント早すぎない。まだ2歳にもなってない坊やだよ。』
「そうですか。びっくりしました。でも、確かに私には尻尾がないし、おかしいなーとは思っていたのですが。そうですか・・・でも、なんでこの家に?」
「思ったより驚いていないな・・・知っていたのか?」
「いや、そんなまさか!!あまりに吃驚してリアクションもとれないだけですよ。」
「そうか、・・・。」
少し疑っているような顔を見せたが、そのまま続けた。
「・・・お前は東に広がる魔の森で見つけた。そのとき、オークに襲われそうになっているところを助けて、ここまで連れてきたのだ。」
「・・・それは、危ないところを助けていただきありがとうございます。」
本当にそれには感謝している。来ていきなり食べられるところだったのだからな。しかし、この家に連れてきたのは何か目的があってのことだと思うのだが、それを俺が知ってるのはおかしいので、ひとまずスルーするのベターな選択だろう。
「それで、さっきの続きだが、人族の体内には魔力結晶とよばれるものはない。しかし、魔法というものを人が使えるのは確かだ。私は人という種族に出会うのはお前が初めてだが、聞いた話や、歴史に出てくる人の話には、魔法を使ったという話を聞くからな。だから、お前に魔法の使い方を教えることはできない。竜族とは根本的に発動のさせ方が違うようだからな。」
「そうですか。」
俺は落胆したが、希望がないわけではなかった。人にも魔法の使える方法が存在するということが分かっただけでも前進だった。
「しかし、魔力の練り方と闘い方は教えられる。今日のことを見て分かったのだが、お前は魔力の練り方と扱い方を早々に覚えなくてはならない。」
予想外の提案に俺は食いついた。
「魔法と魔力は違うものなのですか?」
「魔力とは魔法を使うためのエネルギーとなるためのものだ。これはいっぱいあった方が魔法を覚えたときに魔力不足に陥ることがなくなる。それに魔力を布一枚分体の外側に纏わせるだけで防御力が格段にあがる。見たところ、人族の体は竜族の体より丈夫ではない。そして、力も弱いようだ。これは、大きくなるにつれて顕著になっていくと思ったほうがいい。この竜族の国で生きていくには魔力でそれを補っていくしかない。」
「しかし、竜族も魔力が上がっていくなら補うことができないのでは?」
「いや、竜族は基本、力と防御力に優れた種族なので、そこまで魔力を用いた闘い方はしない。魔力結晶の性質で魔法が限定されるので、魔力を使った闘い方に力を入れてはいない。だから、魔力を常に纏って行動するということはしない。だから、まず竜族との日常生活をうまくやるには、魔力を体の外にとどめるというのは有効であり、必須なことだ。」
『たしかに、今のままだと、肩を叩かれたり、ぶつかったりしただけで致命傷をおいかねない。回復魔法を覚えればと思うがその方法がわからないのであれば、まず防御力を鍛えるのは当然か。』
「闘い方は・・・まだ体が出来上がってないから魔力を練る訓練から始めようか。」
こうして俺の訓練は始まった。
魔力を作り出すことができるか心配だったのだが、アギリスの教えがよかったのか、この転生した体が優秀だったのか、なんなく魔力の生成には成功した。
そして最初は魔力を体の外に留めるのではなくて上限いっぱいまで出し続けるという訓練を行った。
留めることができても魔力総量が小さいと30分も体の外に留めておくと、疲れて動けなくなってしまうのだとか。だから、魔力総量を増やせるだけ増やしてしまおうということだった。それには、全魔力を放出して、回復して、また全魔力を放出するという訓練を行った。
初めて全魔力を放出したとき、急激な眠気に襲われて、その場で倒れて眠ってしまった。そのあと目が覚めたのは自分のベッドの上だった。アギリスが連れてきてくれたのだろう。
こうして、魔力放出し、睡眠をするということをずっと繰り返していた。こうして、本を読む時間が少なくなり、前と同じように1日の大半を寝て過ごすという日々が続いた。
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