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第二章 魔導士学園 編
お伽噺・鬼人族編
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~鬼人族に伝わる御伽噺~
昔々あるところに、人間の勇者がいたそうな。鬼族が住む大陸では魔法を自在に使いこなす1人の鬼が誕生し、そこに住む魔族や魔獣を従えていたそうな。その島から、たまに人間の島に出て行っては、悪行の限りをつくし、またある時は、竜の住まう島を訪れ、竜の翼を引きちぎって暴れまわっていたそうな。人間の勇者は、味方をひきつれ竜の国にわたり、腰につけた瓶から不思議な液体を竜に与え、すっかり意気投合したそうな。そして勇者一行と竜達と鬼の島に渡りこれを撃退し、それぞれの国に帰ったそうな。
その後、人間の島では、新しい種族が誕生し、鬼と人間ハーフだったそうな。
その種族は海に浮かぶ島にいる悪魔を打ち倒し、新しく国を作りましたとさ。
~鬼人族・カイゲンの視点~
鬼人族が住んでいるのは南の大陸と東の大陸の間に浮かぶ島国だ。鬼族は東の大陸に住み、人族は南の大陸に住んでいる。その昔、鬼族と人族に間に産まれた子供たちがいた。その姿はほとんど人族と変わらないが、その力は鬼族に匹敵する力を持っていた。
その力と、額に持つ角から、少しすると、人族の社会で鬼人族は迫害されるようになった。鬼人族は少数だったので、多勢に無勢と、祖先は南の大陸を出て、南の大陸にほど近い島に鬼人族だけの集落を作ったのだ。
時が経ち、人族の社会は変わっていった。いろいろな種族を人族の社会で受け入れるようになったのだ。
そして、鬼人族の社会でも変化があった。鬼人族同士で子を作る場合、圧倒的に子が男子である確率が高かった。それが、長い年月で女子の比率が少なくなってしまったのだ。
そんな時、俺は南の大陸の情報屋から、メガラニカ王国で種族問わず生徒を募集しているという噂を聞きつけた。
これはチャンスだと思った。俺はそこで理想の伴侶を見つけるのだ。
俺は舎弟のケナスを連れて南の大陸に渡った。
魔導士学園と騎士養成学校の2つで募集をかけているという事だったが、俺は魔導士学園を受けることにした。何故かって。魔法使いを目指すものは女子が圧倒的に多いと聞いたからだ。
俺はこれから始まる学園生活にワクワクしながら、魔導士学園の試験に挑んだ。筆記試験は全て埋める事ができたというのに、あまり良い結果ではなかった。どうやら、慌てすぎてミスをしすぎたようだ。実技試験においては、俺に試験のチャンスすら与えられなかった。俺はブチぎれそうになったが、怒りを鎮めて堪えた。人族の社会では常識ある行動をとらなければならない。
合格発表は見るまでもなかったが、案の定俺は落ちていた。ケナスも合格する事ができていなかった。
俺達は気を取り直して、騎士養成学校の試験を受けることにした。男子の比率が高いと聞いているが、いい成績ならば、学校外の女子と仲良くなれるチャンスがあるだろう。
騎士養成学校の試験は実技試験だけで、剣捌きの披露と体力テストだけだった。
俺達には鬼族の力が受け継がれている。実技試験は楽勝で合格した。
そして、特別クラスで俺は女神に出会ってしまったのだ。
その女神の名はマリオンといった。
1目惚れだ。9割以上が男子である騎士養成学校において、マリオンの存在は目立っていた。
マリオンに言い寄るものがたくさんいたのだ。俺は鬼人族の風習に従い、その言い寄る者達に決闘を申し出た。騎士養成学校の特別クラスに受かる者達はその決闘を受けたが、全て倒してやった。
そして、何人か倒した後、マリオンに言い寄るものはいなくなった。俺は、そこで意を決して、マリオンに告白をした。しかし、首を縦には振ってもらえなかった。俺は何度もアタックしたが、何度も断られた。
おかしい。鬼人族の社会では決闘で勝ったものが伴侶を手に入れる事ができるはずなのだ。
何度目かの告白の時、マリオンから付き合ってる者がいるから諦めてほしいという事だった。
俺は、会わせてもらえるように頼んだ。何のためかって。それは決闘するためだ。鬼人族の社会では力こそ正義。そいつに勝って、マリオンと付き合うのだ。
それからしばらくすると、休日にマリオンが俺のところに来た。会わせてくれるという事だった。そいつは魔導士学園のアギラという男だという事だった。
俺の行けなかった魔導士学園でバラ色の学園生活を送っているばかりか、騎士養成学校の女神にまで手を出すとは、許せん。絶対に倒してやる。俺は決意して指定の場所へと向かった。
~鬼人族・ケナスの視点~
・
・
・
217位 ケナス 47点
・
・
403位 カイゲン 0点
おいらは張り出された順位を見て、愕然としてしまったッス。………いや、うすうすは気づいていたのかもしれない。アニキが詠唱を2つ以上覚える事ができない事を知っていたのだから。2つ以上覚えてしまうと、詠唱文がごちゃ混ぜになってしまうんスよ。
かくいう、おいらもほとんどわからない問題ばかりだったっス。どうやら、魔導士学園には縁がなかったようッスね。しかし、まだ人生の伴侶を見つけるのを諦めたわけではないっス。騎士養成学園に入学して、学生生活を送れば出会いはあるだろう。
「アニキー。残念だったスね。」
「くそう。ケアレスミスさえなければ……しかし、明日の実技試験で逆転してみせる。諦めるんじゃねえ。」
兄貴………ケアレスミスってレベルじゃないっす。しかし、その諦めぬ心は流石アニキっす。おいらは一生ついていくっス。
そして、実技試験っス。
どうやら、詠唱文を書いてない生徒は実技試験で魔法を披露できない仕組みのようっスね。
「くそう。差別しやがって。俺に実技試験を受けさせないとは………」
兄貴……詠唱文の所が0点だったからだと思うっスよ。しかし、おいらはそんな事は言わないッス。
「本当ッスね。こんなところこっちから願い下げっスね。」
おいら達は騎士養成学校の特別クラスを受ける事にしたっス。
そちらは難なく受かる事ができたっス。
そこで、どうやらアニキはいい人を見つけたようっスね。脈はなさそうっスけど。おいらと目が時々合ってる気がするッス。アニキを差し置いてオイラに惚れてしまったんスか。
おいらも罪な男ッスね………
どうやら勘違いだったようっス。マリオンさんには付き合っている人がいるそうっス。許せないっス。おいらの気持ちを弄んだっスね。
アニキ、力を見せつけてやってくださいッス。
アニキが負けてしまうなんて……
あのタフなアニキが気絶するなんて見たことがないっス。あのアギラという男は恐ろしい男っス。アンタッチャブルっす。
マリオンさんが倒れたアニキに近づいて、回復魔法をかけてくれてるみたいッス。本当に女神っす。
「これからは、しつこく付きまとわないで欲しいんだ。意識が戻ったら、カイゲンに伝えてくれるかな?」
「わかったっス。ちゃんと伝えるっス。」
2人は去っていったっス。
しばらくして、意識の回復したアニキに事の顛末を話したっス。
「そうか……俺は負けたのか………認めねばなるまい………決闘のしきたりだからな……」
どうやら、アニキはアギラの事を認めたようっスね。
後日、アギラがマリオン以外の女性達と楽しそうに出かけているのを目撃してしまったッス。
その時横にいたアニキの顔は恐ろしい形相で紅潮し、拳を握りしめていたっス。
鬼っす。鬼がいるっす。
死人が出る。おいらはその時、確信してしまったっス。
昔々あるところに、人間の勇者がいたそうな。鬼族が住む大陸では魔法を自在に使いこなす1人の鬼が誕生し、そこに住む魔族や魔獣を従えていたそうな。その島から、たまに人間の島に出て行っては、悪行の限りをつくし、またある時は、竜の住まう島を訪れ、竜の翼を引きちぎって暴れまわっていたそうな。人間の勇者は、味方をひきつれ竜の国にわたり、腰につけた瓶から不思議な液体を竜に与え、すっかり意気投合したそうな。そして勇者一行と竜達と鬼の島に渡りこれを撃退し、それぞれの国に帰ったそうな。
その後、人間の島では、新しい種族が誕生し、鬼と人間ハーフだったそうな。
その種族は海に浮かぶ島にいる悪魔を打ち倒し、新しく国を作りましたとさ。
~鬼人族・カイゲンの視点~
鬼人族が住んでいるのは南の大陸と東の大陸の間に浮かぶ島国だ。鬼族は東の大陸に住み、人族は南の大陸に住んでいる。その昔、鬼族と人族に間に産まれた子供たちがいた。その姿はほとんど人族と変わらないが、その力は鬼族に匹敵する力を持っていた。
その力と、額に持つ角から、少しすると、人族の社会で鬼人族は迫害されるようになった。鬼人族は少数だったので、多勢に無勢と、祖先は南の大陸を出て、南の大陸にほど近い島に鬼人族だけの集落を作ったのだ。
時が経ち、人族の社会は変わっていった。いろいろな種族を人族の社会で受け入れるようになったのだ。
そして、鬼人族の社会でも変化があった。鬼人族同士で子を作る場合、圧倒的に子が男子である確率が高かった。それが、長い年月で女子の比率が少なくなってしまったのだ。
そんな時、俺は南の大陸の情報屋から、メガラニカ王国で種族問わず生徒を募集しているという噂を聞きつけた。
これはチャンスだと思った。俺はそこで理想の伴侶を見つけるのだ。
俺は舎弟のケナスを連れて南の大陸に渡った。
魔導士学園と騎士養成学校の2つで募集をかけているという事だったが、俺は魔導士学園を受けることにした。何故かって。魔法使いを目指すものは女子が圧倒的に多いと聞いたからだ。
俺はこれから始まる学園生活にワクワクしながら、魔導士学園の試験に挑んだ。筆記試験は全て埋める事ができたというのに、あまり良い結果ではなかった。どうやら、慌てすぎてミスをしすぎたようだ。実技試験においては、俺に試験のチャンスすら与えられなかった。俺はブチぎれそうになったが、怒りを鎮めて堪えた。人族の社会では常識ある行動をとらなければならない。
合格発表は見るまでもなかったが、案の定俺は落ちていた。ケナスも合格する事ができていなかった。
俺達は気を取り直して、騎士養成学校の試験を受けることにした。男子の比率が高いと聞いているが、いい成績ならば、学校外の女子と仲良くなれるチャンスがあるだろう。
騎士養成学校の試験は実技試験だけで、剣捌きの披露と体力テストだけだった。
俺達には鬼族の力が受け継がれている。実技試験は楽勝で合格した。
そして、特別クラスで俺は女神に出会ってしまったのだ。
その女神の名はマリオンといった。
1目惚れだ。9割以上が男子である騎士養成学校において、マリオンの存在は目立っていた。
マリオンに言い寄るものがたくさんいたのだ。俺は鬼人族の風習に従い、その言い寄る者達に決闘を申し出た。騎士養成学校の特別クラスに受かる者達はその決闘を受けたが、全て倒してやった。
そして、何人か倒した後、マリオンに言い寄るものはいなくなった。俺は、そこで意を決して、マリオンに告白をした。しかし、首を縦には振ってもらえなかった。俺は何度もアタックしたが、何度も断られた。
おかしい。鬼人族の社会では決闘で勝ったものが伴侶を手に入れる事ができるはずなのだ。
何度目かの告白の時、マリオンから付き合ってる者がいるから諦めてほしいという事だった。
俺は、会わせてもらえるように頼んだ。何のためかって。それは決闘するためだ。鬼人族の社会では力こそ正義。そいつに勝って、マリオンと付き合うのだ。
それからしばらくすると、休日にマリオンが俺のところに来た。会わせてくれるという事だった。そいつは魔導士学園のアギラという男だという事だった。
俺の行けなかった魔導士学園でバラ色の学園生活を送っているばかりか、騎士養成学校の女神にまで手を出すとは、許せん。絶対に倒してやる。俺は決意して指定の場所へと向かった。
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217位 ケナス 47点
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403位 カイゲン 0点
おいらは張り出された順位を見て、愕然としてしまったッス。………いや、うすうすは気づいていたのかもしれない。アニキが詠唱を2つ以上覚える事ができない事を知っていたのだから。2つ以上覚えてしまうと、詠唱文がごちゃ混ぜになってしまうんスよ。
かくいう、おいらもほとんどわからない問題ばかりだったっス。どうやら、魔導士学園には縁がなかったようッスね。しかし、まだ人生の伴侶を見つけるのを諦めたわけではないっス。騎士養成学園に入学して、学生生活を送れば出会いはあるだろう。
「アニキー。残念だったスね。」
「くそう。ケアレスミスさえなければ……しかし、明日の実技試験で逆転してみせる。諦めるんじゃねえ。」
兄貴………ケアレスミスってレベルじゃないっす。しかし、その諦めぬ心は流石アニキっす。おいらは一生ついていくっス。
そして、実技試験っス。
どうやら、詠唱文を書いてない生徒は実技試験で魔法を披露できない仕組みのようっスね。
「くそう。差別しやがって。俺に実技試験を受けさせないとは………」
兄貴……詠唱文の所が0点だったからだと思うっスよ。しかし、おいらはそんな事は言わないッス。
「本当ッスね。こんなところこっちから願い下げっスね。」
おいら達は騎士養成学校の特別クラスを受ける事にしたっス。
そちらは難なく受かる事ができたっス。
そこで、どうやらアニキはいい人を見つけたようっスね。脈はなさそうっスけど。おいらと目が時々合ってる気がするッス。アニキを差し置いてオイラに惚れてしまったんスか。
おいらも罪な男ッスね………
どうやら勘違いだったようっス。マリオンさんには付き合っている人がいるそうっス。許せないっス。おいらの気持ちを弄んだっスね。
アニキ、力を見せつけてやってくださいッス。
アニキが負けてしまうなんて……
あのタフなアニキが気絶するなんて見たことがないっス。あのアギラという男は恐ろしい男っス。アンタッチャブルっす。
マリオンさんが倒れたアニキに近づいて、回復魔法をかけてくれてるみたいッス。本当に女神っす。
「これからは、しつこく付きまとわないで欲しいんだ。意識が戻ったら、カイゲンに伝えてくれるかな?」
「わかったっス。ちゃんと伝えるっス。」
2人は去っていったっス。
しばらくして、意識の回復したアニキに事の顛末を話したっス。
「そうか……俺は負けたのか………認めねばなるまい………決闘のしきたりだからな……」
どうやら、アニキはアギラの事を認めたようっスね。
後日、アギラがマリオン以外の女性達と楽しそうに出かけているのを目撃してしまったッス。
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