97 / 123
第二章 魔導士学園 編
この異世界の住人はTPOをわきまえない
しおりを挟む
やはり俺のせいで遺跡内の冒険者たちが危機に陥っている様だった。いや、はっきりと俺が原因と決まったわけではないのだが、俺の見える範囲だけでも助けを求めている者達は救わねばならない気がした。
そして、なんとかエルナトの要請のもとその仲間たちを助ける事ができて俺はホッとしていた。
しかし、その後に問題が生じてしまったのだ。
アスカが家に帰りたいと愚図りだしたのだ。まだ、変な黒い物体以外何も遺跡での収穫物がないというのにだ………
そして早く帰りたいために、とんでもない事を言い始めた。冒険者たちに潜む暗殺者をこの場で捕まえると言い出したのだ。
いくら俺が『アバロン』で見事なアシストをして犯人を追い込んだといえども、今回は何も気づく事ができなかった。それなのにアーサーも対抗して暗殺者を探し始めた。
「やっぱり、アスカには頼ってられないにゃ。あっちには全て謎が解けているにゃ。あいつにゃ。あいつが怪しいにゃ。」
アーサーはリゲルの近くにいた男を指さした。
俺とアスカとエルナトはアーサーが指さす方を向いた。
「いや。それはないわ。彼はリゲルの側近でかなり長く仕えているのよ。彼が裏切っているなんて考えられないわ。」
エルナトは否定した。
「ちなみにその根拠はなんなんだ?」
俺はアーサーに聞いた。
「顔にゃ。あの顔は裏切り者の顔にゃ。」
「馬鹿。声がでかい。」
俺はアーサーの口を塞いだ。根拠が顔って失礼にも程がある。
「だからバカ猫は黙ってればいいのよ。私にかかればこんなもの事件でも何でもないわ。」
俺は気が済むまで見守るしかなかった。多分、傍で聞いていたエルナトも同じ心境だっただろう。
俺は半信半疑だったため気を抜いていた。その時である。
「………ッ!!! コロス、殺す、ころーす!!!!!」
集団の中から突然一人の男が奇声を上げながら飛び出て来たのだ。明らかにリゲルの方向へと向かおうとしていた。
リゲルは身構えた。そして、俺が助けに飛び出ようとしたその時、飛び出した男を水の玉が覆いつくした。水球に捕らわれた男は水の中でもがいて外に出ようとするが、水の中心から動くことはなかった。
その魔法はアスカが唱えたものだった。
「どう、私が暗殺犯を捕まえたわよ。アンタの推理はやっぱり違ったみたいね。」
アスカは片手で水球をコントロールしながら得意気な表情でそう言った。その捉えるスピードは尋常ではないほどの速さだったと言える。
飛び出してきたのを視認してから詠唱した事を考えれば、圧倒的な反射速度と詠唱速度なのだ。アスカの能力に俺は驚きを隠せなかった。
俺が呆気に取られているとアスカは続けて言った。
「まだいるかもしれないわね。警戒しておいた方がいいわ。」
その言葉に俺は我に返った。しかし、今のを見てこの場でリゲルを暗殺しよう等と考えるだろうか。そもそもこんな衆人環視の中で殺しを行うなど暗殺とは程遠い事だった。暗殺犯ではない、ただの異常者かジャンキーだ。
「何だ? 何が起きたのだ?」
リゲルは水球に捕まった男を見て誰ともなく尋ねた。
「残念ながら貴方の命を狙ったのだと思います。この少女が未然に防いでくれました。」
エルナトはそれに答えた。
「この者に話を聞かせてくれないか。誰の差し金か聞きたいんだが。」
リゲルはアスカに頼んだ。
「できるわよ。じゃあ、魔法を解くわね。」
アスカが水球の魔法を解除しようとした時、アーサーが指さした男がそれを止めた。
「いけません。皇子。このまま気絶させましょう。そして帝国に連れ帰ってから吐かせた方が安全です。」
その男は提案した。
「それもそうか………では、死なないように気絶させてもらえないだろうか。」
リゲルはアスカにお願いした。
「分かったわ。」
「皇子。敵が見えなくなったと言えど気を引き締めてください。剣はいつでも抜ける体勢を。」
エルナトはリゲルに進言した。リゲルは頷いて剣に右手を置いた。
それを見たアーサーの指摘した側近も声をかけた。
「これで安全ですな。それにしてもこんなところで殺そうとす………殺そう………こryoーす!!!!」
は? なんで?
「やっぱりにゃーーー。あっちの言った事は正しかったにゃーーー。」
アーサーは叫んだ。
側近とやらの男はいきなり剣を取り、上段からリゲルに切りかかったのだ。
それをリゲルは剣で受け止める。
「ブルータス、お前もか………」
リゲルは顔を歪めて呟いた。
俺は訳が分からなかったが乱心した側近の後ろに回り首に手刀を叩きこんだ。
その一撃を食らった男はその場に崩れ落ちた。
「す、すまない………なぜ、ブルータスが………」
リゲルは信頼していた側近に裏切られ呆然自失となっていた。エルナトを見ると同様の顔をしていた。
「やっぱりあっちの推理は正しかったにゃ。バカって言った事謝るにゃ。」
場の空気を読めないアーサーはアスカを問い詰めた。
「はぁ~? あんたのは偶然でしょ。」
「違うにゃ。これは後に語られる事になる『名探偵アーサー最初の事件』にゃ。メモにゃ。メモしておくにゃ。」
「まぁいいわ。事件はこれで終わったかは分からないわね。二度ある事は三度あるっていうわ。」
アスカは不穏な事を口にした。
今度はすぐに対処できるように身構えた。しかし、その時は一向に訪れることはなかった。
「どうやらもう大丈夫なんじゃないかしら。それで、お礼なんだけど・・・そうね。なんか美味しいものをいっぱい送って頂戴。アンタの国でしか取れない素材とかがいいわ。『浮遊石』と一緒にでいいわ。」
アスカはエルナトに謝礼を要求していた。
「そんなものでいいの? 分かったわ。」
エルナトは要求を2つ返事で了解した。
それから俺達はリゲル達と別れ、カイン達と合流した。
「どうだった? 目当てのものはあったか?」
俺はカインに聞いた。
「ああ。『賢者の石』が見つかった。それにいろいろな薬品も見つかったな。ひとまず持てるだけ持って来たんだが、アーサーに持ってもらえないか?」
「分かった。」
俺はアーサーの亜空間の中にそれらを全てしまった。
「そっちはどうだった?」
カインは俺に聞いた。
「無事救出できたよ。そう言えば『浮遊石』をもらえることになったぞ。」
「何? 本当か? この遺跡に『浮遊石』があったのか?」
カインは興奮していた。『浮遊石』は『賢者の石』よりも価値が高いのだろうか。
「いや。助けたお礼に国にある『浮遊石』を分けてくれることになった。」
「そ、そうか………」
カインは何か言いたそうにしていたが何も言わなかった。
「やるよ。俺には『浮遊石』は必要ないからな。」
「本当か? ありがとう。恩に着るぞ。この借りは必ず返す。」
カインは俺を抱いて喜んだ。
「アギラはいい奴にゃ。今なら抱かれてもいいにゃ。」
ミネットはギャグをかました………ギャグ………だよな………
「見直シマシタ。ヒトトシテの感性がアッタノデスね。」
あれっ、ゼロの俺の評価ってそんなに低かったの??
「薬品が置いてあるところにアギラも行くか。呪いに関するものがあるかもしれんぞ。」
カインは俺達を薬品が見つかった場所へと案内した。
俺はそこにある薬品を手に取りながら、瓶に書かれているラベルを読んだ。
『マグナタイト』、『エーテリア』、『パララフェナジン』、『テトラニチン』、『コカテロール』………
俺はラベルを確認した後アーサーの亜空間に入れていったのだが、ある事に気付いてしまったのだ。
その薬品がどのような効用をもたらすか全く分からないのだ。『ポーション』とか『エリクサー』とかなら回復系だと分かるのだが、そんなものは一切ないのである。
ここにあるのを持って帰ったして、一つ一つ効用を確かめる………そんな事ができるのだろうか………この膨大な量の薬品を・・・まして混ぜ合わせる事も考えれば、その組み合わせは俺の一生で調べる量を超えているのではないだろうか。
俺は薬品が見つかればその効用が分かると思っていたが、現実はそんな甘いものではなかったのだ。
あらかた置いてある薬品を全てアーサーの亜空間に収納した時、カインが俺に話しかけた。
「どうする? 俺達は目的を達したからこれで帰ろうと思うが、さらに下の階層に進むか? アギラが行くなら俺達も行くが。」
どうするか迷った。これ以上薬品を発見したところであまり意味がないように思えたのだ。アスカも異常なほどに早く帰るように急かしてくる。
さらに『 聖光魔浄陣 』という魔力を大幅に使う光魔法はもう使わないようにと俺の体の事も心配してくれているのだ。実際はまだまだ余裕だったが、あまりにも心配して何度も言うので俺はなんだか申し訳ない気がした。
「そうだな………帰るか………」
俺達は遺跡から帰還する事にした。
帰る遺跡の途中で一人の男が瀕死の重傷を負って倒れていた。俺はアーサーから師匠から貰った薬を出させ、その者を救ってあげた。
話を聞くとその男はバロワ商会に雇われた冒険者で、商会のものと一緒にこの遺跡に来ていたらしい。それがいきなり裏切られて後ろから襲われたという事だった。
「あいつらは、最初から裏切るつもりだったんだ。そして遺跡で見つかったものを自分たちのものにして、俺に報酬を払うつもりなんてなかったんだ。きっとそうに違いない。」
「それは不幸でしたね。あと少しで出口というところで裏切られるなんて。」
俺はその男に同情した。
「いや。それが………遺跡から帰ってきたところではなくて、今から遺跡に入ろうとしたところで、いきなり後ろからグサッさ。あいつら何を考えているのかさっぱりわからねぇ。あんな奴らの依頼を受けちまって後悔しかねぇぜ。」
入り口で裏切って殺すって………何のためにこの男を雇ったんだ………
俺はこの異世界の住人達の行動に覚えようのない恐怖を感じた………
そして、なんとかエルナトの要請のもとその仲間たちを助ける事ができて俺はホッとしていた。
しかし、その後に問題が生じてしまったのだ。
アスカが家に帰りたいと愚図りだしたのだ。まだ、変な黒い物体以外何も遺跡での収穫物がないというのにだ………
そして早く帰りたいために、とんでもない事を言い始めた。冒険者たちに潜む暗殺者をこの場で捕まえると言い出したのだ。
いくら俺が『アバロン』で見事なアシストをして犯人を追い込んだといえども、今回は何も気づく事ができなかった。それなのにアーサーも対抗して暗殺者を探し始めた。
「やっぱり、アスカには頼ってられないにゃ。あっちには全て謎が解けているにゃ。あいつにゃ。あいつが怪しいにゃ。」
アーサーはリゲルの近くにいた男を指さした。
俺とアスカとエルナトはアーサーが指さす方を向いた。
「いや。それはないわ。彼はリゲルの側近でかなり長く仕えているのよ。彼が裏切っているなんて考えられないわ。」
エルナトは否定した。
「ちなみにその根拠はなんなんだ?」
俺はアーサーに聞いた。
「顔にゃ。あの顔は裏切り者の顔にゃ。」
「馬鹿。声がでかい。」
俺はアーサーの口を塞いだ。根拠が顔って失礼にも程がある。
「だからバカ猫は黙ってればいいのよ。私にかかればこんなもの事件でも何でもないわ。」
俺は気が済むまで見守るしかなかった。多分、傍で聞いていたエルナトも同じ心境だっただろう。
俺は半信半疑だったため気を抜いていた。その時である。
「………ッ!!! コロス、殺す、ころーす!!!!!」
集団の中から突然一人の男が奇声を上げながら飛び出て来たのだ。明らかにリゲルの方向へと向かおうとしていた。
リゲルは身構えた。そして、俺が助けに飛び出ようとしたその時、飛び出した男を水の玉が覆いつくした。水球に捕らわれた男は水の中でもがいて外に出ようとするが、水の中心から動くことはなかった。
その魔法はアスカが唱えたものだった。
「どう、私が暗殺犯を捕まえたわよ。アンタの推理はやっぱり違ったみたいね。」
アスカは片手で水球をコントロールしながら得意気な表情でそう言った。その捉えるスピードは尋常ではないほどの速さだったと言える。
飛び出してきたのを視認してから詠唱した事を考えれば、圧倒的な反射速度と詠唱速度なのだ。アスカの能力に俺は驚きを隠せなかった。
俺が呆気に取られているとアスカは続けて言った。
「まだいるかもしれないわね。警戒しておいた方がいいわ。」
その言葉に俺は我に返った。しかし、今のを見てこの場でリゲルを暗殺しよう等と考えるだろうか。そもそもこんな衆人環視の中で殺しを行うなど暗殺とは程遠い事だった。暗殺犯ではない、ただの異常者かジャンキーだ。
「何だ? 何が起きたのだ?」
リゲルは水球に捕まった男を見て誰ともなく尋ねた。
「残念ながら貴方の命を狙ったのだと思います。この少女が未然に防いでくれました。」
エルナトはそれに答えた。
「この者に話を聞かせてくれないか。誰の差し金か聞きたいんだが。」
リゲルはアスカに頼んだ。
「できるわよ。じゃあ、魔法を解くわね。」
アスカが水球の魔法を解除しようとした時、アーサーが指さした男がそれを止めた。
「いけません。皇子。このまま気絶させましょう。そして帝国に連れ帰ってから吐かせた方が安全です。」
その男は提案した。
「それもそうか………では、死なないように気絶させてもらえないだろうか。」
リゲルはアスカにお願いした。
「分かったわ。」
「皇子。敵が見えなくなったと言えど気を引き締めてください。剣はいつでも抜ける体勢を。」
エルナトはリゲルに進言した。リゲルは頷いて剣に右手を置いた。
それを見たアーサーの指摘した側近も声をかけた。
「これで安全ですな。それにしてもこんなところで殺そうとす………殺そう………こryoーす!!!!」
は? なんで?
「やっぱりにゃーーー。あっちの言った事は正しかったにゃーーー。」
アーサーは叫んだ。
側近とやらの男はいきなり剣を取り、上段からリゲルに切りかかったのだ。
それをリゲルは剣で受け止める。
「ブルータス、お前もか………」
リゲルは顔を歪めて呟いた。
俺は訳が分からなかったが乱心した側近の後ろに回り首に手刀を叩きこんだ。
その一撃を食らった男はその場に崩れ落ちた。
「す、すまない………なぜ、ブルータスが………」
リゲルは信頼していた側近に裏切られ呆然自失となっていた。エルナトを見ると同様の顔をしていた。
「やっぱりあっちの推理は正しかったにゃ。バカって言った事謝るにゃ。」
場の空気を読めないアーサーはアスカを問い詰めた。
「はぁ~? あんたのは偶然でしょ。」
「違うにゃ。これは後に語られる事になる『名探偵アーサー最初の事件』にゃ。メモにゃ。メモしておくにゃ。」
「まぁいいわ。事件はこれで終わったかは分からないわね。二度ある事は三度あるっていうわ。」
アスカは不穏な事を口にした。
今度はすぐに対処できるように身構えた。しかし、その時は一向に訪れることはなかった。
「どうやらもう大丈夫なんじゃないかしら。それで、お礼なんだけど・・・そうね。なんか美味しいものをいっぱい送って頂戴。アンタの国でしか取れない素材とかがいいわ。『浮遊石』と一緒にでいいわ。」
アスカはエルナトに謝礼を要求していた。
「そんなものでいいの? 分かったわ。」
エルナトは要求を2つ返事で了解した。
それから俺達はリゲル達と別れ、カイン達と合流した。
「どうだった? 目当てのものはあったか?」
俺はカインに聞いた。
「ああ。『賢者の石』が見つかった。それにいろいろな薬品も見つかったな。ひとまず持てるだけ持って来たんだが、アーサーに持ってもらえないか?」
「分かった。」
俺はアーサーの亜空間の中にそれらを全てしまった。
「そっちはどうだった?」
カインは俺に聞いた。
「無事救出できたよ。そう言えば『浮遊石』をもらえることになったぞ。」
「何? 本当か? この遺跡に『浮遊石』があったのか?」
カインは興奮していた。『浮遊石』は『賢者の石』よりも価値が高いのだろうか。
「いや。助けたお礼に国にある『浮遊石』を分けてくれることになった。」
「そ、そうか………」
カインは何か言いたそうにしていたが何も言わなかった。
「やるよ。俺には『浮遊石』は必要ないからな。」
「本当か? ありがとう。恩に着るぞ。この借りは必ず返す。」
カインは俺を抱いて喜んだ。
「アギラはいい奴にゃ。今なら抱かれてもいいにゃ。」
ミネットはギャグをかました………ギャグ………だよな………
「見直シマシタ。ヒトトシテの感性がアッタノデスね。」
あれっ、ゼロの俺の評価ってそんなに低かったの??
「薬品が置いてあるところにアギラも行くか。呪いに関するものがあるかもしれんぞ。」
カインは俺達を薬品が見つかった場所へと案内した。
俺はそこにある薬品を手に取りながら、瓶に書かれているラベルを読んだ。
『マグナタイト』、『エーテリア』、『パララフェナジン』、『テトラニチン』、『コカテロール』………
俺はラベルを確認した後アーサーの亜空間に入れていったのだが、ある事に気付いてしまったのだ。
その薬品がどのような効用をもたらすか全く分からないのだ。『ポーション』とか『エリクサー』とかなら回復系だと分かるのだが、そんなものは一切ないのである。
ここにあるのを持って帰ったして、一つ一つ効用を確かめる………そんな事ができるのだろうか………この膨大な量の薬品を・・・まして混ぜ合わせる事も考えれば、その組み合わせは俺の一生で調べる量を超えているのではないだろうか。
俺は薬品が見つかればその効用が分かると思っていたが、現実はそんな甘いものではなかったのだ。
あらかた置いてある薬品を全てアーサーの亜空間に収納した時、カインが俺に話しかけた。
「どうする? 俺達は目的を達したからこれで帰ろうと思うが、さらに下の階層に進むか? アギラが行くなら俺達も行くが。」
どうするか迷った。これ以上薬品を発見したところであまり意味がないように思えたのだ。アスカも異常なほどに早く帰るように急かしてくる。
さらに『 聖光魔浄陣 』という魔力を大幅に使う光魔法はもう使わないようにと俺の体の事も心配してくれているのだ。実際はまだまだ余裕だったが、あまりにも心配して何度も言うので俺はなんだか申し訳ない気がした。
「そうだな………帰るか………」
俺達は遺跡から帰還する事にした。
帰る遺跡の途中で一人の男が瀕死の重傷を負って倒れていた。俺はアーサーから師匠から貰った薬を出させ、その者を救ってあげた。
話を聞くとその男はバロワ商会に雇われた冒険者で、商会のものと一緒にこの遺跡に来ていたらしい。それがいきなり裏切られて後ろから襲われたという事だった。
「あいつらは、最初から裏切るつもりだったんだ。そして遺跡で見つかったものを自分たちのものにして、俺に報酬を払うつもりなんてなかったんだ。きっとそうに違いない。」
「それは不幸でしたね。あと少しで出口というところで裏切られるなんて。」
俺はその男に同情した。
「いや。それが………遺跡から帰ってきたところではなくて、今から遺跡に入ろうとしたところで、いきなり後ろからグサッさ。あいつら何を考えているのかさっぱりわからねぇ。あんな奴らの依頼を受けちまって後悔しかねぇぜ。」
入り口で裏切って殺すって………何のためにこの男を雇ったんだ………
俺はこの異世界の住人達の行動に覚えようのない恐怖を感じた………
0
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる