36 / 123
第一章 ルード皇国 編
勇者一行の帰路・その5
しおりを挟む
帰路210日目
~勇者・ジークの視点~
「いい出来じゃないか。」
ガラフの作ってくれたプラチナの剣を2、3度振った。
そして鎧も新しくプラチナで作られたものを身に着けていた。
「こんなところじゃったが、ティーエのおかげでいいものができたわい。」
ガラフは満足そうに頷いた。そのガラフの装備も新しくプラチナ製のものばかりである。鎧に兜、斧までもすべて新しくプラチナで作成した。
そのため、少し暖かくなってからも、装備の完成を待ったため、出発に時間がかかってしまったのである。
ぼろぼろになったオリハルコンの鎧はこの小屋に捨てていくことにした。ガラフも前の装備は全て置いていった。持って帰れば素材として高値で取引されるだろうが、持ち運ぶのに邪魔だからである。
こうして、俺たちは山脈越えを始めた。新しい装備があるといっても、俺たちはできるだけ戦闘を避けるように行動した。飛んでいる飛竜には極力見つからないように、木々に隠れながら山を登った。
しかし、いくら気をつけたとしても飛竜に一度も見つからず山々を越えることはできなかった。
何度か戦闘に陥ったが、新しい武器と完全に立ち直ったガラフのおかげでなんとか飛竜を撃退することに成功した。
帰路250日目
~魔法使い・ティーエの視点~
ガラフが本来の動きを取り戻しています。
『私も杖さえあれば、もっと活躍できるのに。』
と歯痒い思いです。
変態悪魔に杖さえ取られなければ………あの時の光景を思い出すと今でも身震いをしてしまいます。しかし、あの悪魔は無詠唱で凄まじい魔法を使っていました。この世界には、まだまだ私の知らない魔法の仕組みがあるようです。魔導士学園で天才と呼ばれていた私も、この広い世界ではまだまだだったようです。
いろいろとマヤカに相談に乗ってもらっているうちに、他のものに対して、いろいろな視点をもてるようになりました。
学園生活では、今にして思えば、他人との協調性がなかったかもしれません。
マヤカの優しさや、ジークの気遣い、そしてガラフが裏で皆を支えてくれている事、行きには気づかなかったいろいろな事が分かるようになってきました。
まだまだ私はこれからなのです。まだ若いから大丈夫なはずです。
帰路277日目
~ドワーフ・ガラフの視点~
ワシはキマイラの一戦で前に出ることができてから、ワシの呪いが治ったことを確信したんじゃ。あの後、小屋の近くにきた魔獣も撃退することに成功したし、食糧としていろいろな獲物を狩ることも1人でできたんじゃ。
それに、あの薬は本物じゃった。ワシの失った指も回復することができたんじゃ。王女に1本必要としても、あと4本も残っておる。多少の無茶をしても大丈夫という事じゃ。
ガラフの気持ちは大きくなっていた。
そしてガラフは知らなかった。実は呪い等にはかかっていなかった事。最初に飲んだ薬は、たとえそれが水だったしても効果が出たであろう事を。つまり、プラシーボ効果であったのだ。しかし、その真実を知る者は誰もいなかった………
帰路339日目
~僧侶・マヤカの視点~
私たちはなんとか無事に?山脈を越えることができた。疑問符が付くのは一度ガラフが飛竜にやられて、私の魔法では治せない傷を負ったことだった。
しかし、あの魔王様からもらった薬によってまたもやガラフの命は救われることになった。魔王様への気持ちがどんどんと大きくなっていく。この想いを止めることは誰にもできないだろう。
ティーエに相談してみようかと考え始めていた。ティーエは恋などもした事がなさそうだった。だから恋愛相談としてではなく、夜に個室を作ってもらえないかという事に対してだった。最近のティーエは前よりも話しやすい雰囲気が出ていた。
私は胸の成長を気にしているという事をジークとガラフにこっそり伝えた。その事にあまり触れないであげて欲しかったのと、食事の改善ができたらと思ったからだ。旅の途中では、贅沢できないのは分かっていたが、小屋にいる時の食事だけでも改善できればと考えたからだ。
ガラフは、たんぱく質をとった方がいいのではという事で、肉、魚、乳製品や大豆など動物性のものから植物性のものまでいろいろなものを集めてきてくれていた。
私はそれとなくティーエにたんぱく質は胸の成長にいいよ。と風呂で言っていたので、モリモリと食べていた。
また、夜寝室で胸のあたりのシーツがごそごそと動いているのを見かけた。たぶん、マッサージをしているのだろう。
個室を作ってもらえば、ティーエにとっても私にとってもしたいことを気にせずできるのだ。だからこそ、個室について言いやすい雰囲気でもあった。
しかし、薬の効果が証明されればされるほど、私が2本も無駄にしてしまったという事実が、個室を作ってもらうと言う事を躊躇させた。
こうして、今日もまた悶々とした夜を過ごすのだった………
『 奇跡の水 』 残数 4本
~勇者・ジークの視点~
「いい出来じゃないか。」
ガラフの作ってくれたプラチナの剣を2、3度振った。
そして鎧も新しくプラチナで作られたものを身に着けていた。
「こんなところじゃったが、ティーエのおかげでいいものができたわい。」
ガラフは満足そうに頷いた。そのガラフの装備も新しくプラチナ製のものばかりである。鎧に兜、斧までもすべて新しくプラチナで作成した。
そのため、少し暖かくなってからも、装備の完成を待ったため、出発に時間がかかってしまったのである。
ぼろぼろになったオリハルコンの鎧はこの小屋に捨てていくことにした。ガラフも前の装備は全て置いていった。持って帰れば素材として高値で取引されるだろうが、持ち運ぶのに邪魔だからである。
こうして、俺たちは山脈越えを始めた。新しい装備があるといっても、俺たちはできるだけ戦闘を避けるように行動した。飛んでいる飛竜には極力見つからないように、木々に隠れながら山を登った。
しかし、いくら気をつけたとしても飛竜に一度も見つからず山々を越えることはできなかった。
何度か戦闘に陥ったが、新しい武器と完全に立ち直ったガラフのおかげでなんとか飛竜を撃退することに成功した。
帰路250日目
~魔法使い・ティーエの視点~
ガラフが本来の動きを取り戻しています。
『私も杖さえあれば、もっと活躍できるのに。』
と歯痒い思いです。
変態悪魔に杖さえ取られなければ………あの時の光景を思い出すと今でも身震いをしてしまいます。しかし、あの悪魔は無詠唱で凄まじい魔法を使っていました。この世界には、まだまだ私の知らない魔法の仕組みがあるようです。魔導士学園で天才と呼ばれていた私も、この広い世界ではまだまだだったようです。
いろいろとマヤカに相談に乗ってもらっているうちに、他のものに対して、いろいろな視点をもてるようになりました。
学園生活では、今にして思えば、他人との協調性がなかったかもしれません。
マヤカの優しさや、ジークの気遣い、そしてガラフが裏で皆を支えてくれている事、行きには気づかなかったいろいろな事が分かるようになってきました。
まだまだ私はこれからなのです。まだ若いから大丈夫なはずです。
帰路277日目
~ドワーフ・ガラフの視点~
ワシはキマイラの一戦で前に出ることができてから、ワシの呪いが治ったことを確信したんじゃ。あの後、小屋の近くにきた魔獣も撃退することに成功したし、食糧としていろいろな獲物を狩ることも1人でできたんじゃ。
それに、あの薬は本物じゃった。ワシの失った指も回復することができたんじゃ。王女に1本必要としても、あと4本も残っておる。多少の無茶をしても大丈夫という事じゃ。
ガラフの気持ちは大きくなっていた。
そしてガラフは知らなかった。実は呪い等にはかかっていなかった事。最初に飲んだ薬は、たとえそれが水だったしても効果が出たであろう事を。つまり、プラシーボ効果であったのだ。しかし、その真実を知る者は誰もいなかった………
帰路339日目
~僧侶・マヤカの視点~
私たちはなんとか無事に?山脈を越えることができた。疑問符が付くのは一度ガラフが飛竜にやられて、私の魔法では治せない傷を負ったことだった。
しかし、あの魔王様からもらった薬によってまたもやガラフの命は救われることになった。魔王様への気持ちがどんどんと大きくなっていく。この想いを止めることは誰にもできないだろう。
ティーエに相談してみようかと考え始めていた。ティーエは恋などもした事がなさそうだった。だから恋愛相談としてではなく、夜に個室を作ってもらえないかという事に対してだった。最近のティーエは前よりも話しやすい雰囲気が出ていた。
私は胸の成長を気にしているという事をジークとガラフにこっそり伝えた。その事にあまり触れないであげて欲しかったのと、食事の改善ができたらと思ったからだ。旅の途中では、贅沢できないのは分かっていたが、小屋にいる時の食事だけでも改善できればと考えたからだ。
ガラフは、たんぱく質をとった方がいいのではという事で、肉、魚、乳製品や大豆など動物性のものから植物性のものまでいろいろなものを集めてきてくれていた。
私はそれとなくティーエにたんぱく質は胸の成長にいいよ。と風呂で言っていたので、モリモリと食べていた。
また、夜寝室で胸のあたりのシーツがごそごそと動いているのを見かけた。たぶん、マッサージをしているのだろう。
個室を作ってもらえば、ティーエにとっても私にとってもしたいことを気にせずできるのだ。だからこそ、個室について言いやすい雰囲気でもあった。
しかし、薬の効果が証明されればされるほど、私が2本も無駄にしてしまったという事実が、個室を作ってもらうと言う事を躊躇させた。
こうして、今日もまた悶々とした夜を過ごすのだった………
『 奇跡の水 』 残数 4本
0
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる