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第二章 繋がる命
褒め言葉
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魔力が減ると、体温が低くなっていく。それは単純に、魔力が少ないものの体温が低いというわけではなく、魔力が減っていく工程で体温が低くなる。つまり、失われている最中は急激に体温が下がっていくのだ。
「ユズハちゃん、寒いかい?」
「あ、はい。ちょっと。でも大丈夫です」
まだアリスの施してくれた結界が効いてくれているのだろう。昨日程寒くはない。それでも、効力は徐々になくなっていっているのだろう。結界を張った直後よりは身体が冷えてきた。なんとなく身体も重い。
アリスは朝早く準備をしてくると外に出たまま戻ってこない。柚葉のそばにはラウズガードが付いていてくれている。
「・・・昨日」
「ん?」
飴玉を口の中で転がしたまま、柚葉は書き物をしているラウズガードを見る。彼の年齢が三十九だと聞いて驚いたのは、昨夜の話だ。どこからどう見ても三十代なりたてみたいな顔をしている。
「アリスさん私の悪口言ってました?」
「はは、くしゃみでも止まらなかったか?」
「盛大なものが一回」
思い出して鼻を擦る。
「悪口というか、・・・そうだな。どっちかというと誉め言葉じゃないか?」
「褒め・・・?アリスさんが?誰を?」
「ユズハちゃんを」
書類から顔を上げ、ラウズガードはにやりとした笑みを向けてきた。何を企んでいるのだろうか。
アリスが柚葉を褒める。そんなこと今までに一言たりとも聞いたことがない。もしそれが本当なら、是非内容を聞かねば。
「何て?何て言ってました?」
「近い近い近い近い!落ち着いて!」
迫りくる柚葉の肩を押して、ラウズガードは距離を取る。白い小さな顔が、下手すれば肌が触れ合う距離まで寄ってくるのだ。半ば反射的に顔を赤らめたラウズガードに、柚葉は不思議な顔をしていた。
(アリス、こんなの相手にしてんのか。・・・苦労するな)
ラウズガードはこほん、と一つ咳払いをして、濁しながら言葉を選んでいく。なんとなく、アリスに同情を覚えたからだ。
「あー・・・なんだったかな。寝相が悪くて食い意地が張っていて、根性と気遣いとうるさい気配がある子、だったかな」
「・・・・・今度から私はそれを言われたら褒められていると思っていいんですね?」
「・・・・お、恐らく」
柚葉は知らなかった。それらが誉め言葉だったとは。根性と気遣いは喜んでもいいだろう。他は、どうやって捉えればいいのか皆目見当がつかない。
アリスが戻ってきたのは、それからすぐ後のことだった。
「お、王子様のご帰還だ」
「第三隊の騎士にも協力してもらって、結界は張り終えました。その中でならユズハの存在もバレないでしょう」
「ええ、俺も後で加わりますよ」
「感謝します。―――ユズハ、来い」
「その前にアリスさん!」
「ああ?」
トンボ帰りで出ていこうとしたアリスを呼び止め、柚葉は詰め寄るようにアリスに近付く。彼もまた、近過ぎる距離を止めようと柚葉の頭を押さえて顔を逸らせる。
「なんだ!後からでも・・・」
「私の事褒めてくれたって本当ですか?」
「はあっ!?」
こんな時に何言ってんだとアリスは素っ頓狂な声をあげた。でも仕方ない。気になってしまうのだから。ラウズガードが言った通りでもいい。それが、アリスにとって褒め言葉だというのなら、受け入れる。どんな言葉だって、褒めてくれたということが大事なのだ。
「だって、ラウズガードさんが」
「・・・・・・こいつに何言ったんですかラウズガードさん」
「い、いやあ~?」
アリスは柚葉の頭の上から、ギロリとラウズガードを睨む。話をややこしくしやがって後で覚えてろよ、と目が語っていた。
「何を聞いたか知らんが、俺は褒めた覚えはないぞ」
「・・・!・・・そう、ですか」
簡潔なアリスの言葉を聞いて、柚葉は一緒に動きをとめ、すぐに肩と視線を落とした。見た目では分からないが、落ち込んでいるのだろうか。上がっていた口角が、僅かに下がった気がしたのを、柚葉自身、分かった。
「・・・褒めてほしかったのか」
「そりゃあ怒られるより褒められた方が皆うれしいでしょ?」
「・・・・・・」
アリスは胸の位置にいる柚葉を眉間に皺を寄せたまま見下ろした。小さな頭の旋毛が見え、やがてそれに気が付いた大きな瞳が見上げてくる。
「アリスさん?」
「・・・分かった。これがうまくいったら褒めてやるから早くしろ」
「え?・・・・・・やったー!」
アリスはそれだけ言って踵を返すと、さっさと部屋から出ていった。ぴょんぴょん跳ねながら柚葉もそれについていき、ペンを持ったまま手を止めたままのラウズガードだけがその様子を物珍しそうに見ていた。
外に出ると、数人の騎士が円を作るように立っていた。それをつなぐように薄い膜のようなものが柚葉たちを取り囲んでいる。外は昼なのに暗く、厚い雲が覆っていた。雨でも降り出しそうな、どよんとした空気を肌で感じる。だが、湿った空気というよりは、冷たい、冷蔵庫の中のような空気に、柚葉は身を震わせた。
「さっむ・・・」
アリスが上着を脱いで柚葉にかけてくれるが、それでも柚葉の震えは止まらない。内側から冷えて凍っていくような、恐怖さえ感じる寒さに身体が防衛反応を見せているのか。周りを見てもそんな人はいないし、皆平気そうな顔をしているが、柚葉は毛皮のコートを2枚くらい着込みたいくらいだ。
「俺のかけた結界が、ほぼ効力を失ってるな」
「ひぃぃ、わたしの魔力ぅ~!」
魔力を持っている自覚なんてないくせに、この寒さが奪われている証拠だと分かると、途端に惜しくなってしまう。
「恐れながら殿下!急いだ方が宜しいかと!騎士たちの結界はあまり長く持ちません!」
「ああ!」
結界を張っていた騎士の1人が、脂汗を流しながら此方へ向かって叫んできたのを聞くと、アリスはしゃがんでいた柚葉を立たせ、抱きしめるように片腕でその細い身体を自分の方へ寄せる。
「っひゃ!」
「静かにしてろ」
「っ、」
上から低く降り注いだ声が無駄に艶っぽい。こんな風に異性に抱きしめられた経験などない柚葉は、先程まで震えるほど冷たかった身体が、火がついたような感覚に見舞われた。背中を通って後頭部に添えられる手が、顔をアリスの胸に押し付ける。アリスの鼓動が直に耳に届いてきて、忙しなかった心臓がそれに合わせて徐々に落ち着いていった。
目を瞑ると、アリスの体温が自分に溶け込んでくるように感じて、身体の力が緩んでいった。
「アリス、さん・・・」
「あ?」
「アリスさんって、温かいですね・・・それに、いい匂い・・・」
思わず、すん、と鼻で空気を吸った。
「・・・・・・、お前、後で覚えてろ・・・」
「・・・?何が?」
もしかして、人の匂いを嗅ぐのって変態行為でした?
アリスは答えなかったが、迷惑そうな顔をしていたので、少なくとも良い行いではなかったのだろう。
「始めるぞ」
「あ、はい」
アリスの手に僅かに力が入ったように感じた。
そして、空いている方の手を宙に翳し、柚葉の分からない言葉で何やら呟いた。アリスの伸ばした手と顔を交互に見るが、集中しているのか、彼は反応しない。
そのうち間もなく柚葉の身体だけが緑色の光で包まれ、驚いてビクリと身体を揺らすと、大丈夫だというようにアリスの回した手に強く力が込められた。
「アリスさ・・・、なんか、私・・・」
「あと少しだから」
アリスがちゃんと身体を支えてくれていなかったら、柚葉は崩れ落ちていたかもしれない。体温が下がり、全身に力が入らない。アリスのシャツを握った手も億劫になってしまって、だらりと下へ下ろした。体重を殆どアリスへ預けている状態になっても、彼はびくともしなかった。柚葉の身体は重すぎることはなくても、力の抜けきった人一人の体重を支えるのは簡単ではないはずだ。
瞼が重くなってきて、急激な睡魔に襲われる。視界が半分ほど狭まったころ、アリスの静かな声を遠い所で聞いた。
「・・・・・・終わったぞ。眠っていい」
「ん・・・おやすみ、なさい・・・」
頭を支える手が、優しく、髪を撫でた。
「ユズハちゃん、寒いかい?」
「あ、はい。ちょっと。でも大丈夫です」
まだアリスの施してくれた結界が効いてくれているのだろう。昨日程寒くはない。それでも、効力は徐々になくなっていっているのだろう。結界を張った直後よりは身体が冷えてきた。なんとなく身体も重い。
アリスは朝早く準備をしてくると外に出たまま戻ってこない。柚葉のそばにはラウズガードが付いていてくれている。
「・・・昨日」
「ん?」
飴玉を口の中で転がしたまま、柚葉は書き物をしているラウズガードを見る。彼の年齢が三十九だと聞いて驚いたのは、昨夜の話だ。どこからどう見ても三十代なりたてみたいな顔をしている。
「アリスさん私の悪口言ってました?」
「はは、くしゃみでも止まらなかったか?」
「盛大なものが一回」
思い出して鼻を擦る。
「悪口というか、・・・そうだな。どっちかというと誉め言葉じゃないか?」
「褒め・・・?アリスさんが?誰を?」
「ユズハちゃんを」
書類から顔を上げ、ラウズガードはにやりとした笑みを向けてきた。何を企んでいるのだろうか。
アリスが柚葉を褒める。そんなこと今までに一言たりとも聞いたことがない。もしそれが本当なら、是非内容を聞かねば。
「何て?何て言ってました?」
「近い近い近い近い!落ち着いて!」
迫りくる柚葉の肩を押して、ラウズガードは距離を取る。白い小さな顔が、下手すれば肌が触れ合う距離まで寄ってくるのだ。半ば反射的に顔を赤らめたラウズガードに、柚葉は不思議な顔をしていた。
(アリス、こんなの相手にしてんのか。・・・苦労するな)
ラウズガードはこほん、と一つ咳払いをして、濁しながら言葉を選んでいく。なんとなく、アリスに同情を覚えたからだ。
「あー・・・なんだったかな。寝相が悪くて食い意地が張っていて、根性と気遣いとうるさい気配がある子、だったかな」
「・・・・・今度から私はそれを言われたら褒められていると思っていいんですね?」
「・・・・お、恐らく」
柚葉は知らなかった。それらが誉め言葉だったとは。根性と気遣いは喜んでもいいだろう。他は、どうやって捉えればいいのか皆目見当がつかない。
アリスが戻ってきたのは、それからすぐ後のことだった。
「お、王子様のご帰還だ」
「第三隊の騎士にも協力してもらって、結界は張り終えました。その中でならユズハの存在もバレないでしょう」
「ええ、俺も後で加わりますよ」
「感謝します。―――ユズハ、来い」
「その前にアリスさん!」
「ああ?」
トンボ帰りで出ていこうとしたアリスを呼び止め、柚葉は詰め寄るようにアリスに近付く。彼もまた、近過ぎる距離を止めようと柚葉の頭を押さえて顔を逸らせる。
「なんだ!後からでも・・・」
「私の事褒めてくれたって本当ですか?」
「はあっ!?」
こんな時に何言ってんだとアリスは素っ頓狂な声をあげた。でも仕方ない。気になってしまうのだから。ラウズガードが言った通りでもいい。それが、アリスにとって褒め言葉だというのなら、受け入れる。どんな言葉だって、褒めてくれたということが大事なのだ。
「だって、ラウズガードさんが」
「・・・・・・こいつに何言ったんですかラウズガードさん」
「い、いやあ~?」
アリスは柚葉の頭の上から、ギロリとラウズガードを睨む。話をややこしくしやがって後で覚えてろよ、と目が語っていた。
「何を聞いたか知らんが、俺は褒めた覚えはないぞ」
「・・・!・・・そう、ですか」
簡潔なアリスの言葉を聞いて、柚葉は一緒に動きをとめ、すぐに肩と視線を落とした。見た目では分からないが、落ち込んでいるのだろうか。上がっていた口角が、僅かに下がった気がしたのを、柚葉自身、分かった。
「・・・褒めてほしかったのか」
「そりゃあ怒られるより褒められた方が皆うれしいでしょ?」
「・・・・・・」
アリスは胸の位置にいる柚葉を眉間に皺を寄せたまま見下ろした。小さな頭の旋毛が見え、やがてそれに気が付いた大きな瞳が見上げてくる。
「アリスさん?」
「・・・分かった。これがうまくいったら褒めてやるから早くしろ」
「え?・・・・・・やったー!」
アリスはそれだけ言って踵を返すと、さっさと部屋から出ていった。ぴょんぴょん跳ねながら柚葉もそれについていき、ペンを持ったまま手を止めたままのラウズガードだけがその様子を物珍しそうに見ていた。
外に出ると、数人の騎士が円を作るように立っていた。それをつなぐように薄い膜のようなものが柚葉たちを取り囲んでいる。外は昼なのに暗く、厚い雲が覆っていた。雨でも降り出しそうな、どよんとした空気を肌で感じる。だが、湿った空気というよりは、冷たい、冷蔵庫の中のような空気に、柚葉は身を震わせた。
「さっむ・・・」
アリスが上着を脱いで柚葉にかけてくれるが、それでも柚葉の震えは止まらない。内側から冷えて凍っていくような、恐怖さえ感じる寒さに身体が防衛反応を見せているのか。周りを見てもそんな人はいないし、皆平気そうな顔をしているが、柚葉は毛皮のコートを2枚くらい着込みたいくらいだ。
「俺のかけた結界が、ほぼ効力を失ってるな」
「ひぃぃ、わたしの魔力ぅ~!」
魔力を持っている自覚なんてないくせに、この寒さが奪われている証拠だと分かると、途端に惜しくなってしまう。
「恐れながら殿下!急いだ方が宜しいかと!騎士たちの結界はあまり長く持ちません!」
「ああ!」
結界を張っていた騎士の1人が、脂汗を流しながら此方へ向かって叫んできたのを聞くと、アリスはしゃがんでいた柚葉を立たせ、抱きしめるように片腕でその細い身体を自分の方へ寄せる。
「っひゃ!」
「静かにしてろ」
「っ、」
上から低く降り注いだ声が無駄に艶っぽい。こんな風に異性に抱きしめられた経験などない柚葉は、先程まで震えるほど冷たかった身体が、火がついたような感覚に見舞われた。背中を通って後頭部に添えられる手が、顔をアリスの胸に押し付ける。アリスの鼓動が直に耳に届いてきて、忙しなかった心臓がそれに合わせて徐々に落ち着いていった。
目を瞑ると、アリスの体温が自分に溶け込んでくるように感じて、身体の力が緩んでいった。
「アリス、さん・・・」
「あ?」
「アリスさんって、温かいですね・・・それに、いい匂い・・・」
思わず、すん、と鼻で空気を吸った。
「・・・・・・、お前、後で覚えてろ・・・」
「・・・?何が?」
もしかして、人の匂いを嗅ぐのって変態行為でした?
アリスは答えなかったが、迷惑そうな顔をしていたので、少なくとも良い行いではなかったのだろう。
「始めるぞ」
「あ、はい」
アリスの手に僅かに力が入ったように感じた。
そして、空いている方の手を宙に翳し、柚葉の分からない言葉で何やら呟いた。アリスの伸ばした手と顔を交互に見るが、集中しているのか、彼は反応しない。
そのうち間もなく柚葉の身体だけが緑色の光で包まれ、驚いてビクリと身体を揺らすと、大丈夫だというようにアリスの回した手に強く力が込められた。
「アリスさ・・・、なんか、私・・・」
「あと少しだから」
アリスがちゃんと身体を支えてくれていなかったら、柚葉は崩れ落ちていたかもしれない。体温が下がり、全身に力が入らない。アリスのシャツを握った手も億劫になってしまって、だらりと下へ下ろした。体重を殆どアリスへ預けている状態になっても、彼はびくともしなかった。柚葉の身体は重すぎることはなくても、力の抜けきった人一人の体重を支えるのは簡単ではないはずだ。
瞼が重くなってきて、急激な睡魔に襲われる。視界が半分ほど狭まったころ、アリスの静かな声を遠い所で聞いた。
「・・・・・・終わったぞ。眠っていい」
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